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9、猫汚れる

――昨日綺麗に洗ったはずの猫が、なんというか……汚くなっていた。



ロイズが帰宅すると、居間にはシェパードのダスティと、その犬に抱え込まれるようにして猫のブランマージュが出迎えた。

「……」

見るからにやつれている。


そして犬の唾液で偉いことになった猫の姿に、ロイズは片眉を跳ねあげた。

「なんだこれは?」

 思わず言葉にすると、上着を受け取りながら侍女のエリサがくすくすと笑う。

「ダスティがこの子を随分と気に入ってしまったみたいで」


「みぃぃ」

 弱々しく猫が鳴くものだから、ロイズはすっと手を伸ばして猫を持ち上げようとした。

のだが、ダスティが身を低くしてまるで我が子を守ろうとでもいうように主を見上げてくる。

 それを更に無視して猫を掴み揚げると、


妙にさわり心地が悪い。


 昨日はふわふわと柔らかで素晴らしい毛並みであったものが、さんざん犬に舐められたのか、なんだかべったりとしているし、何より犬臭い。

それは微笑ましいというよりも、なんだか少し――いやな感じだ。

 ダスティが主に対して軽く牙をむいているが、それも無視する。

「風呂は?」

「準備できております」

「先に入る」


 猫を抱えたまま浴室へと赴き、籠の中に猫を放り込む。

猫という生き物は元来から風呂が嫌いらしいから、やはりこの猫も嫌がって暴れている。

 洗濯物をいれる籠は深いので出て来れまい。


制服を脱ぎ捨てて全裸になると、ロイズは無造作に猫をつまみあげた。


とりあえず、風呂だ。


生まれたての猫を毎日風呂にいれちゃいけません。まぁ、ブランの体力と魔力は日々自分を生かすために消費されだくってますね…備蓄されない。

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