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私のむずむず脚症候群

作者: 寝る子は

むずむず脚症候群って聞いた事ありますか?


ここ15年くらいで、テレビの特集にとりあげられたりと徐々に認知度は上がってきているような気がします。


患者さんは以外にも多いみたいですが

多くの人がそうとは気づかずに過ごしているそうです。

そのくらいの小さな違和感ですんでいる人もいれば

日常生活に支障をきたすくらいには苦しんでいる人もいます。


私はよくはわかりませんが、中間くらいでしょうか?

すごくひどいわけではありませんが、無視できない程度にはこのやっかいなやつと付き合っています。



皆さんには興味のない話かもしれません。

けれど、もしかしたらあなたも「そう」かもしれません。


私は、この病の名を貰ってからほんの少しだけ

「自分は変な子じゃない」と思えるようになりました。

それでも理解を得られなくて苦しい時はあります。




この病を自覚していない人や

この病のことをよく知らない人

そしてなにより、この病を抱えている人のためのちょっとした情報になればいいなと思っています。










私がこの病にかかったのはいつだったか、正確にはわかりません。

覚えている印象的なエピソードは小学四年生の頃でしょうか。

授業中に、下半身が痒くなって座っていられない、ということがありました。



「かけばいいじゃない」と思われるかもしれませんが、

厄介なことにかいて治まるような痒さでは無いのです。

肌の上を虫が這うような感覚(厳密には毎回そうではないのですが、それが一番近い気がします。)で肌を撫で回している間はややおさまるのですが、かゆくなる範囲は広く下着の中にまでおよんでいました。



私はしょっちゅう「トイレに行きます」と席をたち、トイレにいってズボンとパンツを脱いで思うように掻きむしる。

でも戻って椅子に座ればまた同じ症状が。

ということがよくありました。



性格自体も、女の子らしくはなくむしろやんちゃなタイプだったので周りからは「落ち着きない子」との印象が強かったかもしれません。

実際、その症状がなくても落ち着きあるタイプではありませんでした。



そんな感じで、家でも学校でもところ構わずこの症状に悩まされたのですが、この頃の私はそれが病気だとは思っていませんでした。



軽く「うわー!かゆい日だ!最悪だー!」と思っていたと思います。



夜にこの症状が出ると最悪でした。

眠りから引き起こされる違和感を覚えて目覚めてしまった日にはもう軽く2時間は眠れません。

高校生になるとむずむずしだした時は眠るのを一旦諦めて落ち着くまで遊んでいたりしたのですが、

中学生までは意地でも寝てやる、という構えだったので、いつまでもゴロゴロもぞもぞと動き回り相当辛かったのを覚えています。



個人的にはこうなったらもう眠るのは諦めた方がいいです。

諦めるとかゆい、というストレスだけですみますし、

できるだけかゆさを自覚しない方法(私なら体を動かす。大人になると夜の散歩に出かけたりもしました。)をとりながら静まるのを待つ選択肢もあります。


寝ようとすると眠れないことへのストレスで泣き出してしまいたくなる日もあります。

かけば寝れるという訳では無い。寝ていても起こされる。眠気はすごく感じているのに、どうしても寝れない。

そんなこんなでうつ病になる患者さんもかなり多いらしいです。



病気だと自覚を持ったのはいつか覚えていません。小学生だった気もしますし、中学生だった気もします。


テレビの特集でした。

母と居間でその番組を見ていてどちらともなく、

私もこの病気なんじゃないかと思いました。

病名をむずむず脚症候群といいます。



このくらいから、母はかなり真剣にアンテナを貼ってくれていた気がします。高校生になると、母が事務として務める病院の神経内科の先生が、むずむず脚症候群患者も診ると聞いて、初めて病院に行きました。



ニュープロパッチという貼り薬とレグナイトという飲み薬を貰いました。

結果として、どちらも私は続けることが出来ませんでした。

効果の割には副作用が大きかったからです。


ニュープロパッチは正方形のシールなのですが、貼って数時間するとかぶれてきて熱くなるほどのかゆみに襲われます。

範囲はシールを貼っている部分だけなので、どうしても直ぐに剥がしてしまいました。


レグナイトは眠気と体のだるさに襲われます。

ただでさえ、眠れなくて睡眠不足の状態なのですから、日中は本当になにもできなくなるんです。

どちらもむずむずがなくなることはありませんでした。

多少良くなっていたのかもしれませんが、よくわかりません。


一応病院は通ってはいたのですが、こんな調子で薬を使わないものだからあまるあまる。

大人になって就職してからは病院に行くことすら辞めてしまいました。




さて、ここからは私の今についてお話させてください。

現在症状は、悪化しているように思います。

ただし、昔よりもずっと「やり過ごす方法」を覚えたので、精神状態的には良化でしょうか。



むずむず脚症候群というだけあって、症状は下半身が多いのですが、私は全身に来るタイプです。



まず、タイツ、ストッキング、ジーパンを履いたままでは絶対に眠れません。肌に服が密着しすぎて刺激になっているのでしょうか。私の寝る時の服装は専らキャミソールとパンツのみです。季節は関係ありません。どうしても人といる時は半袖短パンのパジャマを着て、布団に入ったらこっそり脱いでいます。


