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日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
006 GW(2041)
42/83

006-021 僕の記憶の中にこの人は存在しない


 いつも通りにお昼の時間は過ぎて行く。


 先輩達は売店で買って近くで食べ、僕は自販機で買って部室で食べる。


 静かな部室、1人で黙々と食べるのは少し寂しいけど、先輩達と食べてるところを同級生にでも見られて、(うわさ)される恥ずかしさに比べれば、大したことではない。


 食事をしながらも、僕は偏差のことで頭がいっぱいだった。


 どうすれば上手くできるのだろう。どうすれば早く上手くなるのだろう。


 そんなことを考えながら、作業のように食べ物を口に運ぶ。


 だから、部室はただただ静かだった。


 そんな静寂(せいじゃく)突如(とつじょ)、切り裂かれる。


 勢い良く部室の扉が開いた。


「やっほ〜、遊びに来たよ〜」


 音に釣られて僕の首は扉の方へと回る。


 知らない人だった。


 くせっ毛の短い黒髪に眼鏡の女性。


 僕の記憶の中にこの人は存在しない。


「あっ。えっと」


「ごめんなさい!間違えました!」


 勢い良く扉が閉まる。


 一体、なんだったんだろう?


 穏やかそうな見た目に反して、台風のような人だった。


 僕がそんなことを考えていると、扉越しに「あれ?やっぱりここがゲーム部だ〜」なんて声が聞こえてくる。


 先輩達の知り合いかな?


 僕は部室を出る。


「あの、先輩達の知り合いの方ですか?先輩達なら今、売店の方にいると思いますけど」


「あ、そうなんだ〜。もしかして、君、1年生かな〜?」


「あ、はい。そうです」


「そっか、そっか〜。『誰だ?』って顔してるから、自己紹介させてもらうけど、あたしは金田(かねだ)(あおい)。この学校の卒業生で、元ゲーム部員だよ〜」


 点が繋がって、線になる。


「あ、じゃあ、僕も自己紹介させていただきます。桃井響と言います。最近ゲーム部に入部しました」


「そっか〜。よろしくね〜」


「はい。よろしくお願いします。あっ、どうぞ、部室の中に入ってください」


「ありがと〜。じゃあ、遠慮なく〜」


 先輩達、呼んできた方が良いのかな?なんて考えながら、僕は金田先輩を部室に通した。

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