表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/122

20、来訪者は妖艶に笑う

「どなたですか?」

 侍女のエリサがドアノックの音に玄関口まで赴けば、そこにいたのは黒髪の妖艶なる美女。


 濡れたような黒曜石の瞳。くっきりと描かれた紅の唇。

けぶるような睫に、ほんの少しつんっとあがった鼻が彼女の美しさを引き立てる。


 息をつめそうな美貌の女性は、口元をニッと歪めた。

「ただいま」

「……ただい、ま?」

 エリサはくらりとバランスを崩しそうになり、慌てて扉に縋った。


 美女の黒曜石の眼差しが柔らかな笑みを向けてくる。

「ただいま」

今度はゆっくりと優しく。

「おかえりなさい、ませ」

 エリサはくらくらともやがかかるような奇妙な感覚に小さくあえいだ。


「疲れているのね、近くの部屋でしばらく休んでいなさいな」

「はい、そういたします」


 エリサが困惑の混じるような笑みを浮かべて下がるのを、ひらひらと手を振って見送った美女は、紅の唇を引き結んだ。


***


 結界で閉ざされた空間が、揺れた。

無理矢理こじあけるその感触に当てられ、あたしは自然と指の間から爪がにょっと飛び出て、絨毯の起毛を掴んだ。


「あーら、可愛らしい猫だこと」


突然ぶしつけに入り込んだ声は、実に楽しそうに言った。

――レイリッシュ!


 あたしは居間の扉から現れた漆黒の髪の女に一瞬目を見開き、危うく声をあげてしまいそうになった。


「ふふふ、子猫ちゃん。私と遊んでくれる?」


レイリッシュは猫じゃらしを取り出した。


――戦う。

――逃げる。

――死んだふり。


選択肢が判りません!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