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入学初日

 4月、桜の花びらが舞い新しい学生生活が始まる。


 僕は、小野寺優人。

 今年からNew高校生となった16歳だ!!

 4月10日の入学式を無事に終え、平穏な学校生活が幕を開けようとしていた。

 入学式を終えた僕たち新入生は教室でオリエンテーションと自己紹介をして午前中を終えた。


 お昼を済ませて、午後は体育館に集合して部活動紹介を聞く。

 部員が入場してステージ上に上がる途中……一人の女性に目が奪われてしまった。

 ベージュの長髪を後ろでひとつでまとめ、歩く姿は百合の花を彷彿させるような優雅で美しい女性だった。

『へぇ、あんな綺麗な人が部長とかやっているのかな?』

 そんなことを思いながらずっとその女性に心が奪われたように見ていると女性がマイクを持ち部活紹介を始めた。


「私は、紅羽 瑞希 (あかはね みずき)と申します。

 私たちがやっているのは『弓道』です。

 皆さん、弓というものに触れたことがあるでしょうか?

 小学校・中学校……触れたことがない人が大勢いると思います。

 だからこそ私たちと一緒に『弓道』をやってみませんか?

 誰でも最初は初心者です。

 恐れることはありません!! 興味のある人は後でわた——」


 紅羽先輩が部活紹介をしている途中……

 紅羽先輩の目と僕の目が合い、時間が止まり周りが透明になったような感覚に襲われた。

 少しの間無言になってしまった紅羽先輩は慌てて


「——あ、ごめんなさい。

 えっと、興味のある人は私のところに来てください。初心者大歓迎です!!

 以上弓道部部長紅羽でした」


 紅羽先輩は顔を少し赤らめマイクを次の部活の部長に手渡しした。


 一瞬目が合ったよな?

 何だろう……あの感覚。

 周りの音を遮断して、時が止まったような。

 今まで女子と目が合ってもこんな感覚になったことなんてなかったぞ?


 そんなことを脳内で考えているとステージ上から視線を感じた。

 なんとなくわかる。絶対にあの先ぱ……紅羽先輩だ。

 本能的にわかる。

 目を合わせちゃダメだと。


 そこから僕は、ほとんど俯むいたまま部活動紹介を聞いていた。

 たまに視線をステージ上に移すと紅羽先輩と目が合ってしまう。

 紅羽先輩はいつまで僕の事を見続けているのだろうか……


 それから少しすると全部活動の紹介が終わり先輩たちは退場していった。


 弓道部……あの部活にだけは絶対に近づかないようにしないと。

 それにあの人紅羽先輩……危険度MAXの人物だ、絶対に危ない。


「ねぇねぇ、小野寺君」


「あ?あっ……んんっ。

 ど、どうしました?」


 まずい。いつもの癖で……初対面、敵意のない人に不良じみた返事をしてしまった。

 僕も高校生になったんだしっかりと考えて行動しないと……


「小野寺君はどの部活に入るとか決めた?」


 いかにもスポーツが出来そうな短髪で整えられた爽やかな雰囲気の男性。

 やばい……さっきオリエンテーションで名前を聞いたはずなのに全く名前が出てこない……


「ごめんなさい。

 お名前もう一度伺ってもいいですか?

 先程オリエンテーションの時に聞いたはずなんですけど覚えきれなくて……」


「ハハハ。そんな謝らなくていいよ。

 人数が多いから一度で覚えきれなくて当然だし。

 僕は大輝。佐藤大輝って言います!!」


 佐藤大輝君か、しっかりと覚えておかなければ。

 もしかすると貴重な男子高校生の友人になるかもしれない。


「さ、佐藤くんは入る部活とか決めたんですか?」


「そんな固くならないで、タメで良いし名前も大輝でいいよ。

 僕達同級生だしもう友達みたいなものでしょ?」


「あ、ありがとう。大輝くん……大輝くん」


「別にくん付けなくていいのに。

 部活か〜。運動系には入りたいと思ってるけど」


「中学生の時も運動部だったの?」


「うん!! 小学校からサッカーをやっていて中学校では迷わずサッカー部に入部してたからできればサッカー部がいいかな」


「運動ができるってうらやましいな~」


「小野寺君運動できそうじゃん!!」


「いやいや、運動は苦手なんだよ。

 あ、僕も苗字じゃなくて名前で呼んでほしいな」


「ん? OKOK!! わかった。

 これからよろしくね優人!!」


「うん!! よろしく大輝くん」


 お互いに握手を交わし高校生活初めての友人ができた。


 教室に帰る途中——


「優人は運動苦手って言ってたけど体育の授業も苦手なの?」


「んー。体育は一つの事に特化しないからそこまで嫌いじゃないよ」


 ……さっき「運動が苦手だ」と言ってしまったがあれは嘘だ。

 仮に大輝が運動部だったら誘われてしまう可能性があったからだ。

 だって、休日に大会とか行われるし毎日朝早く登校して朝練習をして夜遅くまで練習するんでしょ?

