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紅羽先輩からの連絡

 学校を終え疲れきった僕は布団にダイブした。

 疲れた……今日は今まで生きてきた人生の中で1番疲れた。

 紅羽先輩と土日遊ぶことになっちゃったからな〜。

 服装はどうしよう、髪型は?

 ……考えるのやめた!! どうせ考えてもどうこうなるわけじゃないしそのままの姿で会うのが一番ベストでしょう!!

 そんなことを布団寝転がって考えているとスマホから「ピロン♪」と通知音が聞こえた。


 《部活終わったよ〜》


 《お疲れ様です》


 《部活へ見送ってくれた時新婚夫婦みたいだったね!!》


 紅羽先輩は何を言ってるんだろう……

 やっぱり危険な人だったか……残念。


 《新婚夫婦ってなんですか? 僕達は1年生と3年生って関係なんですよ?》


 《小野寺君は冷めてるな〜》


 《冷めてないです。普通の反応ですよ》


 《冷めてるって~。直接話しているわけじゃないんだからもっと気楽に話そうよ》


 《そうですけど、紅羽先輩は僕にとっては先輩ですし》


 《LINEの時くらい敬語とかなしで話そうよ~》


 いくら紅羽先輩が「敬語なし」とは言ってくれても失礼になってしまうかもしれない。

 できる限り先輩は先輩らしくいてほしいし極力敬語は使っていきたい。

 最初は無理でも徐々に減らしていく方向で考えれば大丈夫でしょう。

 できる限り、いや多少考えて文字をうち送信した。


 《できる限り敬語はなくしていくように努力はします》


 《むぅ……まあ今後直してくれればいいよ》


 《ありがとうございます m (__) m》


 《あ、日曜日何時に集まろうか》


 《紅羽先輩にお任せしますよ?》


 《今って小野寺君一人? 時間ある?》


 ん? 今は一人だけどなんでそんなこと聞くんだろう?

 時間は、長くならなければ問題はないけど。


 《今は一人ですよ。時間もあまり長くならなければ大丈夫です》


 《了解 (''◇'')ゞ》


 紅羽先輩からメッセージが送られてきてから数秒後

 いきなり紅羽先輩から電話が掛かってきた。

 なんだ? いきなり電話かかってきたけど……

 切ったら文句言われるだろうし出るしかないよね?

 ……少し悩んだ末電話に出ることにした。


「も、もしもし小野寺です」


「電話出るの遅い~。それとなんでそんな業務的電話対応の仕方なのよ」


「業務的って……普通電話はもしもしから始まりませんか?」


「うちらは友達なんだから気にしなくていいの!!」


「は、はぁ。

 ところでなんで電話かけてきたんですか?」


「デートについて予定を立てようと思って電話したのよ!!」


 よほど僕とでかけることが楽しみなんだろう。

 そうでなかったら普通電話はかけてこないはずだ。

 ……最も紅羽先輩に普通が通じるかわからないけど


「日曜日ですよね?」


「何時に集まろうか~」


「紅羽先輩は時間の都合とかどうですか?」


「あのさぁ、小野寺君」


「は、はい? どうなさいました?」


「うちと二人きり例えば、電話とかデートしてる時とか、

 学校内じゃないときはさその……下の名前で「瑞希」って呼んでほしいな」


「名前……ですか」


「うち今まで名前で呼ばれたことないからさ……。

 二人だけの時でいいの!! ……ダメ……かな?」


 戦略的にやっているのだろうか?

 時々見える乙女な紅羽先輩がかわいく思えてしまう。

 だが、同性の友達からも名前で呼ばれることはなかったのだろうか?

 元気な性格や信頼できる部長、生徒会長ポジションなら名前で呼んだりしてもらえそうだけど。


「今まで名前で呼ばれたこととかないんですか?

 同級生のお友達や同性から」


「名前で呼んでくれるのは家族だけだよ。

 同級生もうちを呼ぶときは紅羽さんだし、生徒会長と部活をやり始めてからはずっと」


「そうだったんですね……分かりました。

 二人の時だけですけど僕は名前で呼ぶようにします!!」


「ほんと!?」


 紅羽先輩の声がとても明るくなった。

 普段も普段で明るい元気な先輩って感じの声だけど

 それとはまた違った幼い元気な少女のような声だった。


「み、瑞希先輩」


「ダメダメ!! 先輩って付けちゃダメだよ~」


「はい? え、じゃあなんて呼べばいいんですか?」


「瑞希か瑞希ちゃんのどっちかだね」


「は?」


 しまった。

 名前で呼ぶなんて言うんじゃなかった。

 どうにかして時間を戻すことはできないだろうか?

