表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
006 GW(2041)
39/83

006-018 努力しかないってことか…


 K.A.I.先輩に促されるままに、僕は12個のターゲットを狙撃した。


 結果は9発ヒット。


 その結果だけ聞くと、相当当たっているように聞こえるが、K.A.I.先輩には程遠い。


 赤くなった的は1つもなく、消滅した(ヘッドショットできた)ダミーも1つもなかったからだ。


 要は、本当に当てただけってこと。クリティカルヒットは1つもない。


 それに、射撃の速度もそこそこだ。


 僕なりに急いだものの、K.A.I.先輩みたいに「エイムの時間をほぼ0に」と言うわけにはいかなかった。


「ふ〜ん。ま、20点ってところかな。偏差(へんさ)も弾速も何となくしか理解できてない感じだ」


 後ろで僕の画面を見ていたK.A.I.先輩はそう言った。


「すみません。僕には、K.A.I.先輩みたいな才能はなかったみたいで…」


「おいおい。簡単に『才能』なんて言葉を使うなよ。才能やセンスがないと言って良いのは2つのタイミングだけだ」


「2つの、タイミング?」


「ああ。『数千時間練習しても一向に上手くならない時』か、『研鑽(けんさん)して積み上げたものを圧倒的な才能に押し潰された時』だけ。充分な努力もせずに才能やセンスがないって言うのは、ただの逃げだ」


「逃げ…。確かに、そうかも知れません。すみません、甘えてました」


「それに、才能はあるかないかではないよ。もっと段階的なものなのさ。だから、本当に才能が全くないなんてことはそうそうない。才能が少しでもあれば、努力である程度のところまで行けるものさ」


「なるほど」


「だから…」


 K.A.I.先輩は、僕の肩に手を置き、もう片方の手で僕が着けているヘッドホンをずらすように外した。


「…?」


「ぼくのいる場所なんて、目指そうと思えば、大抵の人間が到達できる。ただ、誰もそこを目指そうとしていないだけでね」


 そう、僕の耳元で(ささや)いた。


「ッ!」


 耳元でイケボ囁かれるのしゅごい。


「さ。わかったら練習だ」


 K.A.I.先輩は自席へと戻っていく。


「は、はい!」


「まずはSR(スナイパーライフル)のスペックを頭に、いや、体に叩き込むところから始めよう。MoMoへの課題は2つ。1つは、『縦の偏差を体得すること』。そして、もう1つは、『横の偏差、つまり、弾速を体得すること』だ」


「はい」


「まずは、『縦の偏差を体得すること』から始めよう。それぞれ距離の違う動かない3つの的を使う。あれとあれと、あれだ」


 そう言いながら、K.A.I.先輩は3つの的を撃ち抜いた。


「もしかして、3つの的を赤色で撃ち抜けるようにする感じですか?」


「そう。MoMoが縦の偏差を体得したと感じたら、ぼくを呼んでくれ。本当に体得できたか、試験する」


「試験ですか?」


「ああ。手前から順番に1番、2番、3番と呼ぶとしようか。ぼくが番号をランダムに言っていくから、10回連続で赤ヒットできたら、合格としよう」


「わかりました。それで、どう練習すれば…?」


「ぼくは『体得』と言ったんだ。只管(ひたすら)狙撃する以外に方法があると?MoMoは自転車の乗り方を理屈で覚えたのかい?」


「…わかりました」


 努力しかないってことか…。


 努力を努力と思わないタイプのK.A.I.先輩に、聞いた僕が馬鹿だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