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日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
006 GW(2041)
30/83

006-009 …わかりました


 GW(ゴールデンウイーク)3日目。


 今日からK.A.I.先輩の指導を受けるんだと、少し気合の入っていた僕は、部室の扉を開ける。


 ジャラジャラジャラ。


 僕が扉を開ける音を掻き消すような騒がしい音が部室の中に響いていた。


「よぉ〜、MoMoちゃん」


 既に先輩達は揃っていて、机が正方形になるように並べられていた。


 そして、その机の上に置かれていたのは、緑色のマットだった。


 そして、そのマットの上には100を超える小さな直方体が散乱している。


「これって、麻雀、ですよね?」


「そ、麻雀マットと麻雀牌だ」


「今日は麻雀やるんですか?」


「そだよ。昨日さ、パ…親父がどっかから引っ張り出して来てよ。持ってけって言うから、持って来た」


「今日はK.A.I.先輩の指導を受ける(はず)じゃ…」


「昨日、一昨日と、バトロワばっかやってて、そろそろ飽きて来たころじゃね?なら、午前中くらいは麻雀でもよくないか?」


「まぁ、先輩達が麻雀って言うなら、僕はそれでも…」


「それに、麻雀はバトロワの練習にもなるんだぜ」


「どう言うことですか?」


「MoMoちゃんは麻雀知ってる?」


「まあ、一応ルールくらいは。デジタルでならやったこともありますし」


「いいね。流石、ゲーム部員。やっぱゲーム部員たる者、アナログゲームもゲームとして楽しまなきゃな。で、一応ルールは知ってるMoMoちゃんに問題だ。麻雀で相手にロンされることをなんて言うか知ってるか?」


「えっと、確か『放銃』とか言ったような」


「そう、『放銃』。つまり、麻雀をやることで、相手から放銃される、撃たれる経験を積むことができるのだ!」


 しょうもないダジャレだった。


「…やっぱり、麻雀なんてやらずにバトロワにしましょうか」


「なんで!?」


「MoMo、そんなこと言わないで、相手してあげなさい。こいつ、誰よりも早く部室に来て、ずっと(はい)(いじ)ってたのよ。『MoMoちゃん、麻雀できるのかな?』とか、嬉しそうに言ってたんだから」


「なっ!?変なことバラすなよ、K.A.I.」


「わたしは助け舟を出しただけよ」


「…わかりました。やりましょう、麻雀」


「マジで。やった!」


 なんか、今日のyou先輩は幼女みたいな無垢さだな。


 ちょっと可愛いな(保護者的な目線)。


「でも、僕、そんなに詳しくないですよ。その、麻雀牌なんて触ったことないですし」


「大丈夫、大丈夫。お姉さんが手取り足取り教えてあげるから。まずはルール決めるところからだな」


「ルールを、決める?」


「そ、色々あるんだぜ。とりあえず、半荘(ハンチャン)1回で西入(シャーニュウ)はなし」


「シャーニュウって何ですか?」


「半荘って、東場(トンバ)4局と南場(ナンバ)4局だろ?」


「はい」


「で、その半荘が終わった時に、トップの点数が特定の点数未満だった時に西場(シャーバ)になるんよ。3万点未満がメジャーかな?」


「なるほど、『西場』に『入る』で西入ってことですね。それで、今回はそれはなしと」


「そ。トップが何点であろうとも南4局で終わりってこと。後、(あらかじ)め決めとかないといけないところは、アリアリ、ダブル役満以上あり、頭ハネなしってところか?」


「1つずつ説明してもらっても良いですか?」


「良いよ」


「『アリアリ』って言うのは…?」


「喰いタンあり、後付けありってことだな。喰いタンってのは、鳴いて作るタンヤオのことで、後付けは、役を後から付けるような鳴きのことだな。今回はそれが両方ありだから、要は、アガった時に役があればOKってこと」


「わかりました。ダブル役満以上ありって言うのは、『字一色(ツーイーソー)四暗刻(スーアンコウ)単騎』みたいな役で上がったら、3倍役満ってことですよね?」


「そそ。まあ、そんなこと滅多に起きないと思うけど、一応ね。で、最後の頭ハネなしってのは、ダブロン・トリロンができるってことね」


「つまり、2人以上が放銃できるってことですね」


「そ。ついでに点数計算のルールも説明しておくと、ウマもオカもなし。精算はしないで、シンプルに半荘終わった時点での持ち点数の多さがそのまま順位になる感じで。精算なしだから、焼き鳥のペナルティもなしね」


「『焼き鳥』ってなんですか?」


「半荘終わるまでに1度も上がれないことだな」


「なるほど。じゃあ、もし仮に1度も上がれなくても特に何もないってことですね」


「ああ、そうなる。ちなみに、誰かが箱割れ、つまり、持ち点がマイナスになってもゲーム終了な」


「わかりました」


「よし。じゃあ、やろうか。早速」


 かくして、僕達の半荘が始まることとなった。

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