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図書室の君㉔もう会うことはないからよかったというか

「知ってたみたいよ。でも全然そんなそぶりをしてなかったみたいだから、静観してたみたい」


小佐治先輩は在学中から俺のことを知っていたのか、メッセージを母に送信して、帰宅したら母からそう返答がきた。



「そうなんだ。いや、俺も今更知ったからどうしようかと思って」


風呂上がりの俺は麦茶をグラスに注ぐ。


「まぁ、今更よね。何もしなくていいんじゃないかしら」


ですよね。


「じゃあ押し花は偶然?」


「偶然みたいよ。卒業式の日に引き取る予定だったんだけど、周世さんとお付き合いするようになったから浮かれて忘れていたと、言ってたわ」


「周世先輩の足の怪我って、事故が元なの?それともまえからなの?」


「どういうこと?」


「大会の前後に不調を感じて、病院に行こうしたら事故にあってしまったとか。あと元担任って、女子生徒に好意があったとかないよね?」


「どうしてそう思ったの?」


「なんとなく」


「いや、なんとなくじゃないわよ。言ってみなさいよ、何かあったんでしょう?」


ほら、そこに座ってと、母の斜め前の席をすすめられる。


麦茶入りのグラスを持って席にすわる。


「今日、小佐治先輩の卒業制作や作品を見たんだけど」


「うん」


「なんていうか、物事を色んな角度で見てた人なんだなって」


「そうなのね」


「それで、陸上部での周世先輩のスケッチを見たんだけども、大会前の周世先輩の表情が少し辛そうで。なんていうんだろうな、いつもはつらつとした感じがなくて」


「はつらつ」


「大会前は少し不調だったのかな?って。それと陸上部員のスケッチで、元担任の視線がとある女子生徒をみてるなって」


「知ったところでどうこうできないけど、今更だけど、気になったのね」


「うん、今更だよな、だから心に留めておこうと思ってる」


「うん」


「今更だから、何もできないし、終わったことだし、だからなんなの?って思う。知らなくていいことを知っちゃったから、少し気分が悪いというか。もう会うことはないからよかったというか」


「そうね。他には何か気になるの?」


「うーん、今のところはなんともいえないかな」


「来週、小佐治君は退院するみたいよ。会って話してみる?」


「え、いいの?」


「小佐治君も話してみたいそうよ」


「じゃあ、お願いしようかな」


10日後の日曜日、


「こんにちは、小佐治先輩」


「こんにちは、愛上君」


小佐治先輩の家で会うことになった。


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