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日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
007 日常(2041/05)
54/83

007-003 全てはダミーの動きのままに


 翌日。部室にて。


「あ、K.A.I.先輩、お疲れ様です。見てください。動かない的に対してなら、横移動しながらでも赤ヒットできるようになりましたよ」


 部室に先に来ていた僕は、先に訓練場に入り、練習をしていた。


 そして、K.A.I.先輩が来たので、早々に練習の成果を披露した。


「すごいじゃない。でも、無理はしてないわよね?」


「勿論ですよ。昨日は12時には寝ましたから。心配には及びません。あっ、それと、多分、4秒で2発のラインもクリアしてると思います」


 K.A.I.先輩は僕の画面を見る。


「できてるみたいね。なら、次の練習よ。とは言え、大体何やるかは察しがついてると思うけど」


「ランダムに移動するダミーに対して、ヘッドショット、とかですかね?」


「正解。4秒で2発のテンポは崩さずに、7〜8割当たるようになったら、声掛けて貰える?」


「はい。わかりました」


 それだけ僕に伝えると、K.A.I.先輩はいつものスタミナ消費に移行した。


―――


 練習を始めて十数分が経った。


 この時点で僕は気付いた。この練習、途方もないな、と。


 どうしても当たらないのだ。いや、正確には当たる時もあるけれど。


 動かない的を狙っていた時は、上手く当たらない原因は全て僕にあった。


 だから、練習をすれば、徐々に上手くなっていき、練習量に比例するように精度も上がっていった。


 でも、ランダムに動くダミー相手ではそうはいかない。


 僕が最善を尽くしても、ダミーの動き次第では、当たらないのだ。


 逆に言えば、最善を尽くさなくても当たる時もある。


 全てはダミーの動きのままに。


 そうなって来ると、上達するのが難しくなって来る。


 手応えがないのだ。手応えがわからないと言った方が適切かも知れない。


 普通、下手な時は手応えを感じない。そして、上達するに連れて手応えを感じていく。


 この手応えこそが上達の道標だ。


 手応えを感じた時と感じなかった時で何が違うのかを頭の中で整理する。


 そうして、無数にある動きと言う闇の中、正解の動きを手繰り寄せるようにして、上達していく。


 でも、手応えがわからないとそれができないのだ。


 とは言え、僕もランダムダミーと対する練習は始めてじゃない。


 アサルトライフルやサブマシンガンの練習をした時も、ダミーのランダムな動きによる下振れや上振れには悩まされた。


 それでも、今回ほどじゃない。確かに、手応えは薄くなっていたけれど、それでもわからない程ではなかった。


 前回と今回。この差は何か?


 その答えに僕は辿(たど)り着いていた。


 きっと、連射武器か単発武器かの差だ。


 言うなれば、連射武器は線の挙動で、単発武器は点の挙動なのだ。


 連射武器の場合は、ダミーのイレギュラーな挙動に翻弄されても、すぐにエイムを合わせ直す技術が身に付いていけば、1マガジン全体で見た時の命中率は高くなっていく。


 つまり、連射の軌道と言う線が、ダミーの動きにどれだけ追従できるかが、上達の鍵になる。


 しかし、単発武器の場合は、1発勝負。その1発のタイミングでイレギュラーな挙動に翻弄(ほんろう)されると、ちゃんとできていたのに当たらない、ちゃんとできていないのに当たる、と言ったイレギュラーな結果が出てしまう。


 このイレギュラーな結果が、僕のデータベースを乱し、手応えを感じさせないのだ。


 うーむ。どうしたものか。


「MoMo。どうやら(つまず)いているようだね」


 ゲームモードになったK.A.I.先輩が、頭を抱える僕を見兼ねて、声を掛けてくれた。


「はい。実は…」


 僕は、中々上達できない旨と、僕が考えたその理由について伝えた。

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