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ブレスネットの君⑥ 今は仕事が忙しくてそれどころじゃない

「よし、今のうちに片付けるわよ!」


「手伝うよ」


「じゃあ、冷蔵庫をお願い!」


エコバッグにビニールの保冷剤をいれて中身を取り出してもらう。


未開封の食品や作り置きの冷凍のものは友人が引き取ってくれるとのことだ。


引っ越しも早めにしたほうがいいのだろうからと、冷蔵庫を空にしたかったのだ。


私は手っ取り早く、キャリーケースに衣類や靴、化粧品などを必要最低限詰めていく。

パソコンやタブレットも持っていく。


盗聴、全然気づかなかった。

色々聞かれていたのか、恥ずかしい、いつからだろう、なんで?


涙が込み上げてきた。

鼻もツンとする。


頭の中はぐちゃぐちゃだけど、今はそれどころじゃない。


しっかりしろ、悔しい、信頼されてなかったの?


涙を拭きながら手を動かしていく。



30分もしないで荷物がまとめられた。


ゴミをまとめていく。


「育君、こっちは終わったよ」


梅雨時期でじめじめしている中、冷房も入れずに作業させて申し訳ない。


「こっちも終わった」


ブレカーは切ったまま、家を出る。

ゴミを出して、車に戻るとほっとした。


やっと一息ついた。


「先に俺の家に行って荷物置いてきていい?」


「もちろん、本当にありがとう!」


車内の冷房を入れて先に友人の家に行くことになった。


友人の家はここから10分のところ。


「なんで盗聴されてるってわかったの?」


「うーん、違和感かな?」


「違和感?」


「音がキーってなってたんだけど、気づいてたか?」


「いや、全然。あ、モスキー音とか?」


「それに近いかな」


「うわー、色々聞かれてたんだなぁ、恥ずかしいんだけど」


「その分を含めて事務所に相談したらどうだ?」


「そうだね」


母も家に来ようとしたのだが、何かあったらいけないからと実家に待機してもらったのだ。


正解だった。


母に家を出たことを知らせる。


「家の人も心配してるだろうから、すぐ出るぞ。お前はそのまま車に乗っとけよ。荷物、冷蔵庫に入れてくる」


「よろしくです」


友人の住まいのマンションの駐車場でアイドリングをかけて待つ。


「セキュリティ高そう」


駐車場はカードをかざして入るタイプだった。


これからも引っ越しも、転職もしなければいけないからお金がかかる。


節約、大事だ。

新しい彼氏とか当分いらないな。

自分の生活が大事になる。

あれこれ考えていると


「落ち着かないなぁ」


青い車の後部座席は広めでゆったりとしているけれど。


これから先を考えると落ち着かない。


早めに事務所に相談してよかった。


「お待たせ、行こうか。お前の実家、こっち方面だっけ?」


友人が、運転席に座りカーナビを操作する。


「うん、ええと、住所を言えばいいかな?」


「よろしく」


住所を入力してもらい行き先を設定する。


「コンビニ行こう、飲み物買おうぜ」

しばらく車を走らせて、友人がそう言った。


「そうしよう!そうだ、育君は彼女いないの?いたら本当に彼女に申し訳ないと思って」


「今は仕事が忙しくてそれどころじゃ無い」


「えっ、仕事忙しいのに休み取ってくれたの???申し訳ない!!!!」


「元々今日は休みの予定だったんだ。午後からマンションの消防点検が来るから」


「そうだったんだ」


それから、コンビニで飲み物を買って実家へ向かう。


お母さん、心配してるだろうな。


朝9時をすぎて、実家に到着した。


「育君、本当にありがとうございました」


「おう、頑張れや」


そう言って友人は帰っていった。


母も妹も心配していた。

父は先週から出張で不在だ。


母にあらかた事情を説明する。


「法律事務所、早めに見つけて正解だったわね」とのことだった。


妹は学校から帰宅すると、「よかったー無事で」と言ってほっとしていた。


妹は高校三年生という微妙な時期。


妹が在籍している高校と、私の勤務先の最寄駅が同じだから余計心配したのだろう。


「学校前に変な人はいなかったよ」

それだけでこちらもほっとした。


「元彼氏さんは実家知ってるの?」

 

「知らないと思う」


「そっかー」


実家から勤務先に通えるが、夜も遅いこともあり、一人暮らしを始めたのだ。


「都奈法律事務所?」


何かあったらここに連絡するようにと妹に名刺を見せ、スマホに記録させたら、


「友人の弟の彼女さんのお母さんがここの所長で教えてくれたんだ」


「お姉ちゃん、友人の弟って育先輩?」


「なんでわかったの???育君、紹介したっけ?」


「あー、うん、じゃあこの事務所、都奈先輩のところだ」


「知り合い?」


「育先輩と都奈先輩は私の一つ上の先輩で知ってるよ。二人とも生徒会だったもん」


「ええっ、世間狭っっ」


「育先輩、お兄さんいたんだ」


「ちょっと育君に聞いてみるね」


スマホを取り出してメッセージをおくる。


「妹さん、弟の後輩なんだ。俺も同じ高校だったから、俺の後輩でもあるね。よろしく言ってて」


と返信がきた。


「育君、同じ高校だったから俺の後輩でもあるね、よろしくねって」


「そうなんだー!あ、育先輩からメッセージが来た、お姉さんによろしくって」


世間は狭くてびっくりしたけど、元気が出てきた。


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