精霊の愛し子が去った国のその後
「すまない。モーガン侯爵令嬢、婚約破棄をする。代わってここにいる男爵令嬢サリーと婚約することになった」
「そう。殿下のお気持ちのままに」と私は呟いた。
王家から焦がれて婚約をされたのは私、私には秘密がある。それは、精霊の愛し子だからだ。
印がオデコにある。黒い魔方陣のような痣、生まれたときからあった。この国に加護を与える素晴らしい印らしい。
この痣のせいで、私は性格が後ろ向きになった、父や母、姉弟、使用人からは嫌われないまでも、敬遠されてきた。
精霊王様と会話をし、日々の寂しさを紛らわして来た。
私は特別な存在だ。私が移住すれば、国は滅ぶ。その一念で、社交界やお茶会で後ろ指をさされても我慢できた。
殿下の隣には、男爵令嬢がいる。もう、我が家の侯爵家と養子縁組まで予約済みだ。
私は見限られた。
「フフフフフ、殿下、宜しいのですか?私がいなくなれば、この国は、マナが枯れ魔法が使えない国になりますよ」
私は殿下と結婚する気はないが、今までの鬱憤を晴らすかのように言った。この国は嫌いだ。
私の額の痣が黒く光ると、精霊王が顕現された。
白い布の神服に、金髪で、青い目。背は殿下よりも高く、イケメン。これが、精霊王だ。
「な、何?伝説は本当だったのか?」
「ちょっと、どこに隠れていたのよ!精霊なのに、何故、人間の姿なのよ!?」
「我は精霊王、精霊の愛し子を愛さないこの国は、マナが枯れ、魔法が使えなくなるであろう。しかし、我は慈悲深い1年の猶予を与える。その間に悔い改めれば加護を与えてやろう」
「待て、せめて、モニカよ。国を出るな。話し合おう!」
「ちょっと、自分で精霊王なんて言ちゃう?何で愛し子なのに、醜い痣をワザワザ額につけるのよ!せめて、[精霊の愛し子]と額に書いておきなさい!そうすれば愛し子と分かるわよ!少しは考えなさい!」
「さあ、モニカよ。我と旅に出よう。真の加護を与える国を探そうではないか?」
「待て、精霊王様、我国を出ないで下さい!神殿を建てます!」
「ちょっと、悪いのは殿下と私でしょ。何で、無辜の民まで巻き添えにするの?あんた馬鹿?それとも悪魔?」
「・・・・・・・・・女、うるさいぞ」
「うるさいって何よ。愛し子なら、彼女が痣で苦しんでいるときに助けなさいよ。本当は嫌いなんでしょう!」
「モニカよ。とにかく行こう。この国は加護に値しない!」
「はい、精霊王様」と私は、精霊王の手を取り、そのまま堂々と王宮を出た・・
☆☆☆数年後。
私は精霊王の加護の元、精霊魔法使いとして、諸国を放浪した。世界は広い、いろいろな人たちと交流し、視野を広げた。痣は、聞く人もいれば、知らんぷりをする人もいるが、仕事をする上では、トレードマークとして、顔を覚えてもらえる個性みたいに役に立つ。私は、冒険者ギルトに所属し、世界を転々とした。
しかし、仕事の都合で、祖国の近くを通った。
祖国は、マナが枯れ、魔法が使えずに衰退しているはず。
どうなっているのだろう。
精霊王に尋ねて見た。
「作物は枯れ、魔法は使えずに人々は難民と化しているだろうよ。これも精霊の愛し子を愛さなかった罰だ」
「そう・・」私は、祖国がどうなっているか見たくなった。
「行っていいよね」
「ああ、しかし、気を付けろ。お前を拉致するかもしれない。変装していくが良い」
☆☆☆☆
「!!!何、ここ、発展している!」
「1」「2」「3」・・放て
パン、パン、パン
この国の軍隊が見たこともない武器で演習している。見物人が沢山いる。
畑は・・
作物は枯れていない。
私は住民に聞いた。
「ああ、ここ、数年前に精霊王が去ってから、猶予期間中に、女神教に改宗して、加護をもらったよ」
「え、精霊教徒は、もういないの?」
