真実が今、明かされる!!
ふと、思いつきました。
あーったく。やってらんないよ!!
何なのさ!!あのハゲ!!毎日、毎日こんな時間まで残業させやがって!!
もうすぐ日付が変わる頃いつものように残業をしてようやく帰路についていた。
夜道を歩きながら自然にため息が出てくる。
原因は友達の結婚しましたと。いう報告という名の幸せメール。社畜の三十路に『あんたも早く結婚しなよ。』『赤ちゃんは可愛い』とか、私の母親か!!
はぁー。いつもの仕事に、いつもの残業、いつもの帰り道。分かっているけど華がない。ついでにロマンスもない。私ずっとこのままなのかなー?
そんなことを考えながら帰り道にあるいつものコンビニに入る。
そういえば最近、職場のハゲを除けば男と会話してないなー。やばいなー。喪女の看板も掲げなきゃダメかな?そうすると社畜で喪女?...想像でも考えたくないね。
仕方ない。こんな時は...飲むに限る!!プレミアムに癒してもらおう!!
おっ。やった!最後の一個!
最近コレ置いてないんだよねー。もっと仕入れればいいのに。
最後の一個を手に取るために手を伸ばすと冷たいカンの感触と暖かくて柔らかいものが触れた。
...?
顔を上げるとそこには私と同じように死んだ目のよれたスーツ姿の男が手を伸ばしていた。
「「...」」
...こいつもしかして私の癒しを奪う気?
「「あの!!」」
...ちっ!声が揃いやがった。
二人でプレミアムを持ったまましばし見つめ合うと先に話すのを譲られた。
「どうぞ。」
「あっ。どうも。これは私のです。私が先に触りました。」
そうなの。私の手はカンとこいつの手に挟まれている。つまり!私の方が早かった!
「何言っているんですか!!俺が先に触りました。これは俺のモノです。
早く手を放してください。」
「そっちこそ何言っているんですか!!私の手がカンとあなたの手に挟まれているでしょ。
私の方が早かったんです。そっちが放してください。」
「あなたはカンの下を持ったから今はそう見えるだけです。俺はカンの上から持ったんですよ。あなたの手が俺の掌の下に来るのは当然です。早く放せ!温くなるだろう!!」
一つのカンをめぐって冷蔵庫前でしばらく争っていると後ろから声を掛けられた。
「あの、すみません。お客様。
申し訳ございません。他のお客様にご迷惑になりますので、お引き取りください。」
買えなかった。私の癒しが...グゥ...あとゴハンも...
帰ってカップラーメンとか...プレミアムじゃないとか...あぁお腹空いた。
全部全部こいつのせいだ!!
そう思って隣を歩く奴に食い物の恨みをこめた目で睨めば睨み返された。
「ふざけんなよ。あんたのせいであのコンビニ行けねーじゃん。」
「それはこっちのセリフよ!!あんたのせいで夕飯もビールも...」
「はっ。家帰ってメシでも作るんだな。つうか!付いてくるんじゃねーよ!ストーカーかよ!」
「そっちが付いてきているんでしょ!私の家はこっちなの!!ストーカーはあんたでしょ。」
「お前みたいな。女、死んでもごめんだね!」
「私だってあんたみたいなの!死んでもゴメンよ!!」
なにこいつ!!むかつく!むかつく!!
「悪かったわね!どうせ社畜で!喪女で!可愛げのない女ですー。」
「うわっ。本当に可愛げねぇ!!」
「私だってね!好きでこんな風になったんじゃないわよ!!」
こいつに怒鳴り散らしていたら涙が少しでてきちゃった。なんで知らない奴に可愛げないとか言われなきゃいけないのさ!
「はぁ!?泣くの?そこで泣くのかよ!?」
「泣いてないわよ!!」
それからそいつと口ゲンカをしながら帰ればアパートにつく頃にはなぜか意気投合していて一緒にそいつの部屋で夕飯のカップラーメンを食べてプレミアムじゃないビールを飲んだ。
チュン...チュン...?
「んっ?朝か...くぁ。ん?...ここ何処?」
「ぐぉーおーぐがっ!ぐー。」
..........
嘘でしょ。待って。待って!まずは深呼吸!吸って―吐いて―。
よし。一つ一ついこう。
まずここは知らない部屋。
次に隣でイビキをかいているのは昨日のむかつく男。(なぜか裸)
そして私もなぜか裸。
..........
「やっちまった?どっ、どっ。どっ!どうしよう!?どうすればいいの!?」
「んー?うるせぇな。」
そう言って男はもそりと起きだして携帯で時間を確認した。
「まだ、4時じゃねぇかよ。」
そう一言呟いてまた寝ようとしたので恐る恐る声をかけた。
「ねっ。ねぇ!あの、これどういう状況?」
「どうって...このままの状況。
つうか、もう少し寝させろ。俺、半休だから起こさないで。」
「あっ!ちょっ。...」
そう言ってまた寝る体制に入ってしまった。...服着よ。
それにしても凄いクマ。仕事が忙しいって言っていたけど何しているんだろ?
そう言えば名前も聞いてない。あれっ?いや。聞いたっけ?
ブーブーブー
「うっひゃ!」
驚いた。携帯の目覚ましか...目覚まし!?ヤバイ!!会社遅刻する!!
あーでも。どうしよう勝手に出てったらカギが...起こすなっていうし。
ええい!カギ借ります。メモ書いてポストの中に入れておけばいいよね。
時間がない。急げ!!
「なに昔の写真見てニヤニヤしてんだよ。」
「初めてあった時の事を思い出してたの。」
部屋で私を後ろから抱きしめるこの人と明日、結婚する。
最初はケンカで始まったけどそんな最初もいいよね。あれからもういくつ季節が過ぎたのかな?楽しい事も、嬉しい事も、イヤな事もいろいろあったけどそれでもこの人と一緒にいたいと思えた。そんな人に巡り合えた私は幸せ者だと思う。
「初めて?...あぁ、お前がゲロ吐いた日だ。」
...吐いた?...ナニソレ?
「なにそれ。私、知らないよ。」
「そりゃそうだよ。あの日お前飲み過ぎて騒いだあげくに潰れたんだ。
めちゃくちゃ大変だったんだぞ。
俺の服にまで吐くし、服は脱ぎだすし。そのくせ寝ないでうるせーし。」
「...えっ?じゃあ、あの日私が裸だったのは...」
「お前が自分で脱いだ。あと俺もシャツを脱がされた。」
.........
結婚前の真実、今明かされる!!




