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放課後 連絡先交換

「あの、僕一緒に出掛けることになってません?」


「え……小野寺君うちと一緒に出掛けてくれないの?

 一緒に行ってくれると思って予定組んでたのに……」


 目に涙を浮かべ今にも泣きだしそうになる紅羽先輩。

 いやいや、それは反則でしょ。


「わかりました……。

 行きますから。その、泣かないでください」


 その言葉を待っていたかのように紅羽先輩は急に笑顔になり


「言ったね? 今『行きますから』って言ったよね?」


「え、ええ。言いましたけど」


「じゃあお出かけしようね!! いや~小野寺君とデートか~」


「デートって……まだ僕たち付き合ってないじゃないですか!!」


「ちっちっち!! デートという意味はカップルでお出かけをする以外に意味があるんだよ。

 異性同性家族問わず遊びに行くことを「デートをする」っていう意味もあるんだよ?

 それに……今『まだ』って言ったね?

 ということは……まだ小野寺君と付き合うのは諦めなくていいということだよね?」


 へぇ、デートはカップルしか使わないと思ってたけど、

 遊びに行くことがデートになるのか。

 しかし、よく聞き逃さなかったな……。

 もしかして紅羽先輩ってかなり秀才なのかもしれない。


「べ、別に諦めなくてもいいですけど……」


「かわいい……。

 小野寺君可愛すぎるよ!! なんで顔を赤くしちゃってるの?

 うちとデートできることがそんなに嬉しかったの?」


「そんなのじゃありません!!」


「もうっ!! そんなに照れなくてもいいのに~。

 うちがしっかりと面倒見てあげるから、ね?」


「僕は紅羽先輩にどんな面倒を見られるんですか!!」


「0から100まで何もかもすべて面倒見るよ!!

 日常生活や勉強、将来の事、恋愛、恋、愛、結婚とか」


 日常生活と勉強以外紅羽先輩が僕に対してしたいことじゃないか!!

 最後の方はほぼ同じ意味だし……

 面倒を見るというか、

 こうして欲しいと誘導される未来が見える。


「あの……後半行ってることが重複して大渋滞が起こってるんですけど?」


「そんなことないよ!!」


「いや、恋愛と恋、愛は重複してますしその過程を経ての結婚ですよ?」


「うちはいきなり結婚でもいいんだよ?」


「紅羽先輩? いきなり結婚は無理ですって」


「無理だと思うから無理なんだよ!! 待てよ……結婚してから恋と愛を育めばいいんじゃ?」


 待て待て待て待て、絶対に順番が違うって。

 もし仮に結婚してもすぐ離婚することになるよ……


「とにかく!! 結婚の話は一回やめましょう。

 まだ、紅羽先輩に聞きたいこと全然聞けてないんですから」


「まだ何か聞きたいことがあるの? 

 分かった!! うちらの将来の事? 子供とか住居とか」


「違います!! 弓道の事です」


「お!! 弓道の事なら任せておきたまえ!!」


 弓道という言葉を聞き紅羽先輩が目を輝かせた。


「弓道部は休日に部活とかってやってますか?」


「んー、やる時とやらない時があるかな。

 あ、もし弓道部に入ってくれるんだったらSNSのグループに招待するよ。

 そこで休日とか予定のやり取りをしてるからさ」


「大会は基本的には全部参加してるんですか?」


「近場でやっている大会があって、人数が集まってたらね~。

 でも大会は土日にやることが多いし、大会に参加するとなればその前の休日は部活やってるよ~」


 なんとなく想定はしていたけど大会があり参加するとなれば休日が潰れるのは確定か……。


「大変そうですね……」


「うちらは大変じゃないよ。

 大変なのは顧問と副顧問じゃない?