 ものすごく過去に戻ってさっきの発言を撤回したい。


「ほらほら早くうちの名前呼んでよ~」


 何だろう……今すぐ灰になって消え去りたい衝動に駆られている。

 でも、名前呼ぶと言ってしまった以上どうすることもできないしな。

 名前呼ぶまで話も先に進めなさそうだし……


「み、瑞希……」


「ちゃんは?」


「……ちゃん」


「もう一回ちゃんと言って!!」


「み、瑞希ちゃん」


「ん~~~~優人君ッ!! 大好きだよ!! 愛してる!!」


「え?  はい?」


 今まで小野寺君と苗字を呼ばれてたのに何でいきなり名前を呼ばれたんだ?

 しかも、”大好き、愛してる”って……


「うちに偽りの気持ちなんて全くないよ!! 優人君がうちの全て!!」


 ダメだ……僕にはどうすることもできない。

 攻略法も対策法も何も思いつかない。

 例えるなら坂道を下るブレーキの壊れた車と一緒だろう。

 それくらい今の紅羽先輩は暴走しているといってもいい。


「と、とりあえず何時にしますか?」


 集まる時間と場所はくらいは決めておかないと、

 名前の呼び合いだけで通話を終わらせたくない。


「優人君は午前と午後どっちの方が都合いいとかある?」


「予定もまったくないんでどっちでも大丈夫ですけど。

 長時間出掛けるなら午前中の方がいいんじゃないですか?」


「おっけー。午前中ね。

 時間どうする? 希望なければこっちで決めちゃうけど」


「お願いします!!」


「9時30分に集合しようか。

 場所は……学校にする?」


「学校ですか……」


「学校に集合するのは嫌かな?」


「学校だと他の人見つかった時大変じゃないですか?」


「確かに……」


「紅は……み、瑞樹ちゃんは生徒会長なんですよ?」


「お、よく今紅羽先輩って言わなかったね。

 えらいえらい」


「茶化さないでください」


「えへへ~。ごめんね、うれしくてつい。

 どこなら大丈夫? 優人君の家にする?

 住所教えてくれれば今すぐにでも駆けつけるよ!!」


「僕の家でいいんですか?」


「うんうん大丈夫だよっ。えへへ……」


 ん……待てよ? なんで紅羽先輩は「えへへ」って言ったんだ?

 善意だよな……? 悪意は……ん?

 はっ!! よく考えたら親切を装ったストーカー予備軍じゃないか!!


「やっぱりダメです!!」


「え……な、なんで!?」


「紅羽先輩……僕の家の場所知りたいだけですよね?」


「あー!! 紅羽先輩って言った〜」


「あ……い、今のは不可抗力とかいうかなんというか」


「むー。今度紅羽先輩って呼んだらお願いごと聞いてもらうからね?」


「そ、そんな無茶な……」


「ほらほら、瑞希ちゃんって呼ぼうね〜」


「み、瑞希ちゃん……」


「もう!! 優人君好きっ!!」


「あの……」


「どうしたの? 優人君」


「なんで今まで小野寺君だったのに優人君に変えたんですか?」


「呼ばれるの……嫌?」


「嫌じゃないですけど……その……恥ずかしいというかなんというか」


「優人君!! 優人君!! ゆーうーと君ッ!!」


「恥ずかしいのでやめてください!!」


 いや……名前の呼び方じゃない。

 とりあえず場所を決めないと!!


「とりあえず集合場所を決めましょ!!」


「そ、そうだね」


「どこにします? 近くの公園とか」


「公園か〜。公園なら、噴水のある公園にしない?」


「いいですね!! そこにしましょうか」


「公園に9時30分でいいかな?」


「はい!! お願いします!!」


「おっけー!! じゃ、日曜日の9時30分に会おうね!! 今から楽しみだな〜」


「子供じゃないんですから……まあ、僕も楽しみですけど。

 とりあえず日曜日の9時30分に公園で会いましょう!!」


 紅羽先輩と公園で会う予定を立て通話を終わらせた。

 明日は日曜日の服とか考えたりしないと、やることが多くなりそうだ。

 まさかLINE交換をしたのが友達じゃなくて紅羽先輩だとは……

 これから僕にどんな未来が待ってるんだろうか。

 ワクワクしてきた!!

 最っ高だな!!

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

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