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第1話 強制転生

フクマルと申します。

小説を投稿が初めてなので下手くそです。

いろいろと教えていただけると嬉しいです。(^-^)

よろしくお願いします。


第1話 強制転生


私の名前は灯明寺 結衣、某中学校に通っている2年生で14歳。心も体も限界だった。

「もう・・・疲れた・・・もういいよね?」

掠れ声の呟きは微かな風音に飲まれ静寂へと消えていった。

今、私は立っている。

思い出などない学び舎の頂に。

見下ろす限りに誰もいない、まるで世界に見放された様な孤独を感じる。

きっと本当に見放されているのだろう。

思えば生まれてから今まで幸せだと感じたことなどなかった。

物心ついた頃には父からDVを受け体には痣と火傷の痕が残ってる。

別に心底父を憎んでいるわけではない、きっと父だけが悪い訳ではなかったのだと思う。

父は共同設立者の親友に会社が傾いた時に資金を持ち逃げされ負債だけが残り、荒み段々と凶暴になっていったらしい。

母はそんや父から私を守ってくれた。

母に抱かれている時だけ安心できた気がした。

私は強気で高圧的になっていて中学に上がると、集団から浮きクラス全員から虐めを受けた。

集団での無視、暴言、悪戯に見せかけた嫌がらせが毎日、毎日、毎日永遠と当たり前の様に続いた。

私は耐えた、ただ、耐えてきた。

時には復讐もした。

けれど、復讐しても余計煽るだけだと気付いて全てを無視し誰とも話さなくなった。

家にも学校にも安らげる場所などなかった。

1週間前母が死んだ。

下校し家に帰ると部屋が血に染まり母の胸に包丁が突き刺さっていた、傍らには父が胸から血を流し倒れていた。

「いやああああぁぁぁ・・・ぁ・・」

私には何が起こったかわからかった、気がついたら泣き喚いていた。

それからどうなったのか覚えていない。

目が覚めた時視界は白一色だった。

周囲を見渡すと祖父母がいて祖父は心配そうに私に駆け寄り祖母は祖父の陰で泣き崩れていた。

「結衣ちゃん!結衣ちゃん!目が覚めたのか?」

「おじいちゃん?何が・・起こったの?」

「・・・それはのう・・・・」

母が父と無理心中したのだと、私が倒れて病院に送られたのだと祖父から聞かされた。

私は祖父母に引き取られた、今日が最後の登校になる。

伝える意味はないけれど、HRでクラスメイトに転校を告げた。

「家庭の事情で転校します、皆さんさよなら」

事前に聞いていたのか何の反応もない、ただ、全員から哀れみの目で見られていた。

手洗い場で鏡を見た時哀れみの理由がすぐに理解できた。

今の私は痩せ細りやつれ顔色も悪く病人にしか見えないからだ。

今日1日は今までの学校生活で、一番静かで楽だった。

下校時間も終わり、誰もいなくなった屋上に今私はいる。

目が覚めた日に私は決めていた。

父と母の跡を追おうと。

登校時に祖父母宛に手紙を投函したけれど、迷惑をかけてしまうから留守電にも別れの言葉を入れておく。

「こんなダメな私を引き取ってくれて本当にありがとう、私は父と母を追います。最後まで迷惑かけてごめんなさい」

携帯を仕舞い脱いだ靴を並べ、上に遺書置いた。

(私の死後学校は荒れるだろうなー、2年間分のお礼だから存分に苦しんで欲しい)

転落防止用のフェンスを乗り越えた、けれど一歩先に広がる恐怖に足が竦む。

覚悟を決めたつもりだったけれど、怖くて堪らず、震える手で錠剤を口に押し込み唾液で流し込む。

どれだけの時間震えていただろう、段々と薬が効き意識が朦朧としてきた。

「父さん、母さん今い・・く・・・よ」

力が抜け一瞬の浮遊感を感じた瞬間に、意識を失い私の14歳の生涯は幕を閉じたはずだった。


「お・・・・さい・・・」

誰かの声が聞こえる。

(おかしい私は死んだはず幻聴かな?)