 運転とかお願いしたり用具とかも運んでもらったりしないといけないからさ」


「用具……?」


「あ、そっか。知らないよね、ごめんごめん。

 もし入部するとなると買わないといけないものもあるから教えておくね」


 紅羽先輩から弓道で使う道具の説明を受けた。

 弓、矢、かけ、矢筒、矢尻、弦、教本、など弓道に触れることなく生活してたら耳にしない用語ばかりだった。

 学校では弓とかけは貸し出してくれるけど矢だけは自分の体に合ったものにしないといけないため購入しないといけないらしい。


「け、結構いろいろな用具がいるんですね……」


「今教えたのはほんの一部だよ。

 弓にもカーボンの弓とか竹でできた弓とか——」


「ストーップ!! わかりました、詳しい説明はわかりましたから。

 第一候補に弓道部入れておきますから!!」


「へへっ。ありがと小野寺君!!」


 この先輩はずるい……。

 不意に見せる笑顔と一緒に名前を呼んでくるのが。


 そういえば先輩は出かけるみたいだけどどこに行く予定だったんだろう


「なぜか知りませんが僕も一緒に行くことになっている土日紅羽先輩はどこに行こうとしてたんですか?」


「どうしても知りたいの?」


「一応、知っておく権利はあると思うんですけど?」


「確かに!! 知っておく権利はあるわね。

 教えてあげる」


「一体どこに行くんですか?」


「弓具屋さんよ」


「……?」


 キュウグヤサン? キュウグヤ?

 何それ? 初めて聞く単語なんだけど。

 何を取り扱ってるお店なの?


「弓具屋さんもあんまり聞かない用語よね。

 弓具屋さんはね弓道の道具を取り扱ってるお店なの」


「へぇ、そんなお店があるんですか」


「小野寺君。出掛けるとしたら土日どっちの方がいい?

 天気予報は両方とも晴れの予定だよ!!」


 流石です。紅羽先輩!!

 お出かけ前の天気予報を調べ上げるとは。


「紅羽先輩に合わせますよ?」


「ショッピングモール以外に行きたいところってある?」


「いや、そもそもショッピングモールは予想しただけなんですけど……」


「つべこべ言わない!! うーん、日曜日にしよっか。

 そのほうがしっかり準備もできるし」


「承知しました。

 日曜日ですね……時間はどうしますか?」


「そうね、時間は……あっ!!」


 紅羽先輩が時計を見て何かを思い出したようだ。


「な、どうしたんですか!?」


「ごめん、部活ある事忘れてた……。

 どうしよう、まだ予定も立てきれてないのに。

 小野寺君、今日スマホとか持ってきてる?」


「あ、あぁ、ありますよ?」


「連絡先だけ交換しておこ?

 うちこれから部活行かないといけないからさ」


「分かりました。

 どうしたらいいですか? 電話番号?」


「いちいち電話番号入力するよりLINEの方が楽でしょ?

 小野寺君はLINEやってる?」


「やってますよ!! これですよね?」


 LINEのアプリを開いて紅羽先輩に画面を見せた。


「さっすが~。

 うちの恋した男の子は仕事ができる男の子だね~」


「今の時代、スマホ持ってる人ならだれでもLINEくらい入れてますよ」


「とりあえず、交換しちゃおっか」


「そうですね。 部活も行かないといけないですし」


 紅羽先輩とLINEを交換し一言ずつ確認のためメッセージを送った。


 《こんにちは。小野寺優人です。よろしくお願いします》


 《こんにちは。紅羽瑞希です。よろしく~》


「ふふふっ。これで小野寺君の連絡先を入手できたぞ!!」


「……あの、紅羽先輩?

 心の声か知りませんけど口から漏れ出してますよ」


「はわわわ……そ、そんなつもりじゃ。

 と、とりあえずうちは部活に行かないとだから」


「別に連絡先の交換くらい言ってくれれば普通にしますよ。

 部活頑張ってください。来週見学に行くと思うのでお願いします」


「やっぱり、小野寺君に『頑張ってください』って言われると嬉しいな!!

 うち部活頑張って来るよ!! 部活終わったらLINEするからね」


「はい。LINEお待ちしてます!! 行ってらっしゃい!!」


「行ってきます!!」


 紅羽先輩は笑顔で答えて部活へと向かっていった。

 不意に見せる笑顔は輝いていて紅羽先輩をより一層引き立てているような感じがした。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

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