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日々原高校ゲーム部  作者: 名波 和輝
001 始まり
1/77

001-001 ゲーム部は、廃部になった!?


 それは去年のこと。


 2040年、世界的な大会がこの日本で開催された。


 誰もが知っているその大会の名は、オリンピック。


 夏季オリンピックは4年に1度開催され、東京ではかつて1964年、2021年に開催された。


 2021年大会と言えば、新型ウイルスのパンデミックにより当初の計画から大幅に変更が入ってしまったらしく、2040年の開催地が東京となったものその辺が関係しているらしいけど、その時には生まれてすらいない僕としては、あまり強い印象はない。


 さて、そんなオリンピックには、2040年大会より新しい競技が追加された。


 その競技とは、「e-Sports」。つまるところ、ゲームだ。


 パンデミックにより人々の物理的な距離が遠くなってしまった時、そんな状況でもできる競技として「e-Sports」は一気に成長した。


 それこそ、今ではサッカーや陸上などのスポーツとも肩を並べられる程だ。


 特に、今年は去年のオリンピックの勢いもあって、より勢いが盛んな気がする。


 昔、ゲームは、(たか)が遊びとぞんざいに扱われていたらしいけど、競技化、プロの登場、そして、オリンピック種目入り、それらのお陰で遊び以上の価値を見出された。


 ちなみに、ゲームのオリンピック種目入りは、去年の2040年大会が初めてだけど、ゲームが遊びの領域を超えたのは、それよりずっと前のことだ。


 だから、サッカー部、陸上部があるように、ゲーム部も存在する。


 当然、僕、桃井(ももい)(ひびき)が入学したこの日々原(ひびはら)高校にもゲーム部はあるし、何なら僕はそのゲーム部に入るためにこの高校を選んだまである。


 中学の頃は学校の都合でゲーム部がなかったので、高校では絶対にゲーム部に入ると、僕は決めていた。


 それなのに…


「ゲーム部は、廃部になった!?」


「ああ、そうだ。ちょうど俺が顧問だったんだが…」


 先生から告げられた言葉に、僕は思わず大声を出してしまう。


 ここは静かな職員室。大声を出した僕の方に他の先生方の視線が集まる。


「ど、どうしてですか!?確か、この学校のゲーム部は実績的にも何も問題なかった(はず)じゃ!?」


 周囲の視線などお構いなしに、僕は先生に訳を問う。


 僕の高校生活は、ゲーム部に入るためにあると言っても過言じゃない。


 なるべく実績のある、所謂(いわゆる)強豪ゲーム部に入るために下調べをし、この学校に入学したって言うのに、そのゲーム部が廃部だなんて…。


 僕の問いに、先生はぼさぼさとした長い天然パーマの頭を()きながら口を開く。


「まあ、落ち着け、あまり大きな声を出すな。いや、何というか、人数が足りなくてな。今はゲーム同好会なんだ。一応、名残(なごり)で部室はまだあるから、参加したいなら、部室に行ってみると良い」


 人数不足とは、完全に盲点(もうてん)だった。そんな落とし穴があったとは…。


 確かに、少数精鋭(しょうすうせいえい)のゲーム部ならあり得ない話じゃない。


「はい、行ってみます」


 部員数が少なくて廃部だなんて言う、想像だにしなかった状況に、半分放心状態の僕はそう返事をして職員室を出た。


―――


九鬼(くき)先生、良かったんですか?ちゃんと言わなくて。入部希望でしょ、さっきの彼。また追い返されちゃうんじゃないですか?」


「良いんですよ。あいつらから口止めされてますし、入部できる奴は説明なんてなくたって入部できますから」

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