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2、まずは丸洗い

あたしはブランマージュ――魔女だ。

魔女の中でも一番年若い魔女。私は九つの年に師匠であるエリィフィアによって親元から連れ出された。

 魔女は産まれた時から魔女で、思春期の頃にその能力を開花させる。その気配を感じると、魔女達は自分の弟子とするために子供をさらうのだ。


さらう、といっても実際は親の承諾をとる。

エリィフィアもあたしの親元に現れ、ある日突然その事実を突きつけた。

「あんたの娘は魔女だ。

このままにしておけば修行をしない魔女は力の制御ができずに自滅する。あたしが師匠としてあんたの娘を連れて行く」

 両親はしばらくのあいだ途方にくれているようだった。

うちは貧乏だったけれど、それでも親子仲良く暮らしていたのだ。

 だがその娘が突然魔女だと言われ、両親はとても困ったろう。

だからあたしは言ったのだ。

「魔女になったら一杯ご飯が食べられる?」

 ならば構わなかった。

自分がいないことで、幼い弟妹も多少は食べれる。


それに魔女って――とても楽しそう。


 それが全てだった。

 あたしは魔女。

不思議な力を使い悪行の限りを尽くす、悪い魔女だ。



「暴れるな」

淡々と言いながら、ロイズ・ロックは湯桶の中に子猫を突っ込んだ。

「ふぎゃぁぁぁぁっ」

「ちっこい癖に凄い声ですねぇ」

背後から彼の部下である副隊長がおかしそうに言うが。

 可笑しくない、ちっとも可笑しくないぞ!

っていうか、こらっ、尻尾を持ち上げるなっ。

辞めなさいよ、あんた、こっちは淑女なのよ!!

「ああ、メスか」


いやぁぁぁっ、どこ見てるのよっ!


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