これらを着たまま長時間座ることもできません。

会社の制服が割とゆったりとしている長袖長ズボンなのですが

この服装でも会議は立って足踏みしながら参加することもあります。

部署外ですると変な目を向けられます。話は通してあるのですが中々そこまで優遇しては貰えませんね。




毎日毎日眠れないほど激しくむずむずしているわけではありません。

激しいのは週に1度か2度は必ずと言った所でしょうか?

その時は眠るのを諦めて起き上がり、2~3時間ほど足踏みをします。

本を読みながら、携帯を弄りながらやテレビを見ながらやると気が紛れます。

そんな気分じゃない時は散歩に出ます。

この行動で痒みをなくすことはできませんが、できるだけ感じないようにできるのです。

ちなみにたまに足踏みを辞めると、またじわ〜と痒みがでてきます。無くなってはいないんですね。



今までで1番辛かったのは1週間この症状が続いた時でしょうか。

毎日眠れても1~2時間だったので、会社ではグロッキー寸前でした。この頃に会社に初めて事情を告白しました。

報連相は大事です。(教訓)



夜や、湿気が多い時にむずむずの症状はよく出てくるのですが、

中でも私が1番嫌なのが虫の羽音です。

どう関係しているのか全く謎ですが、虫の羽音を聞くとむずむずがせり上がってくるのです。


むずむず脚症候群の症状を言葉にした時に「身体中を虫が這うような…」と表現することが多いのですが、そのせいで虫と関連付けてしまっているのかもしれません。

つまり、虫の羽音をきいてむずむずするのは私の妄想なのかもしれません。


こういう側面もあるため、たまに「勘違いなんじゃないの」と言われる時に強く反論できません。(これは親戚のおじさんに言われました。)

まだまだ謎もある病気ですから、私の言葉で医学的に返せないのです。



会社に来るお医者さんに症状を言った時、「敏感肌なんだね」と言われたのは衝撃的でした。

果たして敏感肌なんでしょうか?なんの刺激も意識もない時にも引き起こるこれが、敏感肌。

もしかしたらそうなのかもしれませんが、お医者さんの言葉は特に、周りは「そうなんだ」と思ってしまいますから、迂闊な見解は避けて欲しいところです。



私が大人になってからはじめて行った神経内科では、「むずむず脚症候群です。」と告げた時に、お医者さんの辞書のようなものを目の前で引き出して、辞書に書いてあるお薬を処方されたのを覚えています。

患者数の割にそのくらいの認知度なのは、研究が進んでいないのか自覚を持って病院に行く人が少ないのか。

わかりませんが今の医療段階で「症状をなくす」のはたいへん難しいことなのだと思います。









実はこれを書いているまさに今、私はむずむずで起きてきて足踏みをしている状態です。目はパッチリさえてしまいますが、何かをしながらならずっと楽に3時間を過ごせるものですね。






わかっていることも少なく、お薬でもなかなかなおせない病気ですが、たくさんの対策法やサプリメントも売っているそうです。

推定原因も様々です。


もし、私もそうかも?と思う方がいたら

自分に合う方法を試してみるといいかもしれませんね。




一番大事なのは

自分が症状を自覚して、自分に合った対策を見つけられること、

周りが症状を分かってあげることです。


もっともっとこの病気の認知度が上がって欲しい。

病気だ、と認めてもらえるだけで楽になる心もあるのです。




勉強や仕事にやる気がない訳では無いのです。

寝不足で、薬で体がだるくて、そんな理由でどうしても身体が辛い日もあるのです。

この病気を持つ人にとって「眠る」ということは重要な意味を持ちます。

この病気を持つ人にとっては、久しぶりにすんなりと眠れた貴重な日かもしれません。

だからこそ、眠りから不当に起こされたら他の人よりずっとずっと激しい感情を持ってしまうこともあるかもしれません。



ほんの少しでも分かっていてもらえればそれだけでずっとずっとありがたいです。




散文ですが、もしここまでお読み頂いた方がいましたら

ありがとうございました。

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