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プロローグ
基本コメディですが、時々残酷な描写が入ることがあります。ブランマージュは悪い魔女(自称)ですのでお気をつけ下さい。
「ごめんなさい……」
金色の眼差しを持つ娘が囁いたのは、一匹の猫。
純白の柔らかな毛を持つ猫は、額から血を流し、淡い笑みを浮かべる娘を虹色に煌くビー玉のような眼差しで見上げた。
「まだ……死にたく、ない」
だから、ごめん。
二度、彼女は弱々しく謝罪のことばを口にし、やがてゆっくりとその場に倒れた。
猫が声をたてずに口元だけを動かす。
鳴いたのだが、それは彼女には届かない。
何故謝罪されたのかも判らない。
だが、やがて猫はとんっとその場から軽やかに歩き出す。
――倒れた娘のことなど知らぬ気に。