006-008 僕は少し落ち込む
先輩達はやっぱり凄い。
猛者が集まるプロ上位帯だと言うのに、チャンピオン率は驚異の2割弱だ。
5位までに入る割合で言えば9割に達するほど。
初動で余程大きなミスさえなければ、中盤は安定していて、大抵は5位以上にはなれる感じだ。
あっという間に先輩達はプロ7に昇格し、僕もアマ8まで一瞬で到達した。
―――
そして、16:30過ぎ。
「今日はここまでだね」
「くっそ〜、3位か〜。最後はチャンピオン取って終わりたかったぜ。まあ、今日の目的はそこじゃないから良いんだが」
「何か目的があったんですか?僕、知らなかったんですけど…」
「あ、良いの良いの、MoMoちゃんは知らなくて。変に伝えて、肩に力入れられちゃうと困るからさ」
「どう言うことですか?」
「MoMoちゃんの実力が見たかったんだよね」
「僕の実力、ですか?」
「そ。この間まででさ、MoMoちゃんにはエイムが足りてないことは明らかだったんだけど」
「明らかだったんですね…」
僕は少し落ち込む。
「じゃあ、特訓してエイムを身に付けたらどうなるかなって」
「どう、でした?」
「割と申し分ない。キャラコンとかエイム以外の技術は平均以上だし、エイムを昨日今日でガチガチの強者レベルまで持っていけたから、まあ、及第点って感じかな」
「本当ですか!?」
少し「割と」と言う表現には引っ掛かったけど、you先輩に褒めて貰えたのは素直に嬉しかった。
「ほんとほんと。部長的にはどうよ?」
「ゲームの流れとして有利な状況であれば、私のサポートは必要ないだろうね」
「そいつは上々」
「あと5時間。それくらいの時間さえあれば、私の方も、MoMoに最適化したサポートを提供できると思うよ」
「OK〜。いやはや、MoMoちゃんが独り立ちしてくれて助かるね。オレとしても戦略の幅が広がるわけだし。…。とは言え、思ったよりMoMoちゃんの仕上がりが早かったな」
「駄目、なんですか?」
「いや、ダメってわけじゃないけどよ。元々GW丸々使ってMoMoちゃんを仕上げる予定だったから時間が余るなって。まあ、MoMoちゃんの自主練の成果だろうから、素直に褒めるべきなんだけどね。時間が余ったら余ったなりに+αを身に付けて貰うだけなんだけど、なんかMoMoちゃん、自分で認識してる弱点とかってある?」
「そうですね…。パッと思い付く限りだと、2つでしょうか?」
「ほうほう?」
「1つは、初動の弱さですかね。サブマシンガンやアサルトライフルが取れれば、勝てるんですけど、何も武器がなかったり、ピストルとかスナイパーライフルしかないと結構厳しいですね」
「格闘、ピストル、スナイパーライフルでの戦い方はK.A.I.に習うのが1番だろうな。どうよ、K.A.I.?」
「別に教えてあげるのは良いわよ」
ソシャゲのスタミナを消費しながら、K.A.I.先輩はそう言った。
「で、ショットガンの扱いは、部長に習うか、ネットで調べるかだな」
「そうだね。正直、私もそこまで得意と言うわけではないからね」
「そんで、もう1つは?」
「はい。グレネードの扱いですね。いまいち要領を得なくて」
「まあ、それもK.A.I.頼みだな。K.A.I.はグレネードで相手を殺すあらゆる手段を知ってるからな。とりあえず、明日以降はK.A.I.に指導して貰うって感じになるんだろうな。つ〜訳で、よろしくな、K.A.I.」
「よろしくお願いします」
「ん、了解。わたしに任せておきなさい」
そんな雑談もそこそこに僕達は解散した。
九鬼先生が教頭に小言を言われる前に。




