アリスの涙
アリスの涙
アリスは汚れた存在とされ人々はアリスを避け続けた1000年ほど前にあったとされている神話である。
人々はアリスを殺すアリスキ(アリスkill)にはまっていた。
アリスはいらない、この世界のクズだと言われ続けた。
その辛さに耐えられなくなったアリスの日記でもある。
――――――――――――
世界とは残酷なものである。
僕等アリスは何故か汚れ者として扱われる。
僕はちゃんと風呂にだって入ってるし、ちゃんと人間から生まれた存在でもあるのに、何故か僕等は汚れ者として迫害を受けるのである。
人は怖い。
僕だって人から生まれたということを知らないのだろうか?
何故僕ばかり。
やはり、アリスという種族だからだろうか。
いや、だがまて。
同じ人間に種族なんてあるのだろうか。
人間同士で民族等があることは知っていたが、種族があるなんて聞いたことない。
やはり僕等が迫害を受けるのは一方的な恨みだとゆうのだろうか?
そんな世界僕は信じない。
アリスは杖を取ることが出来る。
アリスは戦うべきなのだろうか。
戦う理由なんて一つあれば十分だろうから、僕等は助け合って杖を取るべきなのか?
「アリファー、遊ぼうー」
友達のリンラが遊びの誘いをしにきた。
「いいよー!」
僕は答えた。
そうだ、このとき失敗したんだ。
この時僕が遊びに行かなければあんなことにはならなかったんだ。
全ては僕にあるんだ。
僕とリンラが遊んでいるときにあろうことか人間が近づいた。
そしていつものように、甚振られた。
それだけじゃない。
あいつらが投げた石がリンラの後頭部にあたった。
「ああぁぁっぁぁぁっ!!!!」
リンラがいきなり叫び始めた。
そしてぐったりし始めた。
僕は人間に対し威嚇をした。すると、人間たちは即座に逃げ帰った。
「リンラ大丈夫か?」
僕はリンラを自分の膝の上に乗せた。
「うん、大丈夫だよ。私ね、アリファーのこと大好きだよ。でもね、思うんだ。何故アリスとして生まれたんだろうって。アリスじゃなければもぅっとアリファーと自由に生きられたのにって。私達檻の中で育てられた怪獣みたいだね。同じ人間なのに。なんで私達ばかり迫害をいじめを受けるんだろう。生きていく理由が見つけ出せなくなるくらい悔しい。私達が生きていてはいけないみたいだよね。実際そうなのかもしれない。何故、創聖者、偉大なる神は私達にこんなに辛い試練を与えるのだろう。あー、なんかつかれた。だるいな。アリファー私ね、アリファーが一回でも私ってちゃんと使っていること見てみたいの。アリファーの髪は美しい金色。それは誰もも持ってないような。アリファーにはちゃんと胸だって長い美しい髪だってある。それなのに、僕、僕って。なんか、もったいないよ。アリファーしっかり生きて。人間とそのうち戦いになるかもしれない。でも、虐殺的なことはダメよ。私達は偉大なるアリスなのだから」
リンラは涙をこぼしながらはっきりとした口調で、でもどこか辛そうな雰囲気を漂わせながら言った。
人間のせいで僕たちは自由じゃない・・・。
全て人間のせい・・・・。
人間なんかがいたせいでリンラは死ぬのか・・・・?
なんで、なんでなんでなんで?
こんないい人物が何故死ななくてはならない?!
