ブレスネットの君③ 弟の彼女のお母さん
「おはよう」
隣の席の同僚に声をかける。
「おはよう、朝から見たわよ。カフェにいた彼、素敵ね」
「あはは」
見られていたのか。
「俺と二人でいたら、何が言われるかもしれないが、かえっていいかもしれん。
先輩はどうだか知らないが、用心しろよ」
と言われていた。
さて、仕事をしますか。
目の赤みもだいぶ減っていた。
冷たいのと温かいのを交互に当てるとだいぶよくなるから、と言っていた友人には感謝だ。
感謝しかない、転職がうまくいったら何か奢らなくては。
友人に彼女はいないはず、いや、いたら申し訳ないから、今日の帰りに確認しよう。
昼休みが近くになると大学時代の友人達から連絡が入る。
スルーして、スマホはなるべく見ないようにする。
今日は定時で上がって、法律事務所に相談。
なるべく一人にならないように、誰かと行動する。
朝に寄ったカフェのサンドイッチをテイクアウトしたので、食べながら作業をすすめる。
先輩は別の部署にいるから、こちらから接触しなければ大丈夫なはず。
昼休みも作業をしていると同僚が「今日、急いでるの?」と声をかけてくれた。
「ちょっと実家で色々あって」
「大変ね、なにか手伝う?」
「ううん、大丈夫。ありがとう、定時で終わりそう」
「なにかあったら言ってね」
「うん!頼りにしてる」
定時の1時間前。
作業割り振りのメールが来てしまったが、同僚が代わってくれた。
「ごめんね、本当にありがとう!」
「今度何か奢ってね!おつかれー!」
定時で退社し法律事務所へ急ぐ。
ここから2駅のところだ。
電車に無事に乗ったところでほっとした。
作業割り振りのメールは先輩からだった。
たまにあったが、急ぎでもない。
同僚にお願いしたところ「手が空いてるから」と代わってくれた。
電車に乗ったところで先輩から着信。
多分、私が作業をしてないからだと思う。
同僚がしてるからいいか。
何度目かの着信をそのまま無視して法律事務所へ到着した。
先輩からの着信が切れたタイミングで友人に法律事務所に到着したとメッセージを送る。
「こんにちは、予約していた根野葉です」
事務員さんに声をかける。
「こんにちは、ようこそいらっしゃいました、所長の都奈です」
ここを選んだのは所長が女性というのもあるが、友人がすすめたのだ。
弟の彼女のお母さんが所長だけど、どうかな。
友人のおすすめだ、間違いないと思う。




