006-014 これは…ッ!
【最終結果】
K.A.I.:10,000
Tomo:9,500
you:82,000
MoMo:-1,500
終わってみれば、you先輩の圧勝だった。
2位のK.A.I.先輩と7万点以上の差を付けている。
「さてさて、結局のところ、やっぱりオレが1着でMoMoちゃんが4着だったなぁ」
嬉しそうに、you先輩はそう言った。
「それで。僕への命令は何なんですか?」
「ありゃ?やけに素直だね。もっとゴネるかと思ってた」
「勝負の結果ですから、受け入れますよ」
「立派な心がけだ。でも、勝負師の器じゃない」
「勝負師の、器…?」
「MoMoちゃん、最後の局、1着取るの諦めたろ?3着になればそれで良い。そんな気持ちだった」
「!見抜いていたんですか!?」
「ああ。勝とうと言う強さがない。ただ助かろうとしてた。博打で負けの込んだ人間が最後に陥る思考回路。MoMoちゃんはただ怯えていた。そんなんじゃ勝つことは当然できないし、それどころか生き残ることすらできない」
「確かに、you先輩の言う通りかも知れませんね」
「ま、でも、そんなに気に病むな。オレぁ玄人だからよ。素人のガキに負けるわけにはいかんのよね」
「ばいにん?」
「さ〜て、MoMoちゃんへの命令だが…」
「…」
どんな理不尽な命令が飛んでくる…?
「保留にしようかな」
「保留、ですか?」
身構えていた分、肩透かしを受けた気分になる。
「ああ、今、下したい命令もないしな。それに…」
「それに?」
「命令できる権利。これを保有していると言うだけで優越感があるから、今はそれで満足なのさ」
「性格悪いですね」
「あひゃひゃ、ありがとう。最高の褒め言葉だよ」
かくして、第1回ゲーム部麻雀大会は幕を閉じた(第2回があるかはわからないけど)。
―――
「さて、少し早いけど、昼食にしようか」
牌やら点棒やらを片付け終わって、Tomo先輩はそう言った。
「わかりました」
「オレ達は売店で飯買って食うけど、MoMoちゃんも付いてくるかい?」
「いや、僕は良いです」
「なんで?」
「いや、その、ちょっとあれなんで」
昨日、一昨日とタイミングが合わず、僕は1人でお昼ご飯を食べていたが、それで良かった。
「まあ、MoMoが嫌がってるなら、無理に一緒に食べる必要ないんじゃない?わたし達だけで行きましょう」
「いやいや、別に『嫌』ってわけじゃないんですよ。ただ、その、ちょっと気恥ずかしくて」
「なんで?」
「だ、だって、先輩達、すごい綺麗じゃないですか。僕みたいなのが先輩達と一緒に食事して、同級生に噂とかされると恥ずかしいですし」
そう。先輩達は皆、美形なのだ。
K.A.I.先輩は、ザ・可愛い系。きっと廊下ですれ違って一目惚れした男も多いだろう。
Tomo先輩は、イケメン枠。男女問わず心を奪っている筈だ。正直、Tomo先輩ファンクラブがあっても驚きはしない。
you先輩は、俺だけが知ってる美少女ポジ。目の下のくまや猫背でパッと見は気付きにくいけど、よく見たら美人だ。口さえ閉じてれば、完璧に近いのだけど。
そんな美形の3人と僕みたいな地味な奴が一緒にご飯を食べていたら、それは時空の歪みを感じるほどに異変塗れの光景だろう。
「えっ?よく聞こえなかったわ。オレ達がなんだって?」
聞こえているのに白々しい。
こんな恥ずかしいこと、2度も3度も言えるか…。
「…」
そう思った僕の顔に熱が籠る。
「揶揄ってんじゃないわよ。MoMo、真っ赤になってるじゃない」
「MoMoが私達のことをそんな風に見ていてくれたなんて、嬉しいね。でも、そんなこと気にする必要はないよ。MoMoも充分に可愛らしいのだからね」
「それ、フォローになってなくない?ま、こればっかりはわたし達がどうこう言える問題じゃないし、MoMoの判断に任せましょう」
「そうだね。きっと私達ともっと親しくなれば、周囲の目線なんて気にならなくなるだろうからね」
「ねぇ、ねぇ、MoMoちゃん。オレ達がなんだって?」
「しつこい」
K.A.I.先輩がyou先輩をチョップする。
先輩達は、売店へと向かっていった。
僕も自販機で適当にお昼ご飯を買った。
それを食べながら。
そう言えば、you先輩が言っていた「ばいにん」ってなんなんだろう?
そう思った僕は、検索窓に「ばいにん 麻雀」と入力して検索する。
!
これは…ッ!




