003-003 な、何のことですか?
「書き終わったのかな?MoMoちゃん」
僕は書いた紙を裏返して机の上に伏せた。
「はい!」
「じゃあ、当てちゃうよん。う〜ん。…167341」
「ッ!?」
僕が書こうと一瞬だけ考えた数字をピタリと言い当てられ、驚いてしまう。
危ない。あのまま書いていたら、当てられていたことだろう。
「いや、違うな。…。…なるほど。MoMoちゃ〜ん、それはズルいんじゃないの?」
「な、何のことですか?」
「ふ〜ん、しらばっくれるんだ〜。良いよ、答えてあげる。MoMoちゃんがその紙に書いたのは、ズバリ『π』だね!」
そう言って、you先輩は裏返された紙をめくった。
そこに書かれていたのは、「π」。
you先輩は僕の心を読みきったのだ。
「何で、わかったんですか?」
「何でも何も、わかるものはわかるのさ。ま、大方、整数に、分数、小数、どれを書いても読まれると思ったから、0〜9の数字を使わないπを選んだんだろ?円周率は数学定数だ。反則スレスレだけど、一意の数に決まる以上、数字って認めてあげても良いかな」
「…降参です」
「あっ、もしかして、さっきおっぱいの話、してたから、πって書いたのかな?なんて。あひゃひゃひゃ」
you先輩はご満悦だ。
「それにしても、Tomo先輩遅いですね」
「新学期始まったばっかだし、生徒会業務が忙しいんだと思うよ。まあ、今日は、庶務の子が休んじゃって、代わりに雑用を片付けるそうだから、『今日は部活に行けない』って言ってたけど」
「そう言うことなら、僕、手伝いに行ってきます」
「部外者のMoMoちゃんがわざわざ手伝い?」
「月末の大会に向けて、一緒に前線を張るTomo先輩と練習する時間をなるべく多く取りたいんですよ」
「なるほどね。ま、オレはゆっくり部室で待ってるわ。K.A.I.も行かないよな?」
you先輩はぐりんと首を回して、K.A.I.先輩の方を向く。
「え?そう言うことなら、わたしも行こうと思ってるけど」
「え〜、オレ1人〜。そんなこと言わずにさぁ、K.A.I.はオレと待ってようぜ。それに抜けた穴が1人なのに、2人も3人も手伝いに行っても邪魔になるだけだって」
「はぁ。しょうがないわね。MoMo、あんた1人にお願いしても良い?」
「あっ、はい」
「わたしは、このでっかい赤ちゃんのお守りしておくから」
「『でっかい』って、おっぱいの話?K.A.I.は、ぺったんこだもんな。あっひゃっひゃっ」
「…やっぱりわたしも行くわ」
「あ〜!!ごめん!嘘嘘、冗談!」
こんなやり取りをしている2人の先輩を部室に残して、僕は生徒会室へと向かった。




