異世界の素材でクルマ作り
今回、第1段階の改良を行いまた。
一応、馬力アップはしないシバリで、作成しました。
原案のノートには、空気エンジンの馬力アップシーンを4ページに渡り記入していましたが、泣く泣くカットしました。
「タイヤ、どうなりました?」
「まだ、フロントだけだが… こんな感じだな」
おっ! ドリュウスさんのドヤ顔!!
「イメージ通りだ。ダンプカーみたいになっている」
「時々分からん事を言うなぁ」
「あの・・・ 今さらなんですが、ルール的に問題が有ったりしませんでしょうか?」
「ああ、大丈夫だ。改造前に大会に確認した。問題ないぞ。それに専有権も手に入れた」
「えっ? 専有権って?」
「明日の結果が良ければ、みんなが真似しようとするだろ? すると、タイヤの二重履きは、エンジンに使用料を払う事になる」
「ああ・・・ 特許権ですね。なぜ、ボクじゃなくてチームに入る様にしないんです?」
「!! これはお前が考えた物だろう?そんな横取りみたいな事、出来るか!」
「そうですか・・・ 解りました・・・ ありがとうございます」
「勿論、このクルマの専有費も、お前に支払うぞ」
「いえ、それは断ります!これは、チームの仕事です。もし、1位になって、賞金が出たら、その時にお願いします」
「頑固だなぁ、じゃあ1位に成る迄、おあずけな!」
「はい。あっ、オバフェン・・・ 黒いボディに白のオバフェン!」
「同色じゃ、つまらんだろ! お前好みかなって思って・・・」
このオーバーフェンダー、ハンマーの叩き出しだ。しかも4つ、早すぎでしょう。もう塗装してるし・・・
「モーガンさん、言葉もありません。感動です」
「スタビ何とかも準備してるぞ。何時でも取り付け良しだ! どうする? 取り付けるのか?」
「すみません、これからダンパーを作りますので、先にそれを取り付けてからになります」
「解った。それで、オレは何をしたらいい?」
「はい、この筒をΦ20のドリルで、内側をさらって下さい・・・ 外側の入り口はM30のタップをたてて下さい」
「了解だ。処でその大きなスライムは、どうするんだ?」
「このクルマのシートになってもらえる様、説得しました。協力してもらえる様です」
「スライムがか?」
「はい、報酬は美味しい井戸水で良いそうです」
ボクはブルーパンサーの腹を裂きながら、そう返事した。
「解った、この筒が終わったら、シートを外しておくよ」
「はい、ありがとうございます」
Φ20の丸棒に、ブルーパンサーから取った小腸をかぶせ、軽く炙ると直ぐに個化し、表面がコーティングされる。触り心地は、ゴムの様だ。
これを更に、2ミリ位の厚みに輪切りすると、Φ20の円盤が出来る。
これに小さな穴を明け、弁を取り付け、軸を通す。
カーライルが加工している竹筒に、オイルを入れ、組立れば、立派にダンパーの完成だ。
弁になる部品は、ブラウンホッパーの羽根である。
リズのダンパーとして要求するのは、縮みが早く、伸びが遅く、跳ね返りを防ぐ様にしたい。スタビライザーとの組み合わせで、接地性はかなり向上すると思う。
だが・・・
「すみません、一度宿に戻り夜食を取りに行きます」
「それなら俺が・・・」
立ち上がったカーライルをドリュウスさんが止める。
「いや、いい・・・ エンジン、頼めるか?」
「はい」
一度頭を冷やし、考えをまとめたかった… その事をドリュウスさんは察してくれている。ありがたいな。
宿に戻ると、宿のおばさんが全員のお弁当を作ってくれていた。
「夜更かしすると思ったから、作っておいたんだよ」
「おかみさん・・・」
「今日の予選、凄かったよ。明日は本戰だろ、頑張んな」
「はい。ありがとうございます」
クルーのお弁当と、手桶に井戸水を入れ、工房へ戻る。
「ただいま戻りました」
「早かったじゃないか」
ドリュウスさんは心配そうな顔つきであったが、ボクがニッコリすると、少し安心した様だ。
「ええ。宿に戻ると、おかみさんが直ぐにお弁当を手渡してくれて・・・」
「メリッサのかみさんとは、長い付き合いだからな」
「みなさんお弁当です。それとスライムさんには・・・」
スライムの背中に手を当てて、念話で会話する。
〈お待たせしてすみません。約束の井戸水を持って来ました〉
〈あなたは、スライムの私が・・・ 怖く無いの?〉
〈大丈夫ですよ〉
〈井戸水を持って来てくれてありがとう。ここの川の水・・・ ひどく汚れているから…〉
〈そうですね。生活排水が混ざってますからね・・・
そう言えば、まだお名前を聞いていませんでしたね〉
〈ん。私はフィーネ。あなたは? あなたの仲間はエンジンと呼んでいるけれど・・・ 本当は違う〉
〈良いんですよフィーネさん。あなたも良ければ、エンジンと呼んで下さい〉
〈ん。解った〉
念話は指向性が有るので、ドリュウスさんとの念話はフィーネさんに伝わらない。逆もしかりだ。
〈どうぞ、宿から持って来た水ですが、召し上がって下さい〉
〈コップに入れて、頭にかけて欲しい・・・〉
〈こうですか?〉
コップの水を、銀色に輝く体にかけると、直ぐに浸透して行く。
〈いかがですか?〉
〈美味しい・・・〉
〈先程も話しましたが、今回だけで良いので、シートと成って、一緒に戦って頂けないでしょうか?〉
〈解ってる・・・ じゃあ私に乗って・・・〉
シートを外したリズに、フィーネさんが移動する
〈で・では、失礼しますね・・・〉
ダンパーも製作出来、いよいよクルマらしくなって来たカナ? 外観だけじゃ無く、もっとチートなクルマにしていきたいと思います。