「・・・きて・・ださい」

先ほどより大きく聞こえた。幻聴じゃない確かに聞こえた。

「起きてください」

何度目かの柔らかな声で私は意識を取り戻した。

「・・・だれ?」

目を開くとそこは夕暮れの光に包まれていた。辺りを見回しても何もなくまるで全てを包み込む宇宙のような空間で何処からともなく声が聞こえた。

「ようやく起きましたか、灯明寺結衣さん」

「誰?何処にいるの?」

周囲を見渡すが、誰も見つからない。

声と共に目の前に光の玉が降りてきた。

「私は女神と呼ばれています、ここにいますよ」

「光の玉?」

「はい、私です。」

よくわからず、困った私は冷たく突き放す様に話しかけけた。

「それで女神様が何かよう?」

「貴女の人生を見ていました。辛い人生でしたね」

「見てたなら助けてくれればよかったじゃない!女神なんでしょう!?」

気がついたら女神相手に怒鳴りつけ、掴みかかろうとした手は空を切った。

「申し訳ありませんが私は干渉できないのです。」

私は必死に感情を抑えたが、体の興奮はまらなかった。

「そう・・・・もういい・・・もう終わったことだから・・・私を天国に連れていってくれるのよね?」

「いえ、貴女には別の場所に行ってもらいます」

(え?別の場所?天国じゃないなら地獄?地獄なの?まだ楽になれないの?)

嫌な考えが頭をよぎり、感情が抑えなれなくなった。

「ふざけないでよ!貴女に私にの辛さが分かるの⁉︎苦しみが分かるの⁉︎何で私が自殺したか分かるの⁉︎」

怒りに任せて、感情を吐き出し叩きつけても女神は動じなかった。

「わかりません。ですが、どうしても貴女にいってもらわないといけないのです」

私は地獄に行きたくなかったので断固拒否することを決めた。

「嫌よ!嫌よ!天国にいかせてよ!ほっといてよ!」

「お願いします。貴女じゃないと行けないのです」

「何よ!何なのよ!何で私じゃないといけないのよ⁉︎」

「貴女にしか行けない場所なのです」

本気で叫び頭に血が上ったのか目眩でクラクラする。

「・・・し、知らないわよ。大体地獄なんて罪を犯してれば誰でもいけるはずよ!犯罪者とかを連れて行ってよ!」

「地獄?地獄なんて行かせません!貴女に別世界に行ってもらいます」

「・・・・・」

(あれ?別世界?地獄じゃないの?)

私は別の場所が地獄の事だと思っていたけれど、別世界の事だったらしい。

私が早とちりで一方的に怒鳴っていだと思ったら申し訳なくてとても恥ずかしかった。

「女神様・・・その・・ごめんなさい」

「いえ、お気になさらず」

落ち着いて考えると別世界が少し気になった。

「女神様、別世界ってなに?」

「貴女の世界とは別の世界です」

「だから、どんな世界なのよ?」

「貴女の世界とは違い、魔法がありますがその代わりに文明が発達していません」

「魔法⁉︎魔法があるの⁉︎」

気がつくと女神に詰め寄っていた。

「落ち着いてください、落ち着いてください」

(魔法が気になる、正直に言うと凄く気になる、見てみたいし使ってみたい、私だって魔法があれば幸せになれる?)

少し大きくなった女神の声で現実に引き戻された。

「魔法使ってみたいですか?貴女も魔法使いですよ?」

女神様の問いかけに私の心はグラグラと揺れている。

「私が魔法使い?魔法があれば幸せになれる?いや、きっと私は不幸にしか生きれないから・・・やっぱりいきたくない」

揺れる私の心を女神様は激しく揺らしにかかる。

「魔法を使えば何でもできますよ、顔も髪も身長も胸も寿命も好きにできますよ」

(胸は大きくしたい!何でもできるのか!けど・・・やっぱり)

女神様はさらに畳み掛けるように言葉を続ける。

「優秀な魔法使いは結婚相手も選び放題、高給で自由ですから好き放題できて楽しいに決まっているじゃないですか、大丈夫、貴女は確実に幸せになると約束できますから深く考えなくて良いのです、行きたいのでしょう?魔法を使いたいのでしょう?」

つい、衝動に任せて叫んでしまった。

「私、幸せになりたい!行きたい!使いたい!だけど!」

女神様は私の言葉を遮りに大きな声で告げた。

「貴女の意志は確かに聞き届けました」

「え?」

急に態度が変わった女神に戸惑いが隠せなかった私は思考が止まってしまった。

「少し卑怯ですが、元々決定事項なのでこれ以上は説得に時間がかけられませんからごめんなさいね」

「え?え?」

「さぁ、灯明寺結衣さん新たな門出の時です、貴女の旅路に数多の祝福があらんことを」

「え?ちょ!まっ」

(まだ、行くって言ってないよ⁉︎私は行きたくないよ⁉︎)

祝福の光に包まれ私の叫びは意識と共に光に飲み込まれた。


最後までありがとうございました。

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