007-004 パズルのピースのようだった
「なるほど。ダミーのランダムな動きの所為でなかなか上手くならない、と」
僕がした説明を理解したK.A.I.先輩はそう言った。
「はい。そうなんです」
「なら、1つ、事実を伝えよう。射撃はレティクルを合わせれば勝手に当たるんだよ」
「それはそうですよ。そんなこと、言うだけなら僕だってできます。でも、それができないから困ってるんじゃないですか」
「それと、もう1つ。4秒間に2発とは、2秒ごとに1発と言う意味じゃない」
「?どう言うことですか?」
「つまり、等間隔で撃つ必要はないと言うことだよ。引き付けて、引き付けて、レティクルが合ったと思ったら撃てば良い」
「?」
理解が追いつかない。
「さっき、MoMoが言っていた連射武器の軌道が線で、単発武器の軌道が点、と言う理解は大体正しい。だけど、厳密に言えば、連射武器も点が繋がって線になっているに過ぎないんだよ」
「あの、すみません。K.A.I.先輩が何を伝えたいのか、さっぱりわからなくて…」
「MoMoの中の固定観念を壊しているのさ。本当に線の軌道で動いているのはレティクルと言うことだよ」
パズルのピースのようだった。「点の集合に過ぎない連射武器の軌道」、「本当に線の軌道を描いているのはレティクル」、「レティクルを合わせれば勝手に当たる」、「4秒で2発は、2秒ごとに1発ではない」、K.A.I.先輩の告げた4つの情報が、ピッタリと組み合わさり、1つの答えが浮かび上がった。
「何となくわかった気がします。レティクルが重なった瞬間に撃てば良いんですね」
「そうだよ。ぼくはずっとそう言っている」
相手の動きも線の動きで、レティクルの動きも線の動きだ。この2つの線が重なる時にだけ、撃てば当たるわけだ。
僕は射撃間隔に囚われていた。
2秒ごとに1発と言う一定のリズムがあって、その射撃タイミングに合わせるように、エイムを動かしていた。
射撃と射撃の間の時間を使って、敵にエイムを合わせる。
それは、射撃同士の間隔が常に固定長である連射武器のエイム練習によって植え付けられた固定観念だった。
でも、スナイパーライフルは違う。射撃から次の射撃までの最短時間は存在するけど、それはあくまで存在するだけであって、その時間通りに射撃をしなければならないと言うものではない。
つまり、射撃の間隔に合わせて僕がレティクルを動かすのではなく、僕のレティクルの動きに合わせて射撃の間隔を変えれば良いと言うことだ。
言われてみれば、当然のことだけど、言われるまでは気付かない目から鱗の発見だった。
「すみません。お手数をおかけしました。何となく、コツと言うか、ヒントがわかった気がします。ありがとうございます」
「それは良かった」
僕は練習を再開した。




