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8. 領主の正義
私はなぜか領主と食事をしている。
領主が言うには偶然、城の広場で模擬試合をしていたのを見て、「そこまで!」という言葉を発してしまったらしい。
守備隊長はあまりに軽々しく剣を鞘のまま扱うので、木刀と間違えてしまったと完全にうなだれていた。
「ジャンヌダルクよ、面白い小僧だな。」
「は!ありがたき幸せ!」
「守備隊長は騎士の中の騎士だ、その騎士ですらなかなかできない事を子供の内にやるとはな・・・。」
「もったいない言葉です!」
「先ほど、親御さんを呼んで貰っているのだが、どうだ?私の騎士として働くのはどうだ?」
「ええ!喜んで!!」
話は進む。
「もし、よろしければ領主の正義というのを聞かせてください!」
「領主の正義か、私はここの城下町を守る必要があるんだ。」
そして、食堂のドアが開いた。
「あ、おじさん!!」
「ジャンヌ!なんでこんな所に!?」
「さっき、騎士にならないか?って言われたんだ!」
「え?うちの娘をですか!??」
「は????」
まさか女の子とは思っていなかったらしい、領主と守備隊長は唖然として私を見つめていた。