もう遅いんだ!
「俺が悪かった、許してくれ!」
「今更そんなこと言われても、もう遅いんだ、許せる訳が無いだろうが!」
「頼む、許してくれー」
私はこいつに何もかも奪われたんだ。
結婚を約束していた彼女を奪われ、ほぼ決まっていた就職先もこいつに横取りされた。
それでも、偶に見る。
大学に入学して入ったサークルでこいつやこいつの妻になった彼女と初めて出会った時の事や、サークルの飲み会で酒を飲み語り合ったあの日々を思いだしながら3人で酒を酌み交わす夢をだ。
でもそんな事は絶対にあり得ないんだ!
だって私はこいつに殺され、怨霊となってこいつの前に今立っているのだから。