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日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
001 始まり
2/77

001-002 入部試験か、どんなことするんだろ?


 廃部のショックで何処(どこ)かへ行っていた心を取り戻し、職員室から急いで部室棟へと歩みを進める僕は、部室棟入り口の掲示板に目を()める。


 4月の頭と言うこともあって、掲示板には様々な部活の勧誘ポスターが貼られていた。


 それこそ狭い掲示板に全てのポスターがギチギチに詰め込まれたように貼られていて、むしろ、何でお互いが重なっていないのかが不思議なくらいだ。


 しかし、そんなポスターの密集した掲示板の中央に堂々と鎮座するポスターが1枚。


 黒い紙に白と赤の字と言う異色の配色で書かれたそれは、間違いなく僕が求めてやまないゲーム部、いや、ゲーム同好会のものだった。


 そのポスターにはこう書かれていた。


***


ゲーム同好会


強いプレイヤー募集。

遊び感覚で入ろうとしている方は地獄を見ます。

覚悟のある方は下記のメールアドレスに連絡してください。

入会試験の準備ができたら、こちらから連絡いたします。


***


 良い!まさしく僕の求めていたゲーム部だ!


 部員が足りなくて同好会になってなお、人員募集の基準を(ゆる)めないストイックさ。素晴らしい!


 僕は早速ウェアラブル端末を使ってポスターのメアドを読み取って、入部試験の申し込みをした。


 とりあえず、返信待ちだな。


 入部試験か、どんなことするんだろ?


 今日は家に帰って試験対策でもしておくかな。


 バトロワか、格ゲーか、きっと公式e-Sportsの中のどれかだろうな。


 なんて、僕が試験内容に思いを()せていると、メールの通知が飛んで来た。


***


件名: RE:入部試験の受験依頼

本文:

モモイ ヒビキ様

試験の準備が整いましたので、本日17:00にゲーム部元部室にお越し下さい。


***


 メールを読んだ僕は、チラリと端末の時計を見る。


 16:53。


 後7分で試験じゃないか!?


 僕は急いで、部室棟の中へと入る。


 室名札を確認しながら、1階、2階、3階と部室棟を登っていくと、3階の奥から2番目で(ようや)くゲーム同好会の名前を見つけることができた。


 16:58。何とか間に合った。


 僕は引き戸をノックする。


 戸についた窓から見える室内は暗く、本当に人がいるのかと心配になってしまう。


「どうぞ」


 良かった。人はいた。


 返事を聞いた僕は、扉を開けて中に入る。


 案の定、室内は真っ暗で、PCのディスプレイだけが(まぶ)しいほど光っている。


 PCの画面の光によって、そのPCが置かれた1つの机と椅子が照らされていた。


 ここに座れってことだろうか?


「モモイ君だね?さぁ、座ってくれ」


 僕が戸惑(とまど)っていると、先程と同じく凛々(りり)しい声が聞こえて来る。


 真っ暗で姿は全然見えないけれど。


 僕がPCの置いてある席に座ると、ディスプレイには公式バトロワの画面が表示されていた。


 ローカルマッチのロビーだろうか?


 僕は画面に表示されたプレイヤーリストを覗く。


 僕が「guest1」だとして、僕以外のメンバーは「Tomo」、「K.A.I.」、「you」、先輩方かな?


 てか、3人もいたんだ。


「さて、新入部員候補君、いや、同好会だから新入会員候補君かな?君には2対2で対戦してもらうよ。私達の中から1人を選んでくれ。選んだメンバーとチームの組んで残りのメンバーと対戦してもらう、それが今回の入会試験さ」


「えっ、じゃあ、Tomo先輩、お願いしても良いですか?」


 誰が誰だかわかっていない以上、名前だけ見て悩んでも仕方がないので、僕は1番上に表示されていたTomo先輩を選んだ。


「おや、私かい?本当は敵として君の実力を見たかったところだけれど、良いだろう、チームメイトとして、しかと見せてもらうよ」


 どうやら僕に説明してくれている彼がTomo先輩らしい。


「へぇ、部長を選ぶんだ。ゲーマーとしてのセンスが良いんだか、勘が良いんだか」


 前方から聞こえていたTomo先輩とは別の声が左の方から聴こえて来る。


 ザ・イケメン、みたいなTomo先輩の低い声とは違い、こちらの人の声は高い。まるで中学生みたいな声だ。


「you、今の私は部長ではない、同好会の長、言わば会長だよ」


 イケメンボイスで会長と言われると、同好会長ってより、生徒会長って感じがする。


「そいつは失礼。K.A.I.!会長が相手だ、オレらも本気で行かなきゃだな」


「ああ、ぼくの方は問題ない。そっちこそ、ぼくの足を引っ張らないように気をつけなよ」


 you先輩の呼びかけに応じるようにK.A.I.先輩が口を開く。


 どうやら右側にはK.A.I.先輩がいるようだ。


 それにしても、男性にしては(わず)かに高いが、落ち着いた声だ。イメージとしては、仕事人、的な?you先輩とはまさに真逆のイメージだ。


 ホストであるTomoさんがチーム分けをし、試験が今から始まろうとしている。


 絶対に勝つぞ!勝って部員(会員?)になるんだ!


 ちなみに、メンバーの位置関係はこんな感じ。


・Tomo先輩

 会長、イケメンボイス。

 僕の正面に座っている(ようだ)。


・you先輩

 中学生みたいな高いの声。

 僕の左前方に座っている(ようだ)。


・K.A.I.先輩

 落ち着きのある高めの声。

 僕の右前方に座っている(ようだ)。

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