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婚約破棄された女

3話で終わる予定です。

「ねえ、婚約を解消しましょう」

「は?何で?」

「その為に私を呼び出したのでしょ」


 カフェで突然、婚約解消劇が始まる。


「だって、あなた好きな人が出来たでしょう」

「あ……いや……その……あぁ、すまない。彼女は」

「それ以上は聞きたくないわ。それじゃあ、後は両親に任せていいわね」

「ナタリー、すまなかったな」



「いいのよ」

 席を立つ女性……ゆっくりと入り口まであるく、途中1人の女性とすれ違う。彼女からは婚約者……いや元婚約者の香水と同じ匂いがした。そして、ドアのガラスに映るのは抱き合う元婚約者とすれ違った女性だ。


 ナタリーはドアから出る。


 そして何処からか声がする。


『ナタリーいいのか?君はアレクを好きだったろう?』


「もう……好きじゃないわ。私がもう少し女らしくしていたら……違ったの?もっと甘えたり……可愛く拗ねたり?」


『ナタリー、違うよ。ナタリーがどんなに可愛らしい格好をして、可愛らしく甘えても……時々拗ねたとしても結果は同じだよ。あの男は浮気をする』


「うっ……何で。あの子なの?あの子は……いつもアレクと買いに行く花屋の娘じゃない」


『ナタリー、世の中にはそういう女もいるんだよ。横からあっさりと男をかっ攫う女がね。そして、男も……ひと時の欲の為に本当に大切な人を裏切る。ナタリー?どうする?あの2人が互いに飽きて別れるのを待つ?』


「いやよ。一生花屋に行きたくない気分なのよ。世の中の花が消えればいいと思う程に。全て早く忘れたいわ」



(アレクを忘れたい)



『わかったよ。さあ、こっちに……二度とアレクに対する想いは蘇らない。楽しい事も悲しい事も全て、2人の10年は一瞬で消える。本当にいいの?』


「いいのよ」



 何かが身体にぶつかる。


 遠くで誰かの声がする。

「ナタリー、ごめん。俺のせいで……ごめん」


 横を向くと血相を変えて追いかけてくるアレク。


「あぁ、アレクの声がするわね。アレク……ずっと好きだったわ。さようなら」








「ナタリー?ナタリー起きたのか?おい、医者を呼べ」


「ん……ここは?」

「病院だよ。馬車に轢かれたんだよ。事故から1か月たった」

「私が?事故に……そして1か月たったの?」

「あぁ、あの男にはきっちり責任を取ってもらうから安心しろ」

「だれ?あの男とは」

「アレクだよ。ナタリーと婚約していながら花屋の女と浮気してたんだよ。ナタリーの事故でアレクは責任を感じたのか正直に浮気の事を話したんだ」


「そう……ところでアレクとは?」


「今頃、両親に……っておい。アレクだぞ。ナタリーの婚約者だった……」


「さぁ、覚えてないわ」


「ち、ちなみに私の事は?」

「パパ……何言ってるのよ」

「ははっ……そうかパパの事は忘れてないのか」


――数日後――



「頭を強く打ったようだが命には別状はないです。しかし、暫くは安静にして欲しいのと。左腕が折れていて、治っても傷痕が残るかもしれません」

「わかりました」

「先生、ありがとうございます」



 医師の退室と同時に入ってくる男性はアレク。


「ナタリーすまなかった……俺の……俺のせいで……ナタリー」


「…………?」


「ナタリー?」


「あのどちら様ですか?すみません、覚えていないので宜しければお名前を?」


「ナタリー?俺だよアレクだよ……。もしかして俺の事……忘れた?」


「…………すみません。私との関係は?」

「……婚……元婚約者だ。事故にあった日に……俺は好きな人が出来たからと婚約を解消してほしいと言ったんだ」


「婚約解消……アレク様が浮気をしたのですね。そうですか……全て思い出せません。なのでお幸せになってください」


「ナタリー?嘘だろ……本当に俺の事忘れたのか?」

「あの……すみません。でも私は貴方に必要ない人となったのなら好都合ですね。私がアレク様にどういう感情を抱いていたのかも忘れたので」


 突然1人の女性が病室にやってくる。


「ちょっと、アンタのせいで私の両親は……アンタさえ事故に遭わなければ私はアレクと幸せになれたのに」


 ナタリーに詰め寄る女は酷く興奮している。

「おい、キャシーやめるんだ。何故ここにきたんだ」


「アレク?私の事を愛してるのでしょ。何なのよ、ずっと病院にいて私は……あの女のせいで家族からも縁を切られ……花屋も閉める事になったのよ」


「何故、私が悪いの?」

 ナタリーは女に問う。


「私がアレクに愛されているから……」


「キャシー。やめろ。俺たちが悪いんだ。婚約期間中に俺達が浮気をした結果だ……俺も両親と縁を切られた。騎士の仕事も退職を勧められた」


「は?アレク?じゃあ私は騎士の妻にはなれないの?」

「あぁ。俺達は……いや、俺は君と同じ平民となった」


「何で?騎士を辞めなきゃならないの」


「何故か……それはナタリーは……この国の宰相の娘だ」

「は?宰相の娘?」


「そして、ナタリーの隣にいるのは……この国の宰相だよ」

「そんな偉い人の娘から?」

「そうだ……私達は彼女を傷つけた」

「私達は愛しあっただけなのに?」


「アレク……残念だよ。仲睦まじくしていたと思っていたのだがな……浮気が理由とはな。せめて婚約を解消してから関係を持って欲しかったな。ナタリーはずっとアレクを好きだったんだぞ」



「あの……お父様」

「どうした?ナタリー」


「家に帰りたいわ。あの女性の声が煩いわ」


「わかった。屋敷に帰ろう。アレクとその女は二度と私達の前には姿を現すな。私の目の黒いうちは許さない。私の可愛いナタリーを傷つけおって」


「……わかりました」



 数年後、ナタリーは怪我をした時に診察をしてくれた医師と結婚し仲睦まじい夫婦として世間に知られるようになる。



「ナタリー?本当に元婚約者の事は忘れたの?」

「私が今愛しているのは旦那様よ」

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― 新着の感想 ―
メアリーなの?ナタリーなの?
スッパリ忘れて幸せになってよかったです。 ですが唐突な声に戸惑っています。 あと、すいませんってあまり言わないと思います。
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