006-001 だから、僕は強くなりたい
GW初日。
僕の強化週間の初日だ。
きっと厳しい訓練が僕を待ち受けている。
そう思うとワクワクが止まらなかった。
別に僕は扱かれるのが好きなわけではない。
でも、強くなれると思えば、それくらい大した問題ではない。
ゲームごときに本気になってどうする。ゲームは楽しむためにやるものだ。
そう思う人もいるだろう。
だけど、僕はそうは思わない。
ゲームは楽しむためにやるもの。その意見には賛成する。
けれど、いや、だからこそ、本気でやるべきだと僕は思う。
本気で取り組んで、上達して、勝てるようになって、成長を実感する。
そのプロセスが大事なのだと思う。
それは何もゲームに限った話ではない。
勉強でも、スポーツでも、ゲームでも、どんなことも成長を実感する瞬間が1番楽しい。
僕にとって、本気になれるものがゲームだっただけのことだ。
それに、ゲームは勝負だ。
だったら、負けるよりも勝つ方が楽しいに決まってる。
だから、僕は強くなりたい。
成長を実感するために、勝負に勝てるようになるために、僕は強くなりたい。
「じゃあ、MoMoちゃん。特訓、始めようか」
「はい!」
「でも、始める前に1つ問題。このゲームで1番大切なことって何だろう?」
「立ち回り、ですかね?」
「うん。まあ、正解。如何に有利ポジを取るか、如何に人数有利を作るか、そう言った正しい状況判断ができることは大事だ」
「じゃあ、これから、僕は立ち回りの勉強をするってことですか?」
「いんや、違う」
「えっ」
「立ち回りは確かに大切なことだけど、MoMoちゃんが身に付けるべき内容ではない」
「何でですか?」
「理由は2つ。1つは、オレがいるから。オレの指示をちゃんと熟せれば良いんだから、MoMoちゃんが立ち回りを考えなくても問題はない。そして、もう1つは、立ち回りはそんな簡単に身に付けられるものじゃないから。今のMoMoちゃんの実力だとコスパが悪いんだよ」
「じゃあ、僕はこれから何をするんですか?」
「そこで最初の質問に戻る。このゲームで1番大切なことをMoMoちゃんには身に付けてもらう」
「それはなんですか?」
「敵に弾を当てること、だね」
「そんな当た…」
「当たり前のことだよ。確かにね。でも、本当に1番大切なことだ。100点の立ち回りができても弾が1発も敵に当たらないんじゃ意味がない。そして、MoMoちゃんはそれができてない。そんな当たり前のことがね」
「でも、僕もちゃんとキル取れてますよ」
「はぁ」
you先輩は深い溜め息を吐く。
「なんですか?」
「そう思ってる時点でMoMoちゃんはダメ。あれは部長の援護があってこそだからね。まあ、論より証拠。訓練場入って貰える?」
「はい」
僕は渋々訓練場(武器の試し打ちなどができるモード)に入る。
「サブマシンガンと弾だけ持って、ダミー(訓練用の的)から20mくらい離れて撃ってみて。あ、横移動とかしなくて良いから、その場で撃って」
「はい」
僕は言われるがままに、ダミーを射撃する。
ワンマガジン24発を撃ち切った。
「命中率は?」
「79.2%。19発当たった感じですね」
8割は結構当たっているイメージだ。
「これを100%にして貰うから」
「100%!?プロでも無理ですよ」
「ダウト。それは嘘。20m棒立ちなら、少し練習すれば誰でもできるようになるから。つか、それぐらいやって貰わないと困る。と言う訳で、レッスン1『棒立ちで命中率100%を目指そう』。要は、リコイルパターンを身体に叩き込もうってことだな。武器はアサルトライフルとサブマシンガンね。ワンマガ撃ち切った時の命中率100%を10回連続でできたら、その武器終わりで良いから。ちなみに、アサルトライフルは60mね」
「わかり、ました」




