図書室の君⑤ 明日もたくさん話せるのが嬉しい
愛上君が、動悸息切れするから救心を買おうかなと言ったのを全力で止めて、自宅へ到着する。
明日もたくさん話せるのが嬉しい。
今日の図書室は担任と生徒会の二人が見回りに来た。
会長の伝手さんと会計のニ犬さんは別のクラスだけど、去年も生徒会にいたから知っていた。
伝手さんは茶道部で、倉庫の掃除の後にお茶を差し入れしてくれた。
抹茶じゃなくて夏は冷たい麦茶、冬は暖かいお茶。
たまに野点を中庭でしていた。
入部当初、先輩方が「来週の、この時間に茶道部が野点するから運動部は休みにします」と言った時に、のだてってなんですか?って言ったので何人かの部員で見学させてもらったのだ。
なんでわざわざ休みにするのかと思ったら、砂埃がくるかもしれないという意味と、野点には来賓もいらっしゃるので、ボールが飛んできたりして怪我をさせないという配慮らしい。
他にも練習の掛け声で風情が台無しになる。
運動部は休みにして正解だと思った。
ニ犬さんは美術部で、見回りの時に小佐治先輩の様に植物を拾ったりしていた。
毎日の見回りお疲れ様です。
二犬さんがカウンターに行って何か話している。
愛上君の隣の女子が対応していた。
やだなぁ、愛上君と仲良くなったら。
いやいや、まだ彼女じゃないからと気づき、それでも愛上君と仲良い女子がいたら嫉妬してしまう。
でも朝の挨拶の後に動悸や息切れしたって言ってたから、少しは意識してもらえたのかな。