25 -その二つのふくらみには大きな夢が詰まっている-
ちょいエロです。もちろんR18ではありません。
この話は飛ばしても構いません。女性読者は(いるか分からないが)飛ばしたほうが賢明かもしれません。
「あの、先輩。そのですね……。俺がマッサージをしなくても、胸に意識して魔力を送り込めば、時間はかかりますけど魔力強化は出来ると思うんです。だから今ここで俺がその、ま、ま、マッサージをしなければならない訳ではないです」
「……一つ聞くが、そのマッサージとやらはする方が効率がいいのだろう? するのとしないのでどれくらい変わってくるのだ?」
「……」
「正直に答えてくれ」
「先輩一人でやれば何年かかるか分かりません。5年以上はかかると思います。俺の場合では魔眼が有るのでパスをつなぐことは簡単に出来ます。魔素の流れが見えますから。別の物で例えて言えば、俺はライトで道を照らしながら、地図を作りつつ洞窟を探索するようなものでしょうか。先輩一人でやろうとすれば、目隠しをしながら手探りで洞窟を進むような感じになると思います」
「ふむ、目隠しをしながら、か。それだと目的地にたどり着けない可能性もあるんじゃないか?」
「…………あります」
先輩は顔を真っ赤にしたまま手をゆっくりとその胸から外す。そして俺にこう言った。
「分かった。覚悟を決める。だからお願いだ。私にパスをつないでくれ」
思わず、こくりと唾を飲み込む。
「い、いいんですか? 実は此処まで話したことは、俺の戯言かもしれませんよ」
「戯言だなんてそんなわけないだろう。そこは君を信頼する。君を信頼して体を預ける。だから私の魔力を強化してくれ」
ちらり、ちらりと先輩を見ながらどうしていいか分からず頭を抱える。いや、やることは分かっているんだが、やっていいのか分からなくて分からない。動揺している所為か自分も何を言っているのかわからない。
「わ、分かりました。では……どうしよう……」
「それは私が聞きたい……どうやってパスをつなげるんだ?」
「本来ならば……その部分に直接触れながら魔力を送ってパスをつなぐんですけど、えっと先輩の場合は……」
その豊満な果実に手が触れられるわけがない。
「お、音吉は、わ、わわ私の胸を触ると言うのか!」
「い、いえ、その部分でなくても別の場所を、け、経由して魔力を送ることもできるのでお腹でも背中でもかまいませぇん!」
思わず声が裏返ってしまった。
「そ、そうか。んっ。すまない。ちょっと私も動揺していた。だがやるぞ」
「わ、分かりました。それで結局どこかに触れなければマッサージは出来ないのですけど……出来れば胸に近い部位で……」
「音吉はどこがやりやすい?」
「えっと、わき腹が一番ですが……次に背中ですか。手からでもいけますが効率は一番悪いと思います」
基本的にその箇所に遠ければ遠いほどつなげるのが難しい。出来ればわき腹辺りからパスをつなぐのが倫理的で理想的だが、道徳的に少し危ういかもしれない。背中か手が妥当だろう。
「分かった、わき腹で行こう」
そう思っていた。
「え、正気ですか?」
「ああ、もうここまで来たらそこでいい、さあ、あとはどうすればいい? まさか脱げとは……言わないよな?」
「その、肌に直接触れる方が良いのは確かですが、脱がなくてもかまいません」
何だか変態の願望みたいなことを言っているような気がするが、決して俺はセクハラ目的ではなく先輩の魔力を上げると言う重要な要件を、先輩に頼まれてやろうとしているだけで、何ら自分に非があるわけではなく、決して……とそこまで考えて俺は頭を横に振る。
(いかん。未だ動揺しているようだ、落ち着こう)
「わ、わかった」
そう言ってローブを脱ぎブラウスを手にかけた所で、俺は慌てて止める。
「って何しているんですか、脱がなくても良いと言ったでしょう!?」
「直接触れた方がやりやすいのだろう? ならば脱ごう、失敗される方が困る」
脱がれると俺が精神的に困る。
「じゃ、じゃあブラウスの下から手を入れるので、頼むから脱がないでください!」
そういうと先輩は頷き、ブラウスをめくろうとする。が、まだ準備が有るので俺は先輩を止めた。
「あ、先輩待ってください。人によっては魔力の活性化によって、体に力が入らなくなることもあるので座るか寝転がってもらいたいんですが……」
「わかった。ではそちらにある椅子を使おうか」
そうしてローブと上着をたたみ、イスを用意するとそこに着席する先輩。パッと見は気丈に振る舞っているように見えるが、手足は落ち着きが無く動いていて、たまに不安そうな顔でチラチラ覗き込みように俺を見てくる。普段は白く美しいその肌がほんのり桜色に染まっていて、美しい銀髪からのぞく少しだけ尖った耳も同じように色づいていた。
コクリ、と唾を飲み込む。
現在先輩はローブを脱いでいるため、今はブラウスである。そのブラウスは汗によってか少しだけ肌に張り付き、先輩が付けている黒いブラジャーが透けて見えた。ここ最近涼しかった筈なのに、今日いきなり思い出したように暑くなったせいで、先輩は汗をかいたのだろう。多分。状況のせいでないとは思いたい。
(おかしい。何だこのシチュエーション?)
