タイムアタック開始
早速、コースインした主人公ですが、初めての運転に戸惑う状況を作りたかった。ヘタさ加減が出せたかな?
タイムアタックは、3周の周回タイムを計り、その中で一番良かったタイムを申請するのだが、1周目はピットスタートであり、ピットレーンは30km/hの速度制限がある。
つまり、残り2周が勝負だ。
ちなみにこの世界では、ストップウォッチの様な精密な機械は存在せず、水時計を使って計る。1分1リットルだ。うん、解り易いな異世界。
時計が無い訳じゃ無い。街の中心には、大時計が存在する。つまり、デカイ機械は作れるが、細かい機械はニガテと言うことだろう。
「よし! 行きます」
ピットに声をかけ、ゆっくりと走り出す。
「あれっ?!」
おかしい・・・ スタート直後から違和感を感じる。ハンドルは真っ直ぐなのに、徐々に左にズレる。左のタイヤは大丈夫。右のタイヤがトーインしているんだ。
ピット間の距離が5m・・・ ピット4つで20m・・・ 1台分のズレだ・・・ つまり4度の角度調整が必要・・・ ハブがグラついているんだな・・・ まいったな。ハンドルで補正するのは簡単だが、レース速度で曲がれ無いぞ・・・
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¦ 20HP T型 リズ
¦ 1,スターターが無い ¦ イグニッションコイルが必要
¦ 2,フロント右タイヤがトーインする ¦ ハブのグラ付き
¦...................●●●○
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ん? 何だこのマークは? よし、本線にコースインだ。
ピットレーンから本線に入ると直ぐに、最初のコーナーがせまる。
意外と間口は広いな。これならスタート直後の混雑も・・・ って、ん?
つ・辛いぞ!
インに入れない? やはり、右コーナーが曲がり切れないか? ・・・いや ・・・違う ・・・第1コーナーは右コーナーじゃなく、ヘアピンになっているんだ。
成る程・・・ 広い間口はワナだ。低速で入らないと曲がり切れなくなっているんだ。
イヤらしい作りだな。
次にS字コーナーやって来る。これはうまく走れば直線でクリア出来そうだが・・・
やはり左ヘアピンがまっているのか、今度は引っ掛からないぞ・・・
アウト側に寄り縁石手前でブレーキング・・・
減速良し、一気にイン側の縁石目掛けハンドルを切り込む。フロントタイヤが悲鳴を上げつつ、縁石を蹴りあげる。うーん、タイヤが跳ね返り、操縦し辛いな。よし、ストレートだ。
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¦ 20HP T型 リズ
¦ 1,スターターが無い ¦ イグニッションコイルが必要
¦ 2,フロント右タイヤがトーインする ¦ ハブのグラ付き
¦ 3,タイヤが跳ね返る ¦ ダンパーが必要
¦................●●●●
¦....................●
¦....................●
¦.............●●●●●●●
¦......●●●●●●●
¦.....●
¦......●●●●●●●○
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「おお!! 地図が出ている。カーナビだ!」
あまりに便利なメモ帳に自然と叫んでいた。
〈おい! どうしたんだエンジン、何か問題でも有ったか〉
ドリュウスさんからの念話だ。
〈あ・いやなんでも・・・ その・・・ フロントタイヤが一本グラ付いています〉
〈何っ!!〉
〈走れない訳じゃ有りませんが、このコースって全体的に右周りですよね・・・ この調子じゃ右のタイヤがバーストするかもしれません〉
〈! 解った。すぐタイヤ交換の準備をしておく〉
〈それと、0.04ミリの鉄板かフィーラー有りませんか?〉
〈そんな薄い板ねえよ!〉
そうだ、レベル100の時に手に入れたスキル・・・ えーと確か、生き物図鑑。
今度は右側にスクリーンが現れた。
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¦ 0.04ミリの固い板に代用出来るもの
¦ 素材 ブラウンホッパーの羽根
¦ 生息地 H 503m R 157度
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良し、キタ!!
〈ドリュウスさん、近くにカーライルやモーガンさんも、おられますよね。
ピットから出てすぐ裏手に、草むらがあります。手分けして、ブラウンホッパーと言うバッタを5匹程捕まえて、羽根を取って貰えませんか。羽根が必要なんです〉
〈? 良し、解った! すぐに向かう〉
〈ただし羽根はキケンですよ! 素手じゃ指が飛んでしまいます。
ですから、オイルパンかナベを使って捕まえて下さいね〉
〈う・解った〉
筑波サーキットのコースをイメージしているのですが、グラフィックスの挿し込みが解らないので、苦肉の策です。