 社畜だよね……?

 現代社会を現しているような感じなんだけど……

 それより休日が確実に休みの部活に入部したほうが自分の時間を確保できるし絶対いいに決まってる。

 そんなくだらない理由で運動部はお断りなのだ。


「やっぱり文科系の部活に入部するの?」


「できることなら部活は入りたくないんだけどね……。

 学校の決まりで入部は絶対しないといけないし」


「……帰宅部」


「え?」


 大輝の口から思いもしない用語が聞こえてきた。


「いや、伝説の存在なんだけど帰宅部っていう部活もあるとかないとか」


「な……そんな部活が存在するのか?

 なにがなんでもその部活に入部したい」


「いやいや、あくまでも伝説の存在だから。

 実際、部活紹介の時にそんな部活なかったしさ」


 確かに……帰宅部なんて部活は部活紹介の時にはいなかった。

 僕の夢は儚く壊れてしまったのか……うぅ。


「運動部でもさ、マネージャーとかなら運動しなくても大丈夫だよ?」


「あの……大輝君? 君は僕を運動部に所属させたいのかい?」


「だって、優人運動できそうだもん」


「いやいや運動は苦手な——」


 大輝と部活の事で盛り上がっていると話を遮るように校内放送が鳴った。


『えぇ、生徒の呼び出しをします。

 1年A組の小野寺優人君、小野寺優人君。

 至急、職員室まで来てください』


 1年A組の小野寺優人……僕じゃん!!

 は……えぇ? 僕いきなり何かやらかしました?

 だって入学初日だよ? 何もしてないって!! 


「……優人、何やったんだよ」


「いやいや、大輝くん!! 僕をそんなゴミを見るような目で見ないでよ!!

 何もしてないって!! 信じてよ!!」 


「まぁ、早く言ったほうがいいんじゃね? 『至急』とか言ってたくらいだし」


「そ、そそ、そうだね。

 急いでいかなくちゃ」


「なんでそんなに緊張してるんだよ……。

 悪いことしてないんだろ? なら、堂々として身の潔白を証明してこい!!」


 そうだ、その通りだ。

 僕は無実。何も悪いことなんてしてない!! おどおどする必要なんてない堂々としていればいいんだ。

 深く深呼吸をして大輝に一言


「ありがと、おかけで緊張が解けたよ。

 とりあえず職員室行ってくるね。

 終わったらすぐに教室に行くから」


「おう。気を付けて行ってこい!!」


「うん!! 行ってきます!!」


 大輝と挨拶をして僕は職員室に向かった。


 職員室——

 さて、職員室に来たわけだけど……一体だれが僕の事を呼び出したんだろうか?

 とりあえず、話を聞いて早く教室に戻ろう。


「失礼します。

 先ほど放送で呼ばれました小野寺優人です」


「あぁ、君が小野寺君ね?

 私は矢倉 望未 (やぐら のぞみ) 今日からあなたたち1年A組の担任よ。

 一応3年間よろしくね」


「は……はぁ、よろしくお願いいたします。

 ところで矢倉先生。

 校内放送で呼ばれたんですけど僕何かしましたか?」


「あぁ、それね。

 なんか3年の生徒が小野寺君に用事があるって言ってたわよ?」


 え……3年? 用事? 

 全く身に覚えがないんだけど。


「僕はどうしたらいいですか?」


「生徒会室って場所分かる? 職員室の隣の隣にあるんだけど。

 そこで待ってるって言ってたわ」


 うわぁ……死刑宣告を受けた気分。

 自ら死 (呼び出し)に赴かないといけないとか……絶望だ。

 一体だれが呼び出したんだろう。

 行かなかったら怒られるの確定だし……うーん。


「小野寺君? 早く行ったほうがいいよ? 3年生は怖い人がいっぱいだから」


「え……」


「ごめんごめん、真に受けないで、うそだから。

 怖い人なんていないから。

 先輩はみんないい人ばっかりだよ」


「お、脅かさないでくださいよ先生!!」


「だからごめんってば。

 でも、早く行きなよ?

 先輩待ってるのは本当だから」


「分かりました。

 生徒会室ですよね?」


「そう、生徒会室。

 隣の隣だからね」


「分かりました。

 ありがとうございます!!

 失礼いたしました」


 先生に聞こえる声量で挨拶をし生徒会室に向かう。

 少し歩くと生徒会室が見えてきた。

 果たして誰が僕の事を待っているんだろうか。


「し、失礼します」


「遅い……やっと来た。

 君が小野寺君ね?」


「申し訳ないです……」


「まあいいわ。

 単刀直入に言わせてもらうね」


「うちと結婚しよ!!」


 ——そんなわけで今の状況に至るわけだ。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

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