エロくならないように脱ぐことを止めさせたはずなのに、なぜか今めちゃくちゃエロい。
「よ、よし。覚悟はできた。ゆっくり入れてくれ」
「は、はい」
先輩は恥じらいながらブラウスの裾をつまみ、ゆっくり持ち上げる。そしてめくられたことにより、先輩の白いお腹と、小さく可愛らしいおへそが顔を出す。
俺はそのわき腹にゆっくり手を伸ばし、その柔らかそうな肌に触れる。
「ひゃぁん……//」
先輩は切なげに声を出し、俺は勢い良く手を引っ込める。
「せせせせ、先輩……へへ、へんな声を出さないでください!」
「し、仕方がないだろう、くすぐったかったからだ!」
俺達は気を取り直し、もう一度同じ手順をふむ。
「んっぁ……」
(だからそんな声を出すなって!)
俺は全神経と魔力を両手に集め先輩のわき腹に触れると、目に魔力を集めその存在感溢れる胸を凝視した。
そして先輩の魔素を見つけるとその場所に魔力を送り込み、丹念に伸縮運動をさせる。
「んんっっっ、あぁぁっ!」
今まで余りに使ってこなかったせいか、魔素の通り道はほとんど閉ざされかけていたが、小さな道が幾つかか残っているようだった。
(此処を拡張させるしかないか……)
俺はその場所に魔力をあつめる。そして広げて押し進むようにして胸までの道を作る。
「はあ、ハぁ。んんぅぅっ!」
先輩の体がどんどん上気し、肌が桜色に染まっていく。呼吸は乱れ額には汗も浮かべていた。繋がっている俺の腕と彼女のわき腹もほんのり汗をかいているようで、かすかな水気を感じる。
(くそっっ、先輩の声で調子が狂う。集中だ、集中しろ!)
「ハァハァ。お、音吉ぃぃ、そ、そんな真剣な表情で、わ、私の胸を、はぁぁん、み見るな……」
「もう少し我慢してください」
俺は先輩の言葉を無視して、胸を凝視する。今は大事な作業中だ、集中を切らしてはいけない。
俺は道に魔力を無理矢理通すと、魔力をそこに溜めていく。そして胸まで伸びる道を一本のパスとして作成した。
「んあ゛あ゛あ゛ぁぁああ!」
一瞬ビクリと体が跳ねあがるが俺は力で彼女を椅子に抑えつける。恍惚とした表情で空を見上げる先輩を無視し俺はその胸を凝視する。
(魔素がしっかり動いている……と言うことはパスは通った。けど思ったより小さい。これじゃぁ2分の1ぐらいしかそのたまった魔素を利用できない)
俺はパスを広げようとしたが、既につなげたパスにをそれ以上広げるのは難しそうだった。であれば他にパスを通せばいいのだが、それをする前に今新たに作られたパスを通る魔素が安定してからの方がいい。
「あ゛あ゛あ゛ぁぁ!」
(やべぇ、2倍ほど上がるとは言っちまったけど……今時点では2倍まで持ってくのは難しいな)
俺は自分の魔力をゆっくり胸から手にもどす。
「はぁはぁ、んんっっっ!」
そして送った魔力を回収するも、一部魔力は先輩の体中の魔力と混じってしまったので回収は不可能だろうがまぁいいか。こんなに早く俺の魔力が混じるのは初めてだ。もしかしたら先輩との相性が良いのかもしれない。
「ふう。先輩、どうですか」
先輩は未だ興奮しているのか何なのか分からないけれど、歪んだ笑みを浮かべたまま小さく口を開く。
「……き、気持ち良かった。新たな境地を開いたような気分だ……」
それはもちろん魔力的な方ですよね。マッサージの方じゃないですよね?
