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不老の魔女と名無しの旅人  作者: きりくま
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言語道断


 「・・・何のつもりだい?ナナシ君?」


 フロウは瞬きを繰り返し、周りのドワーフ達も困惑した。

 当然だ。

 先程まで怒りの形相を浮かべていた彼が、いきなり跪き地面に頭をつけたのだから。

 

 「頼むフロウ・・・ボンボルドンドもだ。皆を助ける為に力を貸してくれ。お前の言った言葉は分かってるし、お前の事も信頼してる。だけど・・・この状況で納得は出来ない。手を差し出せば助ける事が出来るかもしれないのに、何もしないなんて俺にはできない。だけど・・・俺だけじゃ何もできないんだ。だからフロウ・・・頼む!皆を助けてくれ・・・!」


 声を震わせ頭を下げる彼に目を細めて視線を外す。 

 

 「・・・フロウちゃん!私からもお願いします!フロウちゃんにも何か考えがある事は分かっていますけど・・・ナナシさんの言う通りです!ドワーフさん達を助けてあげましょう!それでも駄目なら・・・私だけでも戦います!」

 「・・・フロウさん。少々予定とは違いますが・・・ナナシさんとパルシィさんのいう事も道理です。次の事はこの窮地を乗り切ってから考えた方がいいでしょう。・・・このままだと、お二人だけで戦う事になってしまいます。それは私の望むところではありません。どうかご一考を」


 ナナシに続きパルシィとボンボルドンドもそれぞれ頭を下げ・・・短く唸る。

 暫く周囲を見回し、大きな溜息を吐き出して頭を掻く。


 「・・・あぁ~もう!わかったよ・・・わかった!」


 その言葉に周囲から安堵の声が漏れ、ナナシも頭を上げる。


 「フロウ!ありがとう・・・本当にありがとう!」

 「いや、礼はいいよ。ナナシ君・・・私はね?怒って呆れて困っているんだよ?せっかくここまで考えてきた計画が、他ならぬ君のせいでご破算なんだから当然だよね?」

 「いや・・・それは・・・ごめん・・・」

 「謝罪もいいよ。されたところで、状況が変わる事もあるまいて。それに、結果的に決断をしたのは私だ。まぁ・・・どうしても謝罪をしたいというのなら、後で埋め合わせでもしてもらおうかな」

 

 ニヤリと不敵な笑みを浮かべる彼女に嫌な予感がしたが・・・背に腹は代えられない。


 「・・・わかった。それで?どうするんだ?一点突破か?それともここで防衛か?」

 「はぁ?全然違うね。何で戦う必要があるんだい?逃げるに決まっているだろう?」

 「逃げるって・・・どこに?」

 「地上に決まっているじゃないか。他にどこがあるんだい?」

 「・・・それって結局、戦うって事じゃないか?」

 「えぇ・・・?どうしてそうなるんだい?ナナシ君・・・君はいつからそんなに乱暴者になったんだい?私は悲しくて悲しくて今にも泣きだしそうだよ」

 

 わざとらしく涙を拭う仕草をする彼女を無視して考える。

 どういう事だ?

 地上に逃げるって言ったって・・・入り口の方向には敵がまだいるだろ?

 こっちは全員で・・・だいたい50人ほどはいるぞ?

 コソコソ動き回っても、こんな大所帯じゃすぐに見つかるに決まってる。

 ・・・誰かが囮になって、その隙に行くのか?

 いや・・・そんな事をしても取り囲まれるのがオチだろう?

 それに、囮になった奴が戻ってこれる保証が無い。

 だったら・・・どうするんだ?

 

 「さて・・・と。やるとなったからには時間を無駄には出来ない。早速逃げるとしよう。私が先導するから戦えない者が続きたまえ、ナナシ君は私の精神安定剤として隣だ。中団には戦える者数名とパルシィ君。殿は・・・ボンボルドンド君、お願いできるかな?」

 「分かりました。お任せくだ「ちょっと待って!」


 1人のドワーフが声を上げ、全員の視線が向けられる。


 「オークが最後尾で魔女が先頭だと?お前ら・・・俺達を皆殺しにする気だろ!大体こうなったのもお前等が仕組んだ事じゃないのか!?お前等だけじゃない・・・『黒砂』もだ!あいつがいなくなったと同時に敵が攻めてきたんだぞ!?お前らがグルになってるんじゃないのか!?」


 恐怖や恐れは判断を鈍らせる。

 その言葉を皮切りに、次々とドワーフ達は声を荒げる。

 そんな中・・・ティルティーラは顔面蒼白、身体は小刻みに震えている。

 過熱するドワーフ達の罵詈雑言を前に、ナナシが困惑する・・・その時だった。


 「口を閉じろ、たわけ者どもが」


 静かで小さな声だったが―――周囲を静寂が支配する。

 全員が冷や汗を浮かべ、視線を向けた先のフロウは静かに続ける。


 「先も言ったが、私からすれば君達の命なんて心底どうでもいい。だが、それでも君達を助けるのは友人達たっての願いだからだ。ボンボルドンド君に殿を任せたのは一番生存率が高く、役割をこなしてくれるからだ。気に入らないのであればどうぞお好きに・・・君が殿でもやってくれたまえ。それに、これまでその小娘やドワーフ達を守ってきた黒ちゃんや君達の為に地面に頭までつけたナナシ君を馬鹿にするなど・・・言語道断だ。私は友との約束は私は守るタイプだが・・・ついてきたくないのなら無理強いはしない。死にたくない者だけ付いてきたまえ。それだけでも、十分約束は果たしたことになるだろう」


 それだけをの言い残し、フロウは歩き出す。

 勢いに飲まれたドワーフ達は何度か互いの顔を見合わせ・・・1人、また1人とフロウの後に続いて行く。

最後までお読み頂きありがとうございます。もしよろしければ、いいね・評価頂けたら幸いです。

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皆様が読んでくれることが何よりの励みになりますので、至らぬ点もございますがこれからもよろしくお願いいたします。

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