表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/13

1話 婚約破棄!? あり得ないですわ!

「アリーサ……君との婚約を破棄する!」


 そう吐き捨てたピザータ王子に、私は詰め寄った。


「あり得ないですわ! 何故ですの?!」


「魔力探知に優れるマーデルから話は聞かせて貰ったよ。君には魔力が一切無いとね!」


「そんな筈がありませんわ!」


 舞踏会のホールに、ざわめき声が沸き上がっていく。

 その声の殆どは、私を見下すような声だった。


「アリーサ様が……無魔力ノンテスだったとは」


「王子様……お可哀そうに……」


 私は怒りのあまり眩暈がするのを感じながらも、ピザータ王子を一心に睨みつけた。王子は一瞬たじろぎながらも私を睨み返す。


「このバルガ王国で魔力を持たない者がどうなるかはお前も知っている筈だ! 世界の秩序を乱す無魔力ノンテスは問答無用で処刑だ!」


「お待ちください……私は間違いなく魔力を持っていますわ!」


 私は落ち着き払って少しも引かなかった。


「私は開錠魔法を使う事が出来ますわ! 王子もご存じの筈です!」


「……僕は知らないぞ!」


「――5年前に王子がスネて部屋に鍵を掛けて閉じこもっていた時、心配になった私が開錠魔法で鍵を開けたのをお忘れですか?!」


「あれは君が馬鹿力で鍵を無理やりこじ開けたんだろうが! 開錠魔法を使って開けたなら、錠前があんなに捻じ曲がる筈がない!」


 馬鹿力とは何て失礼な……!


「か弱い乙女の私に錠前を捻じ曲げる力など、あろう筈がございませんわ!」


 やはり理は私にある。……何故王子は私を信じてくれないのだろう。


「それに火炎魔法だってこの通り――爆雷火炎ボルティックフレア!」


 私が右足のハイヒールを石床に軽く叩きつけると、轟音と共に大きな火花が雷のように散っていった。

 群衆が叫び声を上げながら逃げ惑って行く。


「お望みとあらば、もっと強力な魔法をお見せ致しますわ」


「いや……! どう見ても魔法じゃないだろそれ! 以前から薄々思ってはいたが、やはり君は明らかに無魔力ノンテスだ!」


「……何故……信じて頂けないのですか!」


 私は、悔しさから思わず下唇を噛み締めた。

 溢れ出した血が、口中に広がっていく。


「ピザータ王子……その女に何を言っても無駄ですわ」


 長い黒髪のクソ女……マーデルが階段を降りて、王子の傍に立った。


「マーデル様……今すぐいわれのない誹謗中傷で王子をたぶらかすのをお止めください!」


「私は本当の事を言っているだけですわ。オホホホホホ!」


 ――このクソアマ……絶対にブッ殺して肥溜めに投げ捨ててやる!


「マーデル……君の為なら僕は何でもするよ……」


 王子は鼻の下を伸ばしてマーデルの腰に手を回している。

 そして……


「お前たち! 我がバルガ王国を汚す、この無魔力ノンテス女を捕らえよ!」


 私は鎧を着こんだ衛兵達に囲まれてしまった。


 しまった!

 ……こんなに近付かれては……私の強力過ぎる魔法の威力では確実に殺してしまう。

 王子やマーデルならともかく、罪のない衛兵を殺す訳にはいかない。


「ハハハハハ! 君の顔を二度と見なくて済んで清々するよ!」


「バカな女ですこと……!」


「…………」


 私は背中を見せた王子とマーデルを睨み殺そうとしたが、駄目だった。


 そして、私は地下牢に閉じ込められてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