「ああ、個人として信仰している人はいるだろうけど、こうも、精霊様の好き嫌いで、決まってしまうと、安定していない神じゃ国として、公式に信仰するには、不適切ってなものだ」
・・王宮に行ってみよう。変装を解くよ。いいね。精霊王様。「ああ、何が何だか分からない」
☆☆☆☆
王宮には殿下と元男爵令嬢がいた。
「良く来たな。モニカよ。しばらく王宮で過ごすが良い」
「ちょっと、まだ、あんな変な神を信仰しているの?早く別れなさい。いつもひっついて、閨の中まで覗かれるわよ!」
「うるさい!」
精霊王が顕現された。
「はあ、はあ、はあ、うるさいぞ、お前!」
私が去った後、この国がどうなったか聞いて見た。
まず、加護のない国と連絡し、肥料の開発と、発熱と排熱を利用する技術体系の提供を求めた。
市場開発に積極的なその国は、快諾した。
また、女神教の総本山、聖王国にも相談し、女神教の加護をもらえるか相談、これはすぐにはいかないようだ。徐々に浸透して、近年、やっと、聖魔法が使える人々が現れ、精霊魔法ではない女神教圏内の魔法体系を取り入れつつある。
この国は、加護のない国と女神信仰圏内の二つの技術体系があるらしい。
「何故だ!何故、我を求めぬ。我は数百年もこの国に加護を与えてやったのだぞ!」
「ちょっと、精霊王(笑)様が見捨てたのでしょう!」
「ああ、精霊王殿、今までご苦労様でした。民を代表してお礼を申し上げます」
「いくぞ、モニカ!」
「ちょっと、待ちなさい!お札を貼るわよ。エイ!」
元男爵令嬢が精霊王にお札を貼ると、精霊王は動かなくなった。
「ちょっと、この精霊王(笑)は、まがい物よ。愛し子を醜くするなんて、本当に精霊王(笑)なの?本物としてもまがい物として見るべきだわ。どうするモニカ様~、問題はいつもひっついているということは、おトイレや。〇〇〇―の時も見られているのよ!」
「!!!(えええー)」
「そうだ。国としても、いなくても困らないものだから、処・・除霊じゃなくて、精霊界に帰ってもらってもいいのではないか?いや、そうしよう」
「「さあ、どうする(のよ)」」
「私は・・・」
「精霊王さん有難う。これからは精霊界で、民を見守ってください!」
「「ヨシ」」
ボム!と私の別れの言葉で、精霊王さんは消えた。
・・私の顔から痣が消え。何というか特別綺麗になったわけでもなく、更に醜くなったわけでもない。
私は、その後、家族と和解することもなく、殿下と妃の好意で、祖国で新しい魔法体系を無料で学ばさせてもらっている。
所謂、特待生だ。
・・・・・
「精霊様は、太古の昔は、お姿が見え。地上を歩いている姿が目撃されたのよ。それが、何らかの理由で、今は、大多数が、天上界でお暮らしているらしいわ。女神様と一緒で、民を見守り、直接的な手助けはしないらしい。一部は深山や森にいるらしいけどもね。エルフ達は見えているわ。その名残じゃないかしら、確かに精霊王よ。他に微精霊様しかいなかったらね」
精霊教の聖女様は、こう仰せになった。
帝国の第四皇女様は、精霊の愛し子として、認定され、彼女の周りに、光の小さな玉がぷよぷよ浮いている。
「ダメ!これからお勉強、付いてこないで!」
ビクン「・・・・」微精霊様は、素直に言うことを聞く。
精霊の愛し子とは、精霊を楽しませる者を言うそうだ。精霊様は、愛し子を慈しみ、決して一方通行の関係ではない。
第四皇女様の自由な精神を愛しているのかもしれない。
私の境遇は、私自身のせいだったのかな。一言、「痣は嫌!」と言えば、精霊王は、どんなことを言ったのか興味はあるが、もう過ぎたる話だ。
そして、今、私は元愛し子として、第四皇女様のお世話係をしていると言うか、学ばさせてもらっている。
とても、可愛らしい。
最後までお読み頂き有難うございました。