表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/36

紅羽先輩とお話

「あの、何個か質問してもいいですか?」

 

「ん? いいけど、何?」


「弓道部って全くの初心者でもできるんですか?」


「全然大丈夫だよ」


 一つは弓道のことに関してだ。

 ゲームとかの武器で弓とかは使ったことがあっても実際に弓を握ったこと、矢を持ったことなんてないし、かっこいいなという印象しか持っていない。

 知っていることとは曲射や直射、平射などゲームで得た知識しかない。


「先輩は弓道始めたのは高校に入ってからなんですか?」


「うちは高校より前から始めてる。

 確か初めて弓を持ったのは小学校の時だったかな」


「そんなに昔から弓道やってたんですか?」


「うちのお父さんが錬士 (れんし)でね、

 小さいころからお父さんの影響を受けて弓道を始めたって感じかな。

 あ、錬士っていうのは称号みたいな感じで考えてくれればいいよ」


「弓道って奥が深いんですね……」


「運動系と一括りにしても弓道は走ったりしないし高齢の方が多くいる感じかな。

 生涯のスポーツとして楽しめるから触れるなら早いうちのほうがいいと思うよ」


 これだけ聞くと弓道がかなりいいスポーツに思えてくる。

 弓そのものがかっこいいと思っている僕からするとやってみるのはありなのかも?

 ただ、まだ入学初日だしほかの部活も見てみたい気はする……。


 一応先輩に候補に入れておくとだけ言っておこう。


「弓道よさそうですね」


「でしょでしょ? もし入ってくれたらうちが小野寺君に付きっきりで指導するよ!!」


 これは……断る案件だな。

 紅羽先輩に付きっきりで指導はしてほしくはない……指導とか言って何をされるかわからないし。


「一応候補に入れるって感じでもいいですか? まだ入学初日ですし、ほかの部活も見てみたいと思っているので。

 部活の入部届って今日が提出日じゃないですよね?」


「候補かぁ……入ってくれると嬉しいんだけどな。

 うちの学校の弓道部女子は多くてチーム組めるんだけど男子が少なくて男子のチーム組めてないからさ。

 ぜひ前向きに検討してください!!」


「わかりました。少し考えますね」


「ほかに聞きたいことはある?」


「紅羽先輩って彼氏いないんですか?」


 これも聞いておかないといけない。

 もし仮に先輩がモテモテな女性だとしたらほかの男子生徒から後ろからナタで刺される未来が見える。


「な、なな、なんでそんなことを聞くんだい?」


「いや……彼氏いたら僕に求婚とかする必要ないですよね」


「う……そ、それは」


「もしかして紅羽先輩……二股してます?」


「失礼ね!! 二股なんてしたことないし、しようとも思わないわ!!

 ……それに、恋人は今まで一回もできたことがないの」


「告白したり、されたことはなかったんですか?」


「中学生の時に一回だけ告白されたことがあったかな」


「モテてるじゃないですか!! その人とは付き合わなかったんですか?」


「その時はね……でも高校受験の事もあったから、申し訳ないけど断らせてもらったの」


「それで、なんで今婚活みたいなことをしてるんですか?

 まだ17歳ですよね? まだ未成年、ましてや学生なんですから普通に『付き合お?』とかでいいんじゃないですか?」


「うちは決めている事があるの!!」


「決めている事?」


「そうよ!! うちは初めて付き合う男性と結婚しようと思ってるの!!」


「はぁ……それは大変ご立派な決心な事で」


「だから、うちと付き合って!!」


「いやいやいや、だからおかしいんですって!!

 よりによってなんで僕なんですか!!」


「運命を感じたからよ!!」


 紅羽先輩……本当に大丈夫かな?

 運命を感じるなんてあり得ない事なのに。


「う、運命ですか……」


「そう、運命!!」


 ロマンチックで頭の中お花畑だな、これは……

 対策の立てようがない。


「はぁ……」


「な、なに大きい溜息をついてるのよ」


「いえ、気にしないでください。

 自分の理解能力の低さに呆れているだけですので」


「そう?