と、不意に先輩は驚いたように立ち上がると自分の体をまさぐる。そして置いてあった杖を手に取ると駆けだし道場の中心付近で魔法陣を作った。
「ヅォルツヴェイグ!」
先輩は出来た氷の塊を見つめながら呆然と立ちすくむ。そして自分の両手を見つめた。
(先輩は何も言ってくれなかったけど、どうやら成功したようだな)
先輩の魔力が格段に上がっている。する前と比べて1.5倍くらいだろうか? 先輩はもともとが凄かったために、もはやそこらへんの魔法使いじゃ比較にならないくらいだ。
「おときちぃ……」
瑛華先輩は俺の名前を呼びながら真顔でこちらに走ってくる。その剣幕に少し押されたが、なんとかその場から動くことはしなかった。
先輩はだんだんと近づいてくる。真剣な表情から笑みが混じり、とても興奮した様子で――。
(……ってあれ?)
先輩が止まらない。走って来て止まらない。止まらず、俺に飛び込んできた。
「音吉ぃぃ! 最高だ! 君は最高だよ! 信じられない。もう何十年も前に成長は終わったものだと思っていたが、こんなにも、こんなにも魔力が増えるだなんて! 夢みたいだ。ああ、信じられない!」
俺は先輩のタックルを受け止めバランスを保つだけで精一杯だった。
「せ、先輩危ない」
先輩は両腕でがっちり俺をホールドし、耳元で興奮したようすで話す。また鼻からは少し甘ったるいような先輩の匂いが入り込んできた。
「やった……。こんなにも魔力が増えるなんて……最上級魔法も使えるかもしれない。嘘だろう? 私が? 夢か? 夢ならこのまま覚めないでくれ!」
でも、彼女の喜ぶ気持ちは分かる。俺が村で同じようにパスをつないだ時に皆が同じような反応をしたからだ。
「……現実ですよ。それよりも瑛華先輩。一つ謝らなければならない事が有ります」
彼女は少しだけ体を離すとじっと俺を見つめる。でも両手は俺の背中にまわしたままだ。
「んん、なんだ?」
まだ嬉しさが抜けきらないのか、満面の笑みで俺を見つめる瑛華先輩。彼女の非常に均整のとれた顔のその蒼い瞳。つやがあり、非常にサラサラしている先輩の銀髪。
俺は高鳴る心臓を無視し、熱を持った顔をそらすと先輩に言う。
「そ、その。すみません。一度じゃちょっとパスをつなぎきれなくて。予定よりも半分くらいしか魔力が作れてないようです。申し訳ないんですがもう2、3度やれば胸のパスが完璧になるので、後日また時間を作っていただけないかなと」
「おい……」
先輩は嘘だろうと言ったように驚いた表情を浮かべる。もしかして怒られるのか? そう思ったけど実際は違った。
「ちょっと待て、私の魔力はまだ増えるのか!?」
「え、ええ。まだまだ増えま――」
先輩は破顔一笑し両腕に力を込めた。
「おときちぃぃぃい!」
俺が言い終わる前に、瑛華先輩は叫びながらがばりもう一度俺にひっついてくる。先輩のさらさらとし銀髪が俺のほおにひっつき、頭の中が先輩の匂いで一杯になる。
「はは、本当に最高だ。もう私の体はお前の好きにしていいぞ! ふふっ。はははっ! こんなに嬉しい日は初めてだ!」
先輩の腕から解放されたのはしばらくたってからだった。