僕だってかまわないじゃないか。
もうすべてがヤダ。
こんな現実な世界を私は絶対受け入れない、受け入れきれない。
ドクン・・・・ドクン
胸の心拍数があがる。
リンラの胸の内で波打っている。
ドクン・・・ドクン・・ドクン
リンラの内の波はどんどん早くなる。
リンラ・・・っ
リンラ・・っ
リンラっ
「・・・リンラァっ」
「リンラっリンラっっリンラっリンラリンラリンラリンラっ!!まだ、生きてるよね?死んでるとか言わないよね?」
アリファーは何度もリンラの名前を呼んだ。
リンラは確実に少しずつ冷たくなっている。
あの時、リンラはアリファーにすべてを伝えた時点でもう生きる力は残っていなかったのだ。
つまりリンラはすでに死したのだ。
「リンラああああああああああああああああああああああ」
アリファーはこでもか。とゆうほど泣いた。
泣いて泣いて泣きまくった。
「僕があの時遊びに行くことを断ってさえすればっ・・・・人間なんて・・・人間なんてっ!!人間なんて!!!この世から全てをなくしてしまいたいっ!!!!」
「消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!すべて消えろ!僕の体も心も魂もっ!この世もこの世界に存在する人間も!木も草も動物も虫も魚も家も鉛筆も杖も!!種族という憎たらしい現実も全て泣くなっってしまええええええっ!!!」
「何もかも消えてしまえええええええっ!!こんな現実、僕は絶対に受け入れないっ!!」
アリファーは世界に響き渡るくらい大きな声で叫んだ。
きっと誰かが止めに入っても止まらないだろう。
この状態になったアリファーをとめるのは無理だろう。
トントン
髭のモジャモジャのおじいさんがアリファーの肩をたたいた。
「えっ?」
アリファーは振り向いた。
おさめることは不可能なのにそのおじいさんは不可能を可能にした。
「御嬢さん」
おじいさんはゆっくりとした静かな口調でアリファーに声をかけた。
「?」
「何が起きたのかな?」
「っ・・・!!!」
アリファーは少しとまった涙がまたこぼれそうになった。
「そうぽろぽろ泣くんじゃないよ」
ゆっくりと穏やかな表情でおじいさんは言った。
「…友達がっ・・・友達がっ死んだっ・・・・。人間のせいで死んだんだっ!!!」
アリファーはいきなり立ち上がった。
おじいさんをつかむかからんばかりに。
「おさまれよ」
「無理に決まってるじゃないかっ!!」
「おさまれよ」
おじいさんは何度もおさまれよとつぶやき続けた。
「まあ、一回わしの家に来なさい。そこでゆっくり話を聞こう」
おじいさんはアリファーを家に誘導した。
おじいさんの家は案が近く、森の中にあった。
「・・・デカっ」
アリファーはそっとぼやいた。
おじいさんの家は、大樹の上に作られていた。
おじいさんは梯子を伝って家に上がった。
「御嬢さんも上がりなされ」
おじいさんが誘導した。
アリファーも上に上がり、おじいさんが座りなさいと言われ木の枝に腰を掛けた。
「何故御嬢さんはあんなに悲しんでおられたんだ?」
直球で聞かれた。
「リンラが・・・・私の友達が人間の投げた石が後頭部にあたって死んだ」
「ほう。それでそなたはどう思った?」
「人間が憎くてしょうがなかった。死ねばいいのにって思った」
アリファーは素直に答えた。
「本当にそれが正しい答えだと御嬢さんは思うか?」
ブンブン
アリファーは首を横に振った。
「思わない」
「何故?」
「リンラが私に言ったから。私に、虐殺的なことはするなって言ったから」
「ほう、そうか。だが、御嬢さんはそれを考えてしまったのが。そちは、その思ったことを悪いことだとは思うか?」
おじいさんはまっすぐな目で聞いた。
「悪いことだと・・・思う。」
「何故?」
「人を恨むことは悪いことって教えられてきたから」
「ほう。そうか。」
「うん」
「そなたらは勘違いしているんだ。」
おじいさんは少し笑いながら言った。
「え?」
「恨むことが全て悪いことではないんだよ。恨むことがすべてとも言わないが、アリスも人間も人を恨まない生活をしたことがあるか?どうだい?」