 あ、あとは私に質問あるの?」


 あと聞きたいこと……大体帰った後に思い出すことが多いんだよな。

 何かあるか、どうしても紅羽先輩に聞いておかないと困ること。

 些細な事でもいい。気になることは……あった!!


「そうだ!! 先輩ってなんで生徒会室で僕のことを待ってたんですか?」


「そんなの決まってるじゃない!! うちが生徒会役員だからよ」


 この頭の中お花畑の紅羽先輩が生徒会役員!?

 いや、役員と言っても『生徒会長、副会長、会計、書記、庶務』の役割があるから……あるから……いやどれも重要じゃね?

 そのうちの一つを紅羽先輩はやってるの?

 この学校大丈夫か?


「へ、へぇ……生徒会役員なんですか。凄いですね。

 ち、ちなみに役割は何をやられてるんですか?」


「ふふん!!  聞いて驚きなさい!!

 うち、紅羽瑞希は生徒会長をやってるのよ!!」


「……は?」


「何よ!! うちが生徒会長やってたらダメなわけ?」


「え……いや……そういう訳じゃなくて」


「ふふっ。驚いたでしょ?」


「え、えぇ……」


 驚いたよ。いや、驚くのが普通だよ!!

 紅羽先輩が生徒会のトップで他の委員長に指示とか出したりしてるんだよね?

 やばいな……入学する高校を間違えてしまった。

 人生最大の選択ミスだ。


「本当は生徒会長なんて弓道部の事もあるからやりたくなかったんだけどね。

 友達からの立候補や内申点が上がるっていう噂を聞いたからやってるってわけ」


「え!! 内申点上がるんですか!?」


「どうなんだろうね~。上がってくれると嬉しいな」


 もし内申点が上がるなら無理をしてでも生徒会長や副会長に立候補したほうがいい。

 就職や進学の面接で有利になるし、

 率先して生徒会役員をやっていましたと言えるからだ。

 僕も生徒会長とか狙ってみようかな……


「ところでさ、小野寺君教室戻らなくていいの?」


「あ、戻らないと!!」


「時間は大丈夫だけど小野寺君は新入生だからね~」


「あの……先輩」


「ん? どうしたの?」


「1-Aってどこにありますか?」


「えっとね、生徒会室をでて階段を……」


「え? 階段を?」


「君はしょうがないな~。

 うちが一緒に1-Aまで行ってあげる!!」


「はい……?」


「だーかーら。

 うちが小野寺君の教室まで一緒に行ってあげるって言ってるの」


「いや、頼んでないんですけど?」


「そっか……。

 じゃあ、小野寺君一人で1-Aまで行ってね」


「ですから、場所と行き方を聞いてるんですよ!!」


「言葉で説明するのめんどくさいだもん」


「さっき、説明してくれようとしてたじゃないですか」


「さっきはさっき、今は今よ」


「うぅ……」


「さ、とりあえず教室向かうわよ」


 紅羽先輩はそう一言告げると僕の手を握ってきた。


「え……え?」


「ん? どうしたの?

 何かおかしいことした?」


「な、ななな、なんで手なんか繋ぐんですか!?」


 不意に手を繋がれたりすると動揺してしまうのは当然のことだ。


「小野寺君……女の子耐性なさすぎじゃない?」


 ダメだ。この人……紅羽先輩はやっぱり危険人物だし、僕が苦手な部類の人種だ。


「だ、だって、女性と手を繋ぐことなんて今までの人生でなかったですしいきなり手を繋が——」


 おどおどしながら言い訳をしていると紅羽先輩の顔が急に近づいてきて僕の唇と重なった。


「!?!?!?!?」


 何が起こった!?

 も、もも、もしかして紅羽先輩とキスしちゃった!?


「あ、これうちのファーストキスだから。

 大事にしたい人、されたい人にしかうちはキスしないから」


「あ……あ、あわわわわ」


 目の前が真っ暗になり僕の意識は途切れた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

意見や感想などいただくと励みになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