美術室の君① レトロで可愛い
過去編です
今年も、もうすぐ終わりというある日。
その日は冬だというのに暖かく、手が空いている者が生徒会室の掃除に当たっていた。
「このテーブルセット場所取るし、いらないんだよね。捨てるか?」
生徒会会長の育が言った。
「わかるー、二人しか座れないし」
何人かの役員も同意した。
生徒会室に何代前からか、木目調の丸テーブルに薄いグリーンのソファ椅子が二脚。
座り心地が良くて俺は座っていることが多かった。
テーブルセットをどかして、キャビネットを入れたいらしい。
「レトロで可愛いから美術準備室に置いていい?静物のデッサンに使いたいかも」
「小佐治よく座ってたもんなー、いいよー」
と育の許可を得る。
「じゃあ美術部員で運ぶね」
そうと決まれば、早速運ぼう。
美術準備室に置いてこの椅子に座ってデッサンしよう。
「いやいや、ここの部屋あんまり生徒会以外の人入って欲しくないから。男子ー!運ぶぞ」
育は体格のいい筋肉質の男子だけども、こう言った気遣いができる男子だ。
「美術室って4階でしょう?きつそう」
そう言うのは運動部長で陸上部の周世だ。
「それでも運ぶ!」
俺はソファー椅子を手にとる。
「手伝うよ、小佐治の手をいためるの嫌だし」と、周世が丸テーブルを手に持った。
「いやいや、周世こそ!足大事にして!4階はきついって!階段とか!だれかー!テーブル持つの手伝ってあげてー」
そんな会話をしながら残っている生徒会役員でテーブルセットを美術準備室へ運んだ。




