氷の巨城
――山脈のふもとの城に、ひとさらいの氷の竜がおりました。
深いゆきの中ではなにも聞こえない誰かを愛していた心音も
たいせつな氷のお城 たいせつによく手入れして客人を待つ
狼が走ろうとして沈んでも跳びあがり跳びあがり雪を越す
ああ、遊びにきたのだろうか。うさぎ。ふわふわとおいしそうな尻して
落ちてくる氷柱を避けていくたびに私が私を守ろうとする
氷壁に浮かぶ無数のてのひらがなだめてくれる日々もあること
望みとは迷路とおもう明け暮れに影がいくつも伸びるおかしさ
城門は開いておいた 区別なく小さい者も入れるように
怖くなり確かめてしまう暴風で城がくずれる夢をみたとき
絵本でも読みつつ笑いにんげんは毛布のなかで寝るのだろうか?
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公式企画「俳人・歌人になろう!2023」参加作品です。
▼小説家になろう 公式企画サイト
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