表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/36

デートの帰り道

 紅羽先輩と早めのお昼ご飯を食べ終え店を後にした。

 最っ高だ。肉厚でジューシー、それでいて衣は薄くサクサクとしていてまさに極上。

 また食べに来たいお店リストに追加された。


「美味しかったね〜」


「そうですね!! めっちゃ美味しかったです。

 また食べに来たいですね〜」


「やっぱり優人君はセンスがあるんだな〜うむうむ」


 紅羽先輩が腕を組みながら頷いている。

 センスの問題なのか? ただ僕は食べたいものを提案しただけなんだけど、他の料理を選んでも"センスがある"とか言ってきそう……。


 さて、時間は12時。

 飲食店立ち並ぶ通りはかなり混んできていた。

 ショッピングモールでお買い物と言っても別に買いたいものがあるわけでもないし、なんとなくショッピングモールって言ってしまっただけだからな……どうしよう。

 仮に16時くらいまでデートするとして残り4時間もある。

 無難にゲームセンターに行くべきか? それとも、洋服とか一緒に見ても……いや、洋服屋さんは避けよう。

 紅羽先輩のファッションショーが始まる未来が見える。

 うーん……どうしよう。


「ご飯食べ終わったし次はどこに行こうか~。

 うちはどこでもいいよ! 優人君についていく!」


「あ、文房具見てもいいですか? 筆記用具を新調したいと思ってて」


 これから学業を一応……一応真剣に取り組みたいと思うし心機一転して勉強しようと思う。

 シャープペンシルとボールペン、筆箱などいろいろと揃えないと。


「うちも買いたい文具あったから行こうか!」


「えっと……文具屋さんってどこにありましたっけ?」


 久しぶりにショッピングモールなんて場所に来たからどこにどのお店があるかを全く把握していない。

 なのにもかかわらず紅羽先輩に『文具屋に行きたいです』と言ってしまう僕は……頭が悪すぎる。

 ショッピングモール全体のマップで文具屋さんがどこにあるかを調べるしかないな。


 少しモール内を探索しながら歩き、店内マップを発見した。

 僕たちが今いるのが1階で、文具屋さんがあるのが3階だ。

 エスカレーターで行くのが距離的にはかなり近くていいかもしれない。


「3階にありますね。一旦文房具屋さん行きましょうか」


「うん! ゆっくりと文房具見よう〜。

 ……あとさ、エスカレーター以外の時はさ……」


 なんとなく紅羽先輩が言いたいことがわかった。

『手を繋いで欲しい』ということだろう。

 エスカレーターまで少し歩かないと行けないし、僕は男だ。

 紅羽先輩は僕より先輩だけど女性だし僕が頑張って引っ張っていかないと。


「手繋ぎましょ! せっかく瑞希ちゃんと一緒にいることができるんですから! ね?」


 紅羽先輩の手を握りエスカレーターに向かって歩き始めた。

 紅羽先輩の手は少し熱く感じられ、ふと顔を見てみるととても笑顔でとても嬉しそうだった。


 少し歩いて文房具屋に着くと色々な文房具が取り揃えられていた。

 僕が買おうとしていたシャーペンやボールペン、ノート、ファイルなど全ての文房具が揃っているんじゃないか? と思うほどの物量だった。


「ぉぉおおお!!」


 今までは商店街にあったこぢんまりとした文房具屋でしか買わなかったし物量に驚いて思わず声をあげてしまった。

 シャープペンシルもいままで見たことのないような物まで取り扱っていた。

 ここまでいろいろな種類を取り扱っているとなるとどれを買おうか悩んでしまう。


「ちょっとうち見てきたいものあるから別行動でもいい?」


「え?」


 てっきりずっと僕と一緒にいたいと思っていたいから思わぬ提案だった。

 あまりにも意外過ぎて変な声が出てしまったし……。


「もしかして優人君うちと離れたくなかった? それならずっと一緒にいるけど」


 まずい。

 これではまるで僕が紅羽先輩に依存してしまっているみたいじゃないか。

 ……もしかして依存してしまっている? いやまさかね。


「いや、大丈夫です。お互いに買い物しましょうか」


「あとさ、優人君は好きな色とかあるの?」


 なんでそんなこと聞くんだろう?