「な・・・くないです」
「そうだろう?そこなんだよ、答えは。誰だって、何かを恨み続けるんだよ。恨まない生き物なんてこの世に存在せぬ。泣くことが人を成長させるなら、恨むことで心の器を大きくしているのだよ。わしは、もう何年も生きてきて、そういう世界をたくさん見てきた。それに、嬢ちゃん、考えてごらんよ。怨みだけで起こった世界の戦争はいくつある?わしは、怨みより私欲のせいで勃発した戦争の方が多いとみてきたがな?まあ、恨むことが全てとは言わん。だが、怨みを今まで体験してきて、それ以上に何かを得たことはなかったのか?わしは、嬢ちゃんがどんな生き方をしてきたかしらんが、わしの場合は怨みの先に、自分の心の優しさやあちら側の考えなどいろいろなものをみて、その度に、次はどうしたらよいのかと考えてきたぞ」
おじいさんは優しく語った。
ポロ・・・
アリファーの頬に小さな一滴がそっと落ちた。
「あっ、あれ?またっ並がが零れてきちゃったっ」
アリファーは手を頬に寄せながら、何度も何度も涙を拭きとったがそれでも涙の雨はやまなかった。
「おっおかしいなぁっ。おかしいなぁっ。どうしたらいいんだろう、こうゆう時」
「そうゆう時は、泣くのが一番じゃ。涙の跡にきっとお嬢ちゃんにしか見つけられない世界が待っている。それがどんなに遠い未来でも、きっと美しい何かが待っている。それは誰にもわからない。自分にだって、わしにだってわからない。ただ、わしらは少しずつ未来を変えるために何かを望み続けることじゃよ。そのことは、人間だろうが人間の中のアリスという種族とかそんなもんは関係ない」
アリファーはおじいさんに言われた通り、自然のままに涙を流した。
「うわぁっ、ああっ!!うわぁぁぁっ!!リンラっ!リンラッ」
おじいさんは静かにそんなアリファーを見つめていた。
少し時間が経つと、アリファーの涙も収まった。
「おじいさん、今日はありがとう。僕は、少し変われたかもしれないよ」
アリファーは立ち上がり少し明るめの声で、でもどこか辛そうに言った。
「そうか、そりゃあよかったよ」
「さて、アリスを連れて帰る・・・か・・・・」
アリファーは亡き友達を見ながらつぶやいた。
「お嬢ちゃん、その少女をこちらへ連れてきなさい」
「えっ?」
おじいさんが何を考えているのかはアリファーには分からなかった。
「まあ、いいから連れてきなさい」
「はっはいっ」
アリファーはリンラをおじいさんのところに連れて行き、おじいさんが指示するように置いた。
『ヨミガエレ地ヨ。ヨミガエレ魂よ。ヨミガエレ己ノ姿・・・・』
おじいさんは行き成り何かをぶつぶつ唱え始めた。
それと同時にリンラの周りが魔方陣で包まれ、光り始めた。
「なに・・・これ」
その言葉を吐いたと同時にアリファーは少し気を失った。
アリファーが目を覚ますとそこにはありえない現実が待っていた。
「・・・・!アリファー・・・・?」
「えっ・・・?!」
アリファーはおじいさんの方を向いた。
「アリファーっ!アリファーっ!また、会えたねっ!」
「リンラぁぁぁっ」
驚くことにアリファーの目の前にはリンラが立っていたのだ。
「おじいさん、何をしたの?」
「その子をよみがえらせただけの話じゃ」
おじいさんは平然とつぶやいた。
「おじいさん・・・何者なの?」
「わしか?わしは一人の人間だった男じゃ。今は、魔道に力を入れ現の力を手に入れお嬢ちゃんの友達をよみがえらせただけの話じゃ」
「おじいさんっ・・・!」
ありがとうございます。とアリファーが謂おうとする前にリンラの声が遮った。
「ありがとうございますっ!」
「いいのじゃよ。そちの友達の心があまりにも綺麗だったから、おぬしもこの世に必要な存在と考えただけの話じゃ」
おじいさんは笑いながら言った。
「ありがとうございますっ!ありがとうございますっ!よければ、またここにきてもよいでしょうか?」
「いいぞ」
「本当ですか!じゃあ、またゆっくりしたら来ますっ!」
「そうかそうか、その時を待っておるよ」
「「はいっ!」」
2人は元気に返事をし、おじいさんの家を後にしたのだった。
END