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放課後 紅羽先輩とお話

「あれ? 優人帰らないの?」


「あ、ああちょっとやりたいことがあってね」


「そっか。じゃあまた月曜日に!!」


「うん!! またね~」


 ——数分後

「ごめんね、待った?」


 僕が一人でいる教室に紅羽先輩が息を切らして入ってきた。


「大丈夫です!! 全然待ってないので。

 先輩息が上がってますけど大丈夫ですか?」


「大丈夫だよ!! それで質問って?」


「えっと……その」


「な~に? うちに何を聞きたいの?」


「さっき紅羽先輩は僕が初恋の人って言ってましたよね?」


「そうだよ?」


 紅羽先輩はなんで平然としていられるんだろう?

 僕だったら平然としていることなんて絶対に無理なんだけど……。

 それより紅羽先輩と目が合ったりするときに感じる時間が止まる感覚は何なんだろう?

 それも後々解明していかなければ……まさか僕が紅羽先輩に恋をしてる、なんてことはないよな?


「いったい僕のどこに惚れたんですか? 惚れる要素とかありました?」


「惚れる要素か~。特にないかな!!」


「は? ……え?」


 やっぱり紅羽先輩は危険な人だ。

 何も考えることなく思いつきで行動している感じがする。

 恋人になる件も丁寧にお断りする方向で考えていったほうがよさそうだな。


「でもね!! 時が止まる感覚を感じたのが小野寺君だけなんだよ!!

 それがうちの唯一にして最強の判断材料よ」


「判断材料が甘すぎますって!! 先輩が時が止まる感覚を感じたのって部活紹介の時だけですよね?」


「いや!! その時だけじゃなくなったの!!」


「ほかにも感じたってことですか?」


「ご名答!! うちが膝枕してた時『うちに恋してみない?』って言ったの覚えてる?」


 その時不意に心臓の鼓動が早まるのを感じた。

 やはり同じタイミングで時が止まる感覚に陥っているのか?

 となれば必然的に運命ということになるんじゃないだろうか?


「は、はい覚えてます」


「うちもあの時は賭けで言ってみたんだ。

 そうしたら感じることができたんだよ!!」


「そ、そうなんですね」


「小野寺君は時が止まる感覚を感じてないの?」


 ここで感じたことがあると言ったほうがいいのだろうか?

 あると言ったら「うちら付き合おうよ!!」とか言われるのかな?

 ないと言ったら可能性は低くなるけど自分に嘘をつくことは絶対にしたくないし……


「あります」


「え!? いついつ? いつ感じたの」


「偶然にも紅羽先輩の時が止まる感覚を感じた時と同じ時に感じました」


「はわわわ……」


 何だこの反応……。

 いや、「はわわわ」とか言う人いるんだ。

 不覚にも可愛いと思ってしまった……


「な、なんですか? その反応」


「運命だよ!! 絶対に!!」


 やっぱりか……。

 いや、こうなる未来は見えてたけどね?


「運命なんですかね?」


「運命に決まってるよ!!

 うちと小野寺君は運命の赤い糸で固く結ばれてるんだよ!!」


「あ、赤い糸ですか……。

 本当にあるんですかね?」


「あるある!! 絶対ある!!

 うちと小野寺君の関係がその証拠だよ!!」


 証拠が不十分すぎるよ、紅羽先輩。

 もし仮に運命の相手だとしてももう少しリサーチするべきだよ。

 行動力があることはいいことだと思う。

 でも見切り発車が先輩は大胆すぎるよ。


「と、とりあえずもう少しは友達の関係でいましょ?

 まだお互いのことが全然わかってないですし」


「でも真剣にうちとの関係考えてよ?」


「それは真剣に考えます!!」


「それは……? 弓道部のことは真剣に考えてくれないの?」


 いやいや、完全に揚げ足取りじゃないか!!

 まぁ、弓道部の存在は考えてなかったけどさ

 だって無理じゃない?

 赤い糸とか言われ始めたら弓道部の事なんて頭の中からきれいさっぱりなくなってたよ!!


