007-006 『虚偽のランダム』?
K.A.I.先輩に上達のヒントをもらった僕は、練習に戻ろうと思った。
でも、手がちょっと疲れていたので、休憩がてらyou先輩からもアドバイスをもらうことにした。
「あの、you先輩」
「お〜ん?どうしたん、MoMoちゃん?」
「you先輩にアドバイスを貰いたくて」
「百戦錬磨の美人なお姉さんであるところのオレにアドバイスを求めるってことは、恋愛相談か?K.A.I.にでも惚れたか?やめとけ!やめとけ!部内恋愛なんて悲しい結末にしかならないんだから」
「バトロワで対面で戦う時に、相手の動きを読むコツを知りたくて」
「おいおい、オレのボケは完全に無視かよ。少しは触れてくれないと、オレだって拗ねちゃうんだからな!」
「すみません。でも、面倒くさくて」
「ぐはっ!随分と正直に言ってくれるじゃないの。まあ、良いや。で、相手の動きを読むコツだったか?」
「あ、はい。そうです」
「まあ、基本は大した技術じゃあねぇんだけどな」
「そうなんですか?」
「実際に見せた方が早ぇな。MoMoちゃん、1〜3の数字をランダムに9個言ってみ」
「2、3、1、3、2、3、1、2、1。どうですか?」
「これ見てみ」
you先輩はインターネットで乱数生成のサイトを開き、僕に提示した条件と同じ条件で乱数を生成していた。
2、3、3、1、3、2、1、3、3。
そう、画面には表示されていた。
「はい(?)」
「わかんねぇのか?MoMoちゃんが言ったランダムと本当のランダムの差がよ」
「そうですね…。どちらも同じランダムだと思いますが」
「甘いね。MoMoちゃんのは虚偽のランダムなんだよ」
「『虚偽のランダム』?」
「ああ、MoMoちゃんは特にそれが謙虚に出るタイプだな」
「言ってること、全然わかりません」
「例えば、各数字の出現率。MoMoちゃんの方は均等に3つずつだが、コンピューターの方は1と2は2個ずつ、3は5個だ」
「あ、確かにそうですね」
「加えて、MoMoちゃんの方は同じ数字が連続していない」
「言われてみれば、そうですね…」
「つまりだ、人間ってのは、ランダムを生み出そうとしても、どうしても規則的になってしまうってことだ」
「そうなんですね」
「だから、ズバリ、相手の動きを読むコツってのは、この規則性を看破することにある。例えば、ランダムな横移動に見えても、実際は左に動く時間と右に動く時間が同じだったり、ランダムにジャンプが挟まれているように見えても、実際はジャンプのタイミングに規則性があったりな」
「なるほど」
「それさえ読めれば、動きも読めるってわけよ。まあ、実際には、もうちょっとコツがあるんだが、MoMoちゃんがそれを知るにはまだ早い。今は、自分の実力を上げることだけに注力すると良い」
そのもうちょっとのコツと言うものが少し気になった僕ではあったけど、ここはyou先輩のタイミングは今ではないと言う言葉を信じて、タイミングが来るのを待つことにした。




