006-024 蘇生するのか?
「K.A.I.、足止めできる?」
部隊が分断している状況での背後からの奇襲。
その報告をyou先輩から受けた葵さんは、間髪入れずにK.A.I.先輩にそう問いかけていた。
「やれるだけやってみるけど」
自信がないような声色でK.A.I.先輩は返答する。
「よろしく〜。Tomo、必要最低限の弾だけ拾ったら、すぐに2人と合流して」
「はい。わかりました」
「1人ダウン。確殺は射線的に無理かな。だけど、起こすのも無理だろうね」
自信がなさそうな声を出した割には、しっかりと足止めの仕事を熟すK.A.I.先輩。
「了解、了解。それなら、あたしはちょっと漁ってから合流するね〜。K.A.I.、弾は?」
せっかく人数有利なのに詰めないのか。
「ちょっと心許ない」
「りょうか〜い。みんな、回復は?」
「オレは、とりあえずは大丈夫」
「私も大丈夫です」
「僕も。あれば嬉しいけど」
奇襲に来た敵チームは出鼻を挫かれ、現状は両チームの睨み合いになっている。
「お待たせ〜。とりあえず、K.A.I.の分の弾と回復ね」
「ありがとう。助かるよ」
「you、ここから更に別パが来る可能性は?」
「殆どないだろうな。更に言えば、数分以内は0と言っても良い」
「じゃあ、早々に詰めちゃおうか〜。K.A.I.を残して3人で行くよ〜」
「はい」
「OK〜」
2チームの間には遮蔽が殆どなく、攻めるのが難しい地形だ。
加えて、高低差もあるので、先輩達の方から攻めるのはより難しいだろう。
そんな状況だと言うのに、葵さんの指示を受けてすぐに、3人は駆け出した。
それに気付いた敵も、当然応戦する。
しかし、K.A.I.先輩はそれを許さない。
顔を出した敵をヘッドショットで黙らせる。
残った2人はすぐに顔を引っ込めた。
先輩達が到達するまでは、ギリギリ蘇生が通るかも知れないくらいの時間がある。
蘇生するのか?
僕がそう考えたのも束の間、葵さんは敵が隠れた遮蔽裏にグレネードを投げ込んでいた。
敵は燻し出され、違う遮蔽へと移動する。
その隙を逃さないのが、K.A.I.先輩。
追加で1人のダウンを取る。
こうなってしまえば、3対1。
葵さん達が負けるのは至難の業だろう。
漁夫の利を狙って奇襲を仕掛けた敵は、こうして返り討ちにあったのだった。
「さて、ひと段落かな〜?敵はもう来ないんだよね、you?」
「ああ、着地の感じを見るに、銃声が届く範囲にはもう敵はいない筈だぜ。9割方、安全だろうな。まあ、襲ってくるとしたら、わざわざ安地外れてるこっちに足を伸ばそうとする変人か、オレ達を何故かゴースティングできるヤバい奴くらいだろうぜ」
「りょうか〜い。K.A.I.、安地は?」
「この辺」
「随分と北の方に寄るんだね〜。とりあえず、装備整えちゃおうか〜」
ちなみに、先輩達は今、南南西のランドマークにいる。
「はい」
先輩達はランドマーク内に散って、装備を整え始めた。
「you、上策は?」
「西側を大きく回るようにして、K.A.I.がピンを刺した位置に移動するのが、1番だろうな。途中、接敵する可能性はあるが、オレ達なら問題なく轢き殺せるだろ」
「なるほどね〜。ちなみに、最短距離でピンの位置目指すって言うのは?」
「中央を突っ切るってことか?」
「そうそう〜」
「そりゃ下策も下策だな。敵同士が戦ってる場面に遭遇する可能性も高いし、オレ達が戦闘してる最中に漁夫が来る可能性もある」
「あたしがそうしたいって言ったら?」
「まあ、反対はしねぇよ。オレが示したのは1番勝率が高いであろう策だ。どんなに良さそうな立ち回りをしても、負ける時は負けるし、どんなに無謀な立ち回りをしても、勝てる時は勝てるからな。それに、MoMoちゃんに戦闘シーンを見せるって目的を優先するなら、敢えて厳しそうな策を選ぶのも一興だろうぜ」
「じゃあ、中央突破しようか〜」
「OK〜」
「2人も良いよね?」
「ええ。私は先輩が選んだ道なら、どんな茨の道でも喜んで着いていきます」
「ぼくも異論はない。与えられた仕事を熟すだけだよ」
先輩達の戦いは、中盤に差し掛かる。