 色? 色って言われてもなぁ……。

 今まで色に対して執着したこともなかったし……うーん。


「僕は好きな色って特にはないですね。これまでも色々なものを直感で選んだりしてたので」


「直感で選ぶ感じなのか~」


「なんでそんなこと聞くんですか?」


「な、なな何でもないよ! 特に深い意味とか全くないから!」


 明らかに動揺している。

 なんだ? 一体紅羽先輩は何を企んでいるんだ?


「じゃあ、うち買いたいもの見てくるね! 文房具屋さんの中に入るからもしお買い物終わったら探して声掛けてきてね!」


「あ、わかりました。また後ほど」


 ものすごく気になる。先ほどの紅羽先輩は何だったんだろう……。

 考えれば考えるほど謎が謎を呼んでわからなくなってくる。

 ……っていけない。僕も買いたいものを見ないと。

 学校で使う文房具一式とノートが揃えれることが出来れば大丈夫かな!!


 店内を色々と見渡してみると欲しいものがどんどんと増えてしまう。

 買い物は悩むのが楽しみというけどまさにその通りでどれを買おうか悩んでしまう。

 シャープペンシル売り場を見ていたつもりがいつの間にかボールペン売り場を見てたりとにかくここは楽しすぎる!!

 しばらく何を買うか悩んだ末……

 シャープペンシルとボールペン、定規、筆箱等必要な文具とノート、ルーズリーフを買うことにした。

 ついつい欲しくなってしまい、シャープペンシルやボールペンを予定より多く購入してしまった。

 こんなにたくさん買っても学生生活で使い切ることはできるんだろうか……いや、たぶん使い切る前に失くすんだろうな。


 さて、僕は買い物終わったけど紅羽先輩どこにいるんだろう。

 店の中にいるはずなんだけど……あれ? どこにいるんだ?

 店の中をぐるぐる探し回ってもなかなか見つけれない。


「あ、優人君〜」


 後ろから紅羽先輩らしき声が聞こえてきた。

 恐らくウロウロしたことですれ違ってしまったのだろう。


「結構探したんですよ?」


「うちも探してた〜。お会計終わった後ぐるぐる探してたんだ」


 タイミングって大事なんだな。

 お互いにお互いを探すことで見つけることが出来なくなるとは。

 とりあえず買い物は終わったし後は……あ、キーホルダー渡さないと。


「優人君!! あとはどこか行きたいところはある?」


「んー。特にはないですね。瑞希ちゃんはありますか?」


「行きたいところ……うーん、ないかなっ!!」


「じゃあ、ゆっくり帰りましょうか」


 僕は紅羽先輩の手を握り文房具屋を後にした。

 少し歩いたら紅羽先輩が僕の手を強く握り返して

「優人君、ありがと」と嬉しそうに言った。

 手を繋いで歩いているだけなんだけど、周りから見たら付き合っているカップルに見えるんだろうな。


「少し早いですけどお家帰りますか?」


「うんっ。今日はデートしてくれてありがとねっ!!」


 最初は無茶苦茶で嫌だと思っていたはずの紅羽先輩とのデートが180度変わって楽しくなっていた。

 今まで女の子とデートしたこと無かったしまさかこんなに楽しいとは……紅羽先輩だったから楽しかったのだろうか?


「僕も瑞希ちゃんとデートできて楽しかったです!! また機会があったら行きましょうか」


 紅羽先輩とならまた出かけてもいい。

 というかまた出かけたい!! そんな風に思える貴重な体験になった。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

誤字脱字、変な表現などありましたらご指摘お願いいたします。

意見や感想などいただくと励みになります

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