006-006 僕の近くの地面に着弾した
「ストップ。いるな」
軽く雑談をしながら、移動していると、you先輩が話の腰を折ってそう言った。
僕達は岩陰に隠れる。
「4人いるようだね」
ここはランドマーク(マップ上の名前の付いている場所)とランドマークの間の場所。
お互いに移動している状態で接敵した形だ。
辺りには建物のような強い遮蔽はなく、岩のような弱い遮蔽しかない。
チュンッ。
僕の近くの地面に着弾した。
「気付かれた。けど、ぼくに比べれば大したスナイパーじゃないね。お返しだ」
K.A.I.先輩は相手のスナイパーを一撃で黙らせた。
「MoMoちゃん、あそこまで展開して」
you先輩はピンを刺して指示する。
「はい!」
僕は言われるがままに、駆け出した。
2発ほど被弾するも、僕は岩陰に無事入れた。
このような弱い遮蔽しかない場所での撃ち合いでは展開は有効だ。
お互いに正面からしか撃ち合わないと、ダメージを受けたら隠れて回復すれば良いので、戦いが長引いてしまう。
しかし、展開して、射線を増やせれば、相手に回復の暇を与えないことができる。
とは言え、こんなのは一般常識。相手は展開した僕に撃たせまいと僕の方に必死の牽制射撃をする。
これじゃあ顔を出せない。
そこに投げ込まれるグレネード。
「確キル入った。あと、50と20」
K.A.I.先輩の直下グレは、蘇生を許さない。
敵は堪らず、1ブロック下がった。
これじゃ僕の方からの射線も通らない。
「MoMoちゃん、詰めて。部長はMoMoちゃんのいるところまで移動」
「はい」
「了解」
せっかくのダメージも回復されてしまっては意味がない。
僕は急いで敵の方へ駆け寄った。
敵の銃口が僕の方へ向く。
「MoMoちゃん、下がって」
発射される銃弾を何とか躱しながら、僕は逃げるように岩陰に戻った。
そこには、Tomo先輩がいた。
気が付けば、you先輩とK.A.I.先輩も前進するように移動していた。
あ、これ、僕、囮にされたんだ。
そう気付いたけど、状況は良くなっているので、文句は言えない。
と言うか、言ってる場合じゃない。
敵の判断は早かった。
僕らが詰める準備をしていることがわかると、全力で逃げに転じた。
K.A.I.先輩が追撃するも、1人しかダウンを取れなかった。
「チッ」
「流石にプロ上位帯、逃げる判断早いなぁ。ま、キルポ2取れたし文句はなしかな。MoMoちゃんも良い動きだったよ」
「ありがとうございます」
「で、何の話してたんだっけ?MoMoちゃんは、女は性格ブスでも顔と身体さえ良ければ良い派って話だっけ?」
「そんな話、1mmもしてませんよ。えっと。確か…」
「漫画とかアニメの話だね」
Tomo先輩のサポートが会話でも光る。
「そうでした。僕はTomo先輩と一緒で、漫画やアニメは嗜む程度ですね」
「そっか〜。オレは、パ…親父の影響で結構マンガもアニメも好きなんだよね。割と声優も好き。K.A.I.はあれだよな?ソシャゲの影響で声優に詳しくて、推しの声優が出てるアニメとか、話題のアニメは見てる感じだよな」
「ああ、その認識であってるよ」
「だよな〜。だから、話が合う人が親父しかいないんだよなぁ。K.A.I.とは微妙に趣味が被ってるようで被ってないからな」
「今度、オススメのアニメでも教えてくださいよ。サブスク登録してるサービスで見れるやつなら見るんで」
「マジ?これは随分と有望な新人が入って来たな」
あ、そんなワクワクされると心苦しい。ちょっとした社交辞令感覚で言っただけなんだけど。
こんな会話をしながら、僕達は移動を続けた。
あれ以来、接敵することもなく、僕達は目的のポイントへと到着した。