「いや、それも考えてます!!」


「本当かな? 怪しい……」


「怪しくないですって!!」


「ふーん。

 え? じゃあ、入部してくれるの?」


「なんで紅羽先輩は早とちりするんですか!!」


「むぅ……そのまま会話に流されて入部してくれればいいのに」


「なかなか黒い部分があるんですね……怖い怖い。

 でも弓道部見学したり体験入部してみないと判断できないんですよね」


「あ、そっか」


 紅羽先輩は天然なんだろうか?

 ところどころ大事なところが欠損している。

 やっぱりメインコンピューターが欠損しているのだろうか?


「紅羽先輩って……天然ですか?」


「天然……?」


 ん? 何だこの聞き返し方は?

 不思議そうな顔をして首をかしげているが、

 もしかして天然というものを紅羽先輩は知らないのか?


「知りませんか? 天然」


「わかんないな~。

 どんな人が天然なの?」


「失礼ですけど……僕は、紅羽先輩は天然だと思います!!」


「それって、悪い印象だよね?」


「い、いや一概に悪いとはいえませんし」


「小野寺君的には悪い印象なの? 天然って」


「僕的には悪い印象はないですね。

 ニセ天然だと僕は嫌ですけど、本物の天然は好きですよ!!

 もしかして!! 紅羽先輩天然キャラを作ってるんですか!?」


「そんなキャラを演じるなんてうちにできると思ってるの?」


「う……そ、それは」


「どうなの?」


 すごく失礼だけど演じることができないというべきなのか?

 それとも演じることができるといったほうがいいのだろうか?

 聞かれている以上どちらか答えを出さないといけない……。

 ん? 待てよ……持ち上げるように言えば傷つけずに回避できるんじゃないか?


「僕は、紅羽先輩はキャラを演じることなんてできないと思いますし、

 違うキャラを演じてほしくないです!! 紅羽先輩との恋を考える上でお互いに

 素の自分をさらけ出してしっかりとお友達から付き合いを始めたいです!!」


「恋……恋かぁ……えへへ」


 紅羽先輩は口許がゆるんで笑顔になっていた。

 締まりがないというか気が緩み過ぎている気がするんだけど、大丈夫かな?


「何にやけてるんですか? 紅羽先輩」


「はっ!! ご、ごめんよ。つい『恋』という言葉に反応してしまって」


「単純というんだか……なんというんだか。

 そういうところ好きですよ?」


「え? す、すす、好き?」


 あ……しまった。つい口が滑って

 何とか誤魔化さないと 


「今は、紅羽先輩のこと好きですよ? でも今後変な事とかされたら嫌いになっちゃうかもしれません」


「う……き、気を付けます」


 一応、釘を刺しておかないとすぐに告白されて付き合うことになってしまうかもしれないからね

 まずは友達。いきなり恋人イベントとかは発生させたらダメだからね。


「極端に変なことをしなければ大丈夫ですから、普段通りに接してください!!」


「小野寺君」


「はい?」


「土日のどっちかって予定空いてたりしない?」


「だ、大丈夫ですけど」


「一緒に買い物行かない?」


「か、買い物ですか?」


「何緊張してるの? かわいいなぁ~」


「かっ、かわいくなんかないです!!

 でも買い物って一体どこに出かけるんですか?」


「よくぞ聞いてくれた!! うちが買い物に行きたい場所はね~」


「場所は……?」


「どこでしょう?」


 は……? え?

 分かるわけないじゃん!! どこからヒントを得ろと?


「えっと……わかりません」


「小野寺君? 分からないって言って答えないのはダーメ!!  当たるか外れるかなんて考えちゃダメ!!  自分なら一緒にどこに行きたいかを考えるの。

 その場所を言ってみて?」


「えっと……ショッピングモール?」


「ふむふむ。

 じゃ、ショッピングモールも行く場所に追加しよっか」


 あれ? なんか行く場所を勝手に追加されたんですけど?

 というか……僕、紅羽先輩と出かけることになってる?

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

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