006-007 相討ちだった
「こっち、敵来ましたね」
数分ぶりのマッチに関係する発言だった。
第2収縮、第3収縮を同じ建物で過ごした僕達は周りの監視をしながら、ただ駄弁っていた。
それは、カジュアルマッチなんじゃないかと錯覚するほどだった。
残り人数、残り部隊数は着々と減り、残るチームは5チーム、17人と言ったところだった。
「フルパ?」
「いや、そこまではわからなかったです。多分2人はいて、あの建物に入った感じです」
「向こうの方から銃声が聞こえるから、2パがやり合ってるとして、残り1パが何処にいるかだな。K.A.I.、MoMoちゃんが見つけた家の敵見張っててくんね?牽制がてら狙撃しても良いよ」
「了解」
「良いんですか?位置バレちゃいますよ」
「大丈夫、大丈夫。寧ろ、『ここにいるから、こっち来るな』のアピールになるし。こっち有利ポジだから、そうそう攻めて来ないっしょ。MoMoちゃんは、K.A.I.が見張ってた方向引き継ぎな」
「はい。わかりました」
直後、銃声が轟く。
「1ダウン」
「ナイス。お、1パ減った。向こうでやり合ってたの終わったな」
収縮が始まる。
「いた。あそこの岩陰に2人組だね。さっき逃した2人みたいだ」
「OK〜。それ、ハイドっぽいな。まあ、放置しておいて良いとして。あ〜、来たわ。さっき戦闘してた奴ら。フルパだな。よしよし。全部のパーティの場所、割れたな。そしたら、K.A.I.、あそこのフルパ、安地入れてないから、ハイドにぶつけるように弾いてくれ。で、MoMoちゃんは建物の敵の見張りしといて。部長はハイドがこっち来そうだったら弾いて、フルパとぶつかりそうだったら援護してあげて」
「了解」
「はい」
「わかった」
こうなったら、you先輩の詰め将棋だ。
そもそもこっちはK.A.I.先輩の安地読みが正確過ぎる所為で、有利ポジを取ってのスタートになっている。
それに、you先輩の盤面操作が加われば、鬼に金棒だ。
K.A.I.先輩が担当しているフルパは、安地に入れてないことを良いことに、K.A.I.先輩の格好の的になっている。
本来なら、ハイド組と逆方向に移動することもできるが、K.A.I.先輩のスナイプがそれを許さない。
僕の担当しているパーティは、先程、軽く顔を出した所をK.A.I.先輩にスナイプされたのがトラウマになったのか、全く顔を出して来ない。
あ、フルパとハイド組の戦闘が始まった。
K.A.I.先輩の射線の圧力と、Tomo先輩がサポートで、上手く人数差をカバーして、やり合ってる。
銃声が聞こえて来れば、建物のパーティも様子見して来る。
僕は彼らを撃って牽制した。
まあ、流石にダウンは取れないけど。
安地に追われているのもあってか、なんとフルパの方が壊滅した。
ハイド組も1ダウン取られてる。
「K.A.I.、グレ」
「了解」
K.A.I.先輩のグレネードは、容赦無く確殺する。
残るパーティは3つ。
岩陰にいる1人、建物にいるパーティ(おそらく3人)、そして、僕達。
三竦みになって、状況は硬直する。
しかし、状況はすぐに動き出す。
第4収縮が終わり、最終収縮の中心がマップ上に示されたのだ。
最終収縮の中心はランダムに決まる性質上、K.A.I.先輩でも、予想することはできない。
「うわ〜、きっつい安地」
最終収縮の中心は、建物のパーティ側に寄ったものだった。
「どうしますか?」
「とりあえず、不確定要素の排除だな。ハイド潰すか。みんなグレ何個持ってる?」
「2」
「2個です」
「3個だね」
「全部で9個か。K.A.I.、何個あれば岩裏のハイドやれる?」
「3つか4つ」
「OK〜。とりあえず、MoMoちゃんのグレ、K.A.I.に渡して、K.A.I.に空爆して貰うか。で、仕留め切れなかったらMoMoちゃんに行って貰う感じで」
「了解」
「わかりました」
早速、K.A.I.先輩の直下グレ空爆が始まる。
「20、50。やった」
何度見ても、K.A.I.先輩の直下グレはチート過ぎる、
「OK〜。なら、後は、あいつらとのタイマンだな。人数有利ではあるが、流石にきっかけもなしに詰められんよなぁ。なら、オレと部長のグレを1個残して、K.A.I.に渡して、部長とMoMoちゃんで、あそこの岩裏取って貰うか。顔出して来たら、K.A.I.とオレで抑え付ける感じで。いや〜、グレだけ怖いな」
「はい」
「わかったよ」
「了解」
僕とTomo先輩はすぐに行動を開始する。
その僕達を敵は見逃してくれない。
銃口を僕達の方へ向けた。
瞬間、敵の1人がダウンする。
K.A.I.先輩の狙撃だ。
刹那、Tomo先輩がグレネードを窓から投げ入れた。
「70と30」
「詰めて!詰めて!」
you先輩のその指示を聞いて、僕達は急いで詰める。
1階にいた1人と僕が対峙する。
僕のサブマシンガンの弾はほぼ全弾ヒットする。
しかし、敵の弾もほぼ全弾僕に当たった。
相討ちだった。
「相討ちしました」
「OK!後1人!後1人!」
床が映った僕の画面に「CHAMPION」の文字が表示されたのは、数秒後のことだった。




