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9話 新たな魔法少女! マジカルリオ誕生!

 私は討伐対象の黒い鳥モンスターと対峙するリオを、マジカルステッキを可憐に振りながら指導していた。


「一度距離を取って! そう! 間合いを意識するのです!」


「――はい!」


 リオは剣で急降下して来る黒鳥の爪を弾いた。

 そして、怯んだ所をすかさず追撃する。


「とおおっ!」


「――ギャアアア!」


 黒鳥の羽が荒野に舞い散っていく。

 そして、荒野に落ちた黒鳥は光りながら黒い石になった。


「流石ですわリオ!」


「お……レベルも29になったベアよ!」


「よし! この調子で頑張ります!」


「しかし……こんな山奥の村までモンスターが出るのですね。魔王の影響ですの?」


 討伐証明に黒石を拾いながら、私はベア太に小さく尋ねた。


「……俺にも良く分からんベア。本来この近くはモンスター出ない筈なんだがな。まあ多分魔王の影響だろう」


「マーデル……それに魔王! 絶対に私とリオで、チリ一つ残さず消滅させてやりますわ!」


「僕も頑張ります!」


「うん。……まあ頑張ってくれベア。正直俺にも何が起こるか分からんし、リオのレベルを上げとくに越したことないだろうしな」


「さて、日も暮れそうだしそろそろ帰りますわよ」


---


 村の雑貨屋に向かった私は、店の隅に服が飾ってあるのを見つけた。


「これは……?」


「私の娘の服です。ちょっとサイズが小さくなってしまったので、売りに出しているんです」


 店員の太ったおばさんが答えてくれた。


 ――その時、私の頭に電流が走った。


「ベア太! 私はとてつもなくいいことを思いつきました!」


「そうかい……俺はものすごく嫌な予感がするんだが」


 ベア太はおばさんに聞こえないような小声でそう呟いた。


「ベア太! 魔法少女は、同じ魔法少女の仲間と共に戦う事が多いと文献にも書いてありましたわ!」


「……何を言いたいか分からないな」


「リオにこの服を着せて、魔法少女になって貰うんですわ!」


 リオは、目を見開いて驚いていた。


「僕が……魔法少女に!?」


「お前なあ! リオは男の子なんだぞ!」


「それに……僕は無魔法ノンテスです。魔法は使えません」


「細かい事はいいんですわ! 私は違いますが、格闘攻撃が主体の魔法少女も多いですし、男性の魔法少女も稀に存在すると文献に書いてありました」


「……何なんだよその文献って」


「デホマーラ男爵が著した、魔法少女大全ですわ!」


「ああそうかい」


「リオ……! もちろん強制はしませんわ。あなたが決める事です!」


 リオは黙り込んでしまったが、やがて顔を赤らめて俯きながらも、小さな声を絞り出した。


「ぼ……僕も……魔法少女に……なってみたいです……」


「素晴らしいですわ!」


 早速私は少女の服をカウンターに差し出し、


「店員の方! こちらの服を頂きたいのですが!」


 そう高らかに声を張った。


「失礼ながら……どなたがお召しになられるのでしょうか?」


「この子です!」


 私がリオを指さすと、途端におばさんは満面の笑みになった。


「そういう事なら、採寸は任せてください! リボンも付けてあげます! もういくらでも付けてあげあましょう!」


 私と店員のおばさんは、ノリノリでリオに少女の服を着せていった。


「似合う! 似合いますわ!」


「う……恥ずかしいです……」


 リオのその言葉に、私は思わず背筋にゾクゾクしてしまった。


「もう止めないけどよお……程々にしてやれよ」


「もちろん、分かっていますわ!」


 私はベア太の声に答えながらも、少女の服を身に纏ったリオのブラウンの髪を三つ編みにしていく。


 おばさんはおばさんで、耳まで真っ赤になったリオに、リボンを当てがっていく。


「どこに縫い付けましょうかねえ」


「胸に大きなリボンがあった方がいいですわ!」


「それ素晴らしいですね! 流石はアリーサさん!」


 私とおばさんは、すっかり意気投合していた。


「もうそのくらいにしてやれよ……リオは着せ替え人形じゃないんだぞ」


「あっ……失礼致しました……私とした事が……」


「じゃあリボンを縫い付けちゃいますね」


 おばさんにリボンを縫い付けて貰い、完成したコスチュームをリオに再度着て貰った。


 赤リボンで全身を彩られたリオは顔を真っ赤にしてもじもじと俯いてしまっていた。


 小柄で華奢なリオの姿は、どう見ても女の子にしか見えない。


 ――可愛らしい……! 超絶美少女ですわ……!


 私は思わずうっとりとリオの姿に見惚れてしまった。


「いい加減にしろよ! リオは男の子だぞ!」


「わ……分かっていますわ。帰りますよリオ!」


 私はアレンジ案を試したくなるのを必死でこらえ、宿屋に戻っていった。


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