001-003 そんなに凄い人なんですね
「さて、チーム分け、対戦設定変更完了だ。みんなヘッドセットを付けてくれるかい?ここからはチームメイトの声以外聞こえないからね。試合開始は10分後だよ。それまでの時間は各チーム作戦会議にでもあててくれ」
会長の指示通り、僕はヘッドセットをつける。
周りの音が全て遮断され、何も聞こえなくなる。
「あー、あー。モモイ君、聞こえるかな?」
「はい、聞こえます。僕の声は聞こえていますか?」
「ああ、問題ないよ。じゃあ、簡単な作戦会議と行こうか。まずは、今回の対戦相手の紹介から、まずはyou。youは心理戦を得意としているんだ。ダウトやポーカーなどの心理戦が主となるゲームをさせたら、右に出るものはいないだろうね。私も心理戦は得意な方だけれど、youには1度も勝てたことがないほどだよ」
「そんなに凄い人なんですね」
流石は、実績のある(元)ゲーム部だ。
「もう1人は、K.A.I.。K.A.I.はマイナーマニアなんだ」
「マイナーマニア、ですか?」
聞き覚えのない言葉に僕は聞き返す。
「言葉自体は私達の中で使われている造語だけれどね。K.A.I.は人が選ばないような戦法やアイテム、キャラクターを使った戦闘を得意としているんだ。今回のゲームだと、スナイパーライフル、ハンドガン、グレネードや地雷かな。一般的にはメインにしないようなそれらを使って平然とキルを取ってくるからね。気を付けて欲しい。そして、K.A.I.は逆に、サブマシンガンやアサルトライフル、ショットガンのようなメジャーな武器は決して使わない。その辺りも頭に入れておいて欲しい」
「わかりました」
「それと、近距離スナイプと言う戦法も使ってくるかも知れないね」
「近距離スナイプってどう言うことですか?」
「ショットガンの適正距離でスナイパーライフルを使うのさ。ちなみに、知ってはいると思うけど、どの距離でもスナイパーライフルでヘッドショットされたら、即ダウンだからね」
「流石に、近距離でヘッドショットはできないと思いますが」
「それをして来るのがK.A.I.だよ。さて、2人の紹介はこれくらいにして、私達の作戦を立てようか。とは言え、私達は先程出会ったばかり。お互いの息を合わせるのは難しいだろう」
「そうですね」
「それに、これはモモイ君の試験だ。だから、君は思うように動くと良い。カバーを私に任せて、ね」
「わかりました」
僕達のチームが、作戦と呼べないそんな作戦を立てたところで、ゲームは始まる。