006-026 2発で確実に1人を屠る
「この辺は、相変わらずのクソ安地だなぁ」
K.A.I.先輩が予想、いや、予言した最終安地に入ってすぐ、you先輩はそうぼやいた。
今回の安地は、建物がない場所だ。
K.A.I.先輩の正確な安地読みの利点の1つに、強ポジに先入りできると言うものがある。
しかし、今回の安地では殆ど強ポジと呼べる場所がないため、you先輩はぼやいたと言うわけだ。
「きっと敵は暫く来ないだろうけど、警戒はしっかりね〜」
まだ第3収縮も始まっていない状況だと言うのに、先輩達も含めて残り3パーティ。
こうなって来ると、ある程度安地が狭くなるまでは、接敵するのが難しくなる。
先輩達は比較的強ポジ(とは言え、吹けば飛ぶような優位性しかない場所だけど)に陣取って、辺りを監視した。
キルログが流れ、残り部隊数は先輩達を含め、2パーティとなる。
「銃声、聞こえなかったよな?」
「そうだね。随分と遠くで戦闘が行われたようだ」
「まあ、良いんじゃない?相手が1パーティしかいないなら、変な駆け引きしなくて済むんだから。敵、見えたら撃つよ、ぼくは」
「それで良いよ〜。どうせ睨み合いになるだろうしね〜。だったら、相手の回復をできるだけ削りたいからね〜」
「とりあえず、オレ、地雷埋めて来るわ」
「それが布石になってくれると嬉しいね〜」
―――
時は流れ、第4収縮が開始した頃。
「あ〜、いた。こっち」
you先輩がピンを刺す。
「先輩、確殺優先で良いよね?」
「良いよ〜」
「1ダウン。…。確殺」
2発で確実に1人を屠る。流石の狙撃だ。
「you、何人見えた〜?あたし、3人しか見えなかったんだけど〜」
「4人いたな」
「そっか〜。じゃあ、これで4対3だね〜」
「つっても、こりゃ相当睨み合いが続くだろうぜ。あいつら、あの岩裏から動かないだろうしな。最終収縮次第では負けるまであるぞ」
「K.A.I.、もし、相手が顔を出して来るようだったら、狙撃よろしくね〜」
「了解」
you先輩の読み通り、第4収縮が終わるまで、戦況は一切変わらなかった。
そして、最終収縮の中心が示される。
「あんまり良いとは言えないなぁ。9割方勝てるとは思うが、相手の実力次第だな」
「なら、早めに仕掛けようか〜?」
「それもありだな。安地に押されるような展開になると、イレギュラーが起きた時に対処し切れないかも知れないからな」
「じゃあ、あたしが相手との間にスモーク焚くから、全員で攻めちゃおっか」
「あひゃっ。全員で突撃とか、安定性取るなら、滅多にやらないけどな。まあ、良いんじゃねぇの?敵、あいつらしかいないし、人数も割れてるし、MoMoちゃんにも珍しいもの見せてやりたいしな」
「よし。じゃあ、行こっか。K.A.I.はグレネード爆撃を、Tomoはあたしのサポートよろしくね〜」
「ああ」
「はい」
葵さんが2パーティを結ぶ直線上、やや相手よりにスモークグレネードを投げ、それが戦闘開始の合図となった。
両パーティ共に相手の様子は見えなくなったが、敵は先輩達が攻めて来ることを瞬時に把握したようで、煙幕の壁に向かって銃を乱射した。
そんなやぶれかぶれの弾幕など、そうそう当たる筈もなく。
そんな敵を襲ったのは、直下グレによる爆撃だった。
「1ダウン。30、50。もうグレない」
「充分、充分。ありがとね〜」
煙幕の壁を1番に抜けた葵さん達の前には、手負いの敵が2人。
敵にはもう葵さんしか見えていなかった。
視界の外からTomo先輩とyou先輩の弾幕が、敵を襲う。
画面に「CHAMPION」の文字が表示され、マッチは終了した。




