美術室の君⑪ いいよ
千日紅とソファーセットの絵は、木目調の額縁に収まり、俺の部屋に飾ってある。
今まで描いた絵は譲ったりしていたのだが、これだけは手元に置いておきたかったのだ。
部屋に入り、ベッドに横になる。
今日の放課後、周世から話があった。
「弁護士さんも、担任の行動が怪しいって色々調査をしていたみたい。見せてもいい資料があるんだけど、正直、どう言ってもいいかわからない」
三人で資料を見る。
元担任の父親も他県の高校教師で陸上部の顧問だった。
周世が全国大会で三位になった大会。
四位が元担任の父親がいる高校の生徒だ。
その父親から、周世がいなかったらいいのにと愚痴を元担任である息子に言ったそうだ。
周世は陸上は高校生までと決めている。
だから、大学や実業団の推薦も全て断っていた。
それでも、周世には進学の話が来ていた。
それに納得していないのが元担任の父親だ。
四位の生徒には、推薦の話は一度も来ていなかった。
素行や学力に問題があると思われ、推薦の話はなかったと考える、と、弁護士さんの注釈があった。
この生徒の詳細は別紙参照のため、俺たちには見せられないとのことだった。
資料を見ると、周世が大会に出なければいいと元担任は考え、いとこである、のちに事故の加害者に事件を起こすように依頼。
いとこは最初に断ったのだが、いとこの実家が経営している会社の援助を約束し、事件を行ったとのことだ。
いとこは実家から離れて生活、別の企業に就職しており、実家の企業状態を知らなかったらしい。
だが、その約束は反故された。
いとこは元担任に詰ったが、激昂され、暴力を振るわれた。元担任は傷害で捕まり、それに伴い退職した。
いとこは現在、加害者でもあり被害者でもある。
元担任の父親は、家庭内の暴力などもあり、母親は離婚していた。
ここでも元担任の父親については別紙参照のため、俺たちは見れなかった。
胸糞悪い事件だ。
「両親と一緒に弁護士さんと色々と話をしたんだけど、小佐治、クラスでこんなことを担任に言われたという感じの文書を作成してほしい。
育と都奈は私がズボンを履いていることを他の生徒がどう思ったのか聞いていたと思うので、文書を作成してほしい。
受験前で大変な時だとわかってる。
でも、お願いしたい」
周世が頭を下げた。
「「「いいよ」」」」
俺たちは二つ返事で請け負った。




