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図書室の君⑯ 今更、だけど

俺は部屋で元担任と加害者をスマホで検索してみる。


そこで元担任の名前を知らないことに気づいた。


とりあえず、周世先輩の名前で検索。


下の名前も知らないので、高校名と交通事故、すせ、陸上部で検索する。


去年の4月に事故があっても知らなかったのは、事故が入学してから1週間後のことだからだと思う。


高校入学したての新入生には関わりがなければ話題にならないかもしれない。


丘さんは、運動部で生徒会と少し関わっていたから知っていた。


入学してからすぐ大会があるのは珍しいなと思っていたら、記録会大会で記録更新のための大会だったようだ。


そこで車と接触、加害者は、


「え?」


震える手でを検索。


事件の続報の記事があった。


元担任と加害者はいとこ。


と、いうことは。


俺はスマホを持って、リビングにいる母さんに声をかける。


「母さん、ちょっといい?」


「どうしたの?」


マグカップを持って雑誌を見ていた母が、テーブルの上にカップと雑誌を置き、俺のスマホを見てもらう。


「あったわね、この事件」


「今、どうなってるかわかる?」


「知りたいの?」


「少し」


「わかった」


母の正面に座る。


「この家の事業は他の事業に吸収、教師の方は退職してる」


ここまではいい?と母が言う。


「事業はもともと売却する予定だったんだけど、事件後は吸収されている。

吸収先はー」


「うち、だよな?」


「そう。正確に言えば関連会社ね。あの事故は本当に偶然だった。

売却予定だったのに、事故の全貌が明らかになると、買手がなかなかつかない。それでうちが合併という名のほぼ吸収にした。

少しでも保釈金に回して欲しいと言われたんだけど断ったのよ。

被害者の女子生徒と息子が同じ高校なんですよねって」


「そうなんだ」


「実刑になったから刑務所にいるわよ。元教師は、まぁ、逃げられたわね」


「逃げた?どこに?」


右手の人差し指で上を指す。


「あー、」  


そういうことか。

今世で会うことはない。


「父親はいるけど、精神的にはもう限界じゃないかしら?こちらも教師を退職してる。

母親は子供が幼少期に離婚して、家を出てる」


「じゃあ」


「一家解散じゃないかしらねぇ。で、どうしたの?」


周世先輩と小佐治先輩のことを話した。

男装、女装した理由。

そして、小佐治先輩が行方不明になっていて、現在は無事でいるが、一部の記憶がないこと。


「ふぅん。鎌倉、ね」


「少し嫌な予感がしたんだ」


鎌倉は加害者の本家があるところだ。


「調べさせましょうか?」


「できるの?」


「だって気になるんでしょう?」


「うん」


「お世話になった先輩なんでしょ?」


「今更、だけど」


「今更でも遅くはないわ」


母がふふっと笑った。

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