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今夜も屋根裏で大運動会

作者: きつねあるき

 このお話は、1981年の春頃の事になります。


 当時住んでいた家を改修する為に、何か月か仮住まいをする事になったのですが、その時に起きた事になります。


 そこは元々選挙事務所があった3階建ての家なのですが、老朽化(ろうきゅうか)の為に解体しようとしていました。


 それを父親が交渉し、数ヶ月だけという約束で格安で住む事が出来たのです。


 ただ、実際に住居として使えるのは2階と3階だけでした。


 寝室は両親が2階で子供らは3階を使っていました。


 引っ越してから数日間、3兄弟はなかなか寝付けませんでした。


 それでも、やっとウトウトし始めると3階の屋根裏から、


「ドタ、ドタドタドタドタドタ…」


「キュー、キュー、キュー、キュー、キュウ…」


 というかなり大きな音がしたのです。


 それが、毎日深夜に鳴動(めいどう)していたのです。


 両親にその事を話すと、屋根裏には多くのネズミが生息(せいそく)していると言われました。


 しかし、日中に調べてもネズミはどこにもいないのです。


 僕はその音が嫌でしたが兄は面白がっていました。


 それを兄弟で寝ながら観察すると、どうやら深夜の0時30分と3時30分頃にネズミの集団が屋根裏を通って行くのです。


 それだけでなく、少しでも食料出しておくとネズミに食い荒らされてしまうのです。


 仕方なく両親は全ての食料を冷蔵庫の中に入れました。


 しかし、弟のプラ製人形が夜中にガジガジと(かじ)られてしまったのです。


 そこで、兄がネズミの姿が見たいとか言い出し、一晩中3階の電気を()けたままにしました。


 すると、3階の屋根裏で深夜2回あったネズミの集団移動が0時30分頃の1回になりました。


 それでも、プラ製の物はあちこち齧られてはいたのですが、明らかにネズミの数が減ったのは分かりました。


 この当時、周辺の木造住宅にはネズミが入り込む通り道があちこちにあったのでしょう。


 それからは、就寝時に3階の電気さえ点けっ放しにしておけば、屋根裏のネズミの集団移動は数日に1回になりました。


 やれやれ、これでぐっすりと眠れるなと僕が思っていると、兄が3階の電気を消すようになったのです。


 それでも、深夜2回のネズミの大移動は滅多(めった)に起きませんでした。


 (うわさ)を聞く限りだと、どうやら近所にある焼き鳥屋に短期間でネズミが増えたとの事でした。


 それから、兄は就寝時に3階の電気を消すだけでなく、要らないプラ製の物を階段に置くようになりました。


「お兄ちゃん、もうそんな事はやめてよ!」


 家族皆で声を(そろ)えて(さけ)びました。

